ゆとり教育は優秀な公立をも腐敗させ教育格差を招いた

学歴社会がゆとり教育を生む

日本では高度経済成長期に異常なまでに学歴が重要視され、学歴社会として社会問題となっていました。この時代は企業は、とにかく労働力が欲しいので人を探していたのですが、闇雲に雇用してしまうわけにはいきません。そこで採用する人間を選別する際にひとつのバロメータとなっていたのが学歴です。特に全国的に知られる有名4年制大学は、幅広い人に通用する基準であったので、有名4年制大学を卒業することがブランドとなっていきました。

そのため、この時代の親たちはとにかく子供を有名大学へ行かせてブランドをつけようと激しい教育を行い、結果として有名な大学には受験者が殺到したために受験戦争や教育ママといった言葉がはやりだしました。しかし、あまりにもその学歴社会がひどく社会問題にまで発展したため、この学歴社会をなんとかしようと ”ゆとり教育” を始めます。

ゆとり教育は質の低下と教育崩壊を招く

ゆとり教育の基準が何を根拠に決められたのかはわかりませんが、公立学校の授業時間数がとても減り、学習内容も削られました。公立中学3年間の必須英単語数は1,000単語からわずか100単語となり、必要な授業を充分行うことができず、結果として穴だらけの教育しか行われなかったので皆さん知っての通り、学力の低下を招きました。

公立と私立の中学3年生授業時間
科目公立私立その差
英語473
数学363
国語352
社会341
理科242
保健体育231
音楽110
美術110
道徳110
技術家庭110
選択30-3
総合学習30-3
学級活動10-1
特別活動011
週間計28346

しかし、一流大学の入試レベルが下がったわけではありません。このため、公立学校で教えてくれなくなった内容をカバーするために、私立学校や塾などのニーズが大幅に高まり、公立教育は置き去りにされます。しかも充分な教育がなされなかった一部の貧困層が荒れ始め、公立学校の環境そのものが崩壊し始めます。素行の悪い生徒が疫病のように蔓延しているようなイメージがついてしまいました。そしてこの頃から、公立学校には頭の悪い奴が行っているため、荒れていて、私立学校は頭の良い子が行くために規律が正されているというイメージがついたのです。

ゆとり教育で脱落した有名公立高校

40年前は東大合格の常連だった日比谷や新宿高校などはゆとり教育による腐敗とイメージの悪さで脱落する

皆さんあまりご存知ないかもしれませんが、実は40年ほど前の時代では都立高校である日比谷高校・西高校・両国高校・戸山高校といった公立の高校が東大合格の常連校だったのです。しかしこの図式はゆとり教育が導入される70~80年代からガラリと変わります。

ご覧の図では都立を薄い青色で、私立を薄い赤色で表示していますが、年を経るごとに赤色がどんどん増えていきます。これは東大合格の常連校が公立から私立に代わって言ったことを表しています。一昔前では、公立校でも充分東大を目指すことが可能だったのですが、今やその話は過去のものとなり、私立校がどんどん飛躍して公立が追いやられているのです。このことも親たちの 「公立離れ」 を促進する要因となっています。

ゆとり教育が教育格差を助長する

ゆとり教育によって引きこされた学力低下、質の低下、環境の荒れ、教師の流出、このようなことに危機感を感じた親たちは、子供たちを有名学校へ進学させようと再び受験戦争を始め、人気の私立校では競争が激しく教育費も高額になり始めました。しかし、ゆとり教育によって無知なまま親になってしまった人たちは、所得を上げる術を持たないために高額な教育費を払うことができなくなり、公立校でレベルの低い教育しか受けられなくなりました。結果として、高額な教育費を払うことができる親の子だけが、有名学校に行けて、ブランドを得ることができる教育格差が生じることになります。

歴然たる合格率の差をたたき出し、ブランド力が増す私立教育

また、この結果を見るとゆとり教育というのは、もしかしたら公立校を腐敗させて貧困層が東大などの大学へ行けなくし、受験戦争を活発化させて学校法人を儲けさせようとする支配者の意図があったのかもしれません。まぁこれはちょっと言いすぎですが、それぐらいの危機感をもっていたほうがいいでしょう。

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