ソシャレン業者の淘汰が本格的に始まる
金融庁による登録取消が相次ぐ
先日、大量の天下り役員を受け入れておき、役員には前科者を入れるというトラストレンディングが金融庁から登録取り消しを受けた第1号になりました。
そして今度はあのラッキーバンクが第二種金融商品取引業登録取り消し処分を関東財務局により発表されました。
特にラッキーバンクにおいては顧客から集めた資金約50億円を貸し付けておき、それをわずか16億円というはした金で回収したことで投資家から疑念の目で見られています。
特に価格差がひどいため金融庁も問題視しているようでふだんよりも行動が早いですね(それでも遅い)
エーアイトラストへの行政処分:http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/pagekthp032000813.html
ラッキーバンクへの行政処分:http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/pagekthp032000820.html
匿名化が悪用されて事件多発
2019年3月6日にNHKのニュースにも取り上げられたように、ソーシャルレンティング業者の問題が相次いでいます。
インターネットを通じて多数の投資家から資金を集め企業などに融資する #ソーシャルレンディング 。いま気軽に投資でき、高い利回りを期待できるとして投資額が急速に拡大しています。しかし投資家への返済が滞るケースが増えています。実態を取材しました。 #nhk #NW9 pic.twitter.com/b5AGsrbdxV
— ニュースウオッチ9 (@nhk_nw9) 2019年3月7日
ソーシャルレンティングは投資家から資金を集めて融資が欲しい企業へお金を貸し出すクラウドファンディングの一種ですが、その仕組み上投資先(融資先)の情報が開示されないという特徴がありました。
この仕組をいいことにHP上では安全な企業へ融資していると見せかけて、身内の企業に資金を融通していたり、ひどいところでは融資そのものが無かったりしました。
そこまで行かなくともNHKニュースで名指しされたMANEO周辺は、融資先の企業をきちんと調査しておらず、事業そのものが稼働していないところへ融資を行っていたりと杜撰さが際立ちます。
金融庁がようやく動き出している
そもそもこの仕組を作ったのは、もとを正せば金融庁であり、金融庁からしてみれば自分たちの制度を悪用されてやりたい放題をされたわけです。メンツを潰された上に泥まで塗りたくられています。
よってようやく重い腰をあげて、権力による処分を始めているわけですが、みんなのクレジットといい、ラッキーバンクといい、裏でなにやってるんだかわからないようなクソ業者に対して金融庁がこれ以上やれることは殆どありません。
ぶっちゃけ登録取り消しを受けたところでラキバンらに取ってみれば痛くも痒くもないわけです。すでに何億円という金を隠していれば、彼らにとって見ればそれでミッションコンプリート。それから登録を消されても何の影響もありません。
これら2社は悪質性が高いので詐欺事件として立件しての警察が動く事態にならないとどうにもなりそうにないですが、ああいった犯罪グループはそれを見越してお金を逃している可能性は高く、金融庁としてはやられっぱなしなわけです。
これ以上メンツを潰される前に、詐欺の温床となった「匿名化」を解除して業者の淘汰を行うことは既定路線になりますが、いまさら解除されたところで遅すぎます。
ソーシャルレンティング業者一覧
SBIソーシャルレンティング | |
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ownersbook | |
クラウドバンク | |
maneo | |
クラウドクレジット | |
TATERU | |
SAMURAI | |
ジェイ・レンディング | |
クラウドリアルティ | |
レンデックス | |
ポケットファンディング | |
ネクストシフトファンド | |
ラッキーバンク |
MANEOファミリー一覧
maneoファミリー | 特徴 | 起こした問題 |
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プレリートファンド | 不動産融資 | |
アップルバンク | 中小事業融資 | |
キャッシュフローファイナンス | 事業や不動産融資 | 大量案件で期失 →一部回収 |
さくらソーシャルレンディング | 地方創生事業融資 | |
グリーンインフラレンディング | 太陽光融資 | 全案件募集停止 詳細不明 |
アメリカンファンディング | アメリカ不動産特化 | |
スマートレンド | 優良事業融資 | |
クラウドリース | ベンチャー企業融資 | 大量案件で期失 →全案件で期失!? |
ガイアファンディング | 海外不動産特化 | 全案件募集停止 詳細不明 |
LCレンディング | 不動産特化 |
ソシャレン運用について
とりあえずソーシャルレンティング業者はある程度淘汰されるでしょうが、信頼できるSL業者でも書いたように、SBISLとownersbookは信頼できると判断し、投資は続けています。
不動産型クラウドファンディングをやっている業者も、匿名化がない以上、不正をすることは難しいとみています。
またTATERUの一件からも分かったように、上場企業においては監視の目が多く、監査もあることから中小零細SL業者とは違って、不祥事が起こってもお金が返ってくる可能性は高いと判断しています。
みんクレやラキバンがあれだけやりたい放題できたのも、監視の目が少なく、第三者による監査などもない中小零細業者であったという要素があったからです。
おそらく今後、匿名化が解除されたあとは「ソーシャルレンティング」という言葉自体も変わる可能性もありますが、クラウドファンディング自体がおかしくなったわけではないので、この仕組をより洗練した投資方法が今後も続いていくでしょう。
FX黎明期にもあったように新しい投資が始まるときにはどうしてもずさんな業者や悪質業者が紛れ込むものです。そいつらを浄化すれば一番安心して投資できる環境が整うことでしょう。
トラストレンディング、ラッキーバンク、が消えましたが、これから一番の問題はMANEOをどうやってソフトランディングさせるかでしょうね。MANEOはファミリーも入れれば運用金額は今までよりも桁が1つも2つも違います。
MANEOをなんとかソフトランディングさせた上で、MANEOファミリーを追い出して金融庁のプロジェクトは完了といったところでしょうか。
その頃にはソーシャルレンティング業者も半分くらいになっているでしょう。(昔のFX会社も淘汰が始まってから半分以下になった)
その時残っている業者は、上場企業資本と不動産CFをやっている業者だけになっていそうです。