教育格差:まともに学校へ通えずに就学援助を受ける子供が急増している

就学援助とは

日本では義務教育制度があります。これは日本で生まれた子供は等しく教育を受ける権利があり、親権者は子供に中学校までの義務教育を受けさせる義務があるということです。しかし中には経済的に困窮していて義務教育のわずかなお金も払うことが難しい家庭が存在します。そんな家庭を援助するのが就学援助という制度です。

主に、お金が一番かかる教科書図書購入費、学校給食費、通学・帰省に要する経費、付添い人の交通費、寄宿舎費、修学旅行費、学用品購入費の経費が、保護者の経済的負担能力に応じて支給されることになっています。対象となる家庭の収入がどれくらいのレベルで受給できるのかは各市町村で違います。

就学援助を受ける子供は増える一方

全国では就学制度を受ける割合は確実に増加し、一部の地域では3人に1人が受給している

上の図は、義務教育を受けている小中学校生徒において、就学援助を受けている割合の推移を表した図です。ご覧のようにあらゆる地域において就学援助を受けている割合が増加し、全国規模にわたって増加しています。特に、お金持ちといわれる大都市圏のほうがむしろ割合が高く、都内のある地域ではその割合が40%を超えるところまであるのです。これは大都市圏のほうが、お金持ちの家庭とそうでない家庭の差が著しいことを表しています。こういった地域の子供は卒業文集の 「将来の夢」 を書かせたら、30%の子供は書けないのです。これらの子供は就学援助のように経済的に困窮している生活をしているので、将来に何の希望も持てないのです。親の経済格差が子供の教育格差を生み、小さな頃から将来に絶望してしまっている子供が増えているのです!

同じ東京でもこれだけ生活圏に格差が存在する

格差都市:東京は同じ東京でも一方は高級住宅地、かたや一方はすし詰め状態の貧困層

都内の住宅地を見たことがある方は知っているかもしれませんが、一部の地域では田園調布のように金持ちばかりが豪邸を建て並べているところがあります。その一方で、23区の中にはボロマンションの中に貧困層が、すし詰め状態になって住んでいるのです。金持ちといわれる東京も、ほんの一部の富裕層勝ち組が富を独占していて、他の人は貧困にあえいでいるのです。経済的問題で学校へ行けない子もいる一方で、100万とも200万円とも言われる高額の教育費を払って私立中学へ通わせる家庭もいるわけです。下記の私立中学進学率と就学援助率を見てみれば、一目瞭然です。私立中学進学率と就学援助率が完全に反比例の関係にあります。東京は教育格差が日本一ひどい場所ということです。

参考:東京都の私立中学進学率



私立中学進学率 ベスト3:
中央区   40.7%(中央区の就学援助率14.4%)
千代田区  38.8%(千代田区の就学援助率6.7%)
文京区   38.7%(文京区の就学援助率15.4%)

私立中学進学率 ワースト3:
江戸川区 11.1%(江戸川区の就学援助率32.9%)
足立区   11.5%(足立区の就学援助率47.2%)
葛飾区   12.8%(葛飾区の就学援助率30.4%)

就学援助の増加は地方でも

この就学援助の影響はどんどん広がっています。就学援助を受けている子供たちは10年前と比べて2.4倍になっていることが明らかになっています。これは小学校、中学校ともに同じです。こういったお金のような経済的問題によって、満足のいかない教育しか受けられず、高校へすら進学できない子もどんどん増えています。

地方格差のひどい高知県では明徳義塾のような私立に金と生徒が集まる一方で、公立中学校では3人に1人が就学援助を受けなければ通学できな

上の図は特に地域格差がひどく、県全体で所得が低い高知県での就学援助の推移をあらわしたものです。データによると、公立中学校に通う中学生の3人に1人が就学援助を受けなければ通学できないという実態があります。一方で、高知県には明徳義塾という名門の私立校が、大金を払って全国から優秀な生徒をかき集めてスポーツ名門校として名をはせています。これを教育格差といわずして何というのでしょうか・・・

最近の時代は親の格差がそのまま子どもの格差に継承される傾向がますます強くなっているため、こういった「教育をうける機会」さえ得られない子どもが底辺貧困層から脱出するのはどんどん難しくなっていっています。

教育格差が学歴格差を所得格差を生む負のスパイラルが格差を固定させる

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