教育格差:子供の貧困率の上昇は親世代の貧困が1つの原因

日本の子供の貧困率は世界でも上位

国連児童基金(ユニセフ)による世界の子供の貧困率のデータによると、日本の子供の貧困率が先進国35カ国の中で下から9番目のワースト上位に入っていることが発表されてます。日本の格差拡大と教育格差拡大がさらに進行して歯止めがかかっていないことがまたも明らかになってしまったのです。このデータは2009年のものを元としており、民主党が順調に日本経済を破壊し、さらに2011年の東日本大地震のあって、今の状況はさらに悪くなっていることは容易に想像できるでしょう。ちなみに日本の子供の貧困率は2000年が12.2%、2005年と2007年が14.3%、そして2009年は15%と完全に右肩上がりで悪化を続けています。さらに、次の調査では2012年が16.3%と次々と悪化していることがわかっています。子どものうち6人に1人が貧困という数値であり、学校のクラスでは平均的に5人程度いることになります。

ちなみに貧困率というのは厚生労働省が発表している 「国民生活基礎調査」 にて見ることが出来ます。

世界の子供の貧困率を見てみると子どもの貧困率が高いのは東欧の更新国のブルガリアやルーマニア(25.5%)で、自由主義の米国(23.1%)が続きます。そして金融不安に揺れるギリシャ(16.0%)、イタリア(15.9%)、スペイン(17.1%)そしてバルト三国のラトビアやリトアニアの次に日本です。貧困率が低いのはアイスランド(4.7%)、フィンランド (5.3%)など北欧諸国が目立つ。 報告書は、各国の子育て政策や福祉も比較。日本は子どものための施策に対する公的支出が対国内総生産GDP比1.3%で、35カ国中で下から7番目に低かった。これも何度も書いていますが、日本はGDP比に占める教育支出が圧倒的に少ない教育貧国です。消費税だ法人税だと増税ばっかり言っていますが、それらはこれから何も生み出さず消えるだけの高齢者のため ”だけ” のものです。こうやって子供らにツケを押し付け続けて、さらには見捨てるようなことばかりやっているのが日本政府です。これだけみても素人でも日本の将来がないことは簡単に想像がつきます。

母子家庭だけでなく両親のいる家庭の貧困率も上昇

貧困率は相対的な指標です。偏差値のようにちょうど真ん中の順位の世帯を中央値にし、その中央値の半分より所得が少ない世帯の割合を貧困率といいます。この子供の貧困率が上昇している1つの要因が、その子供を養う親世代の経済状況の悪さです。考えてみれば当然のことで、子供自身は自分で稼ぐことはありませんので親時代の経済状況がそのまま反映されます。その親世代の貧困率が上昇してきているのです。

厚生労働省が発表している 「国民生活基礎調査」 による貧困率の年次推移を見てみると、子どもがいる世帯についてグラフで見てみると、母子世帯など大人が1人の場合の貧困率は54.6%とやはり大きな数値です。貧困の子供はほとんどが母子家庭、父子家庭であることがわかります。ただ1997年の 63.1%からは低下しています。逆に、大人の数が2人以上の世帯の貧困率は1人親の場合より低い12.4%ですが、こちらは高まっています。児童(18歳未満の未婚の者)のいる世帯のうち、65.9%が生活が苦しいと答えています。これは高齢者世帯の54.3%を上回る数値です。子育て世代全体が問題のため、母子世帯等のための児童扶養手当制度等のみでは、子どもの貧困問題のすべては解決できません。

子供ではなく高齢者ばかりに金を使う日本

子供の貧困率が高くなっているのは親世代の貧困化が原因であることがわかりました。しかしそういった家庭を助けるために日本は高い税金などをとっているはずと思いますでしょう。しかし実際は日本はGDP比における教育支出が著しく低い教育貧国になっています。図を見れば一目瞭然のように日本の教育支出の割合は世界最低レベルにあります。北欧諸国はおろか、”自己責任” をどこまでもつらぬいている格差社会の先進国アメリカですら、日本よりもはるかに教育に対する姿勢が強いということです。

世界各国のGDPにおける教育関連の支出割合

ではあんなに沢山使っているお金はどこへ流れているかというと、高齢者世帯になります。高齢者の福祉や介護などの社会保障だなんだと、とんでもない額がつぎ込まれているのです。しかしその当の高齢者世帯というのは実は子育て世代とは全く違い、とても裕福で平均貯蓄額もとんでもない額になっています。60歳以上の世代を見れば軒並み1000万円以上です。それに対して子育て真っ最中の30代などは高齢者世帯の3割しかありません。さらに貯蓄以上の借金を抱えています。こんな状況なので児童(18歳未満の未婚の者)のいる世帯のうち、65.9%が生活が苦しいと答えています。これは全世帯の平均よりも高く、高齢者世帯の54.3%は全世帯よりも低くなっています。つまり本当に必要な子育て世代が苦しい状況にもかかわらず、増税・保険料アップなどでさらに悪い状況にしつつ、生活に余裕があり貯蓄も十分にある高齢者に社会保障費としてお金をつぎ込んでいるおかしな状況なのです。教育費のため社会保障費のためと国は増税・増税と言い張ってきますが、この偏りを直さない限りいつまでも子育て世代は厳しくなるだけです。

そのせいで、日本の教育はほとんどが親に丸投げとなっています。その結果、親が使うお金で子供の学力が決まる傾向が強い時代になってきています。子どもは体験したり、学習した以上の見識をもつことはできませんので、子供のうちにどれだけ知力や知識に触れられるかで大きな差がついてしまいます。御茶ノ水大学教授の調査では、それが明確になっています。

金持ちの子は頭がよく貧乏の子はバカである証拠データ

その結果、子どもの教育にかけた金額が子供の学力に直結するようになる時代になっています。ということは、子どもにかけるお金の余裕がない家庭は教育水準が低くなる傾向が強くなり、親の経済力格差が子供の学力格差に直結、親の経済格差や子供の教育格差に継承される負のスパイラルが起こっています。

教育格差が学歴格差を所得格差を生む負のスパイラルが格差を固定させる

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