トラストレンディング業務停止、ガイア進展なし
トラストレンディングが1ヶ月の業務停止命令
ソーシャルレンディング業者の処分が止まりません。今回はトラストレンディングが関東財務局より業務停止の行政処分を受けました。トラストレンディングを運営するとエーアイトラスト社は、1ヶ月の業務停止命令を受けています。
エーアイトラスト社は要約すると
・官公庁の事業に誤解されかねない表現を使っていた
・大手企業との業務提携が確約されているような表現を使っていた
このような表現において誤解を招くような表現を使って出資を募っていたということでお叱りを受けたということです。処分が行われるということですが、融資・事業実態があるという予測から、業務改善命令にとどまるのではないかと予想が多かったです。
しかし業務停止命令という意外にも重い処分が下りました。あの67%を毀損させた「ラッキーバンク」の最初の行政処分は業務改善命令にとどまっていました。実態はラッキーバンクよりも酷い状況なのか、それとも金融庁が最近のソーシャルレンディング業者の問題を重要視して、処分を全体的に重くしているのか。真意はどちらかハッキリしませんが、後者の可能性のほうが高いでしょう。
処分内容:関東財務局より引用
1.エーアイトラスト株式会社(本店:東京都港区、法人番号1010701020889、第二種金融商品取引業)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の問題が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた。(平成30年12月7日付)
当社は、当社ウェブサイトにおいて、自らを営業者とする匿名組合の出資持分(以下「ファンド」という。)の自己募集を行い、その出資金を法人に対する貸付けによって運用している。
当社が取扱うファンドの取得勧誘の適切性等について検証したところ、以下の問題が認められた。
○ ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をする行為
(1) 債権担保付ローンファンドについて
当社は、平成30年5月から6月にかけて、「債権担保付ローンファンド(139号~146号、155号~158号)」(以下「本債権ファンド」という。)の募集を行い、投資家から総額約6億円の出資を受けている。
当社は、本債権ファンドの取得勧誘に際し、当社ウェブサイト上の本債権ファンドに係る募集ページにおいて、当該出資金の貸付先(以下「本債権ファンド借入人」という。)が関与するプロジェクト(以下「本プロジェクト」という。)や資金使途等に関し、
・ 本プロジェクトは、原発事故被災地の水資源の安全向上を目的として実施される除染事業であり、非常に公益性の高い内容である
・ 本プロジェクトは、原発事故被災地域に堆積した放射性物質を封じ込め、居住区域等への飛散、流入を防止する対策を実施するものである
・ 本プロジェクトにおける放射性物質を取除く方法は、政府の基本方針に沿った内容である
・ 本債権ファンド借入人は、本プロジェクトを請け負う事業統括会社との間に業務請負契約を締結し、プロジェクト準備資金の調達・施工の計画立案等の支援業務を行う
・ 本債権ファンド借入人における資金使途は、上記支援業務に係る労務費・外注費等や、各協力会社へ支払う外注費・資材調達費等(プロジェクト準備資金)等である
旨等を記載するとともに、スキーム図において、復興庁や環境省等の名称を用いて、あたかも官公庁等が関与して行う除染事業の支援業務を行う目的で、本債権ファンドで集められた資金が貸付けられるかのような表示をしている。
しかしながら、該当する官公庁等が関与して行う除染事業は存在せず、このため、本債権ファンド借入人に対しては、上記の取得勧誘時の表示のような、官公庁等が関与して行う除染事業の存在及び実行を前提とした資金使途のための貸付けは当初から行われていない。
このように、当社は、本債権ファンドの取得勧誘に関して、虚偽の表示を行っていたものと認められる。
(2)動産担保付ローンファンドについて
当社は、平成30年7月から8月にかけて、「動産担保付ローンファンド(163号、165号~168号、170号~174号)」(以下「本動産ファンド」という。)の募集を行い、投資家から総額約3億円の出資を受けている。
当社は、本動産ファンドの取得勧誘に際し、当社ウェブサイト上の本動産ファンドに係る募集ページにおいて、当該出資金の貸付先(以下「本動産ファンド借入人」という。)が関与する事業や返済原資等に関し、
・ 本動産ファンド借入人は、長距離無線通信に係る商用サービス開始に先立つ実証実験の準備を進めている
・ 本動産ファンド借入人は、当該実証実験の終了後に、全国に多数の拠点を持つ大手企業との業務・資本提携を予定しており、それにより安定的な収益源を確保する計画である
・ 提携先の相手方企業は、2020年東京オリンピックのJOCゴールドパートナーとなっている大手企業である
旨等を記載するとともに、スキーム図において、当該大手企業との業務提携等が予定されている旨を記載するなど、あたかも本動産ファンド借入人において、実証実験終了後に、当該大手企業との業務提携等が予定され、これにより得られた収益を原資として返済が行われるかのような表示をしている。
しかしながら、実際には当該大手企業との業務提携等の予定は存在せず、このため、本動産ファンド借入人に対しては、当初から、上記の取得勧誘時の表示のような、当該大手企業との業務提携や、当該業務提携に係る事業による収益が返済原資となることなどを前提とした貸付けは行われていない。
このように、当社は、本動産ファンドの取得勧誘に関して、虚偽の表示を行っていたものと認められる。
当社が行った上記の行為は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、虚偽の表示をする行為」に該当するものと認められる。
2.このため、本日、当社に対し、下記(1)については金融商品取引法第52条第1項の規定に基づき、下記(2)については同法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
(1) 業務停止命令
金融商品取引業のすべての業務(顧客取引の結了のための処理を除く。)を平成30年12月14日から同31年1月13日まで停止すること。
(2) 業務改善命令
1) ファンド募集にかかる事務プロセスを網羅的に検証したうえで、今般の法令違反が発生した原因及び業務運営態勢上の問題点を究明すること。また、今般の法令違反について、責任の所在を明確にするとともに、金融商品取引業務を適切に行うための経営管理態勢及び業務運営態勢を再構築すること。
2) 募集したファンド全件について、取得勧誘及び運用・管理の状況等(貸付先の資金管理の実態や資金の使途を含む)を精査したうえで、投資者保護に必要な対応を図ること。
3) 本件行政処分の内容及び改善対応策について、全ての顧客を対象に、適切な説明を実施し、説明結果を報告すること。
4) 顧客からの問い合わせ等に対して誠実かつ適切に対応するとともに、投資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること。
5) 上記1)から4)までの対応について、平成31年1月11日までに、進捗状況及び対応結果について報告すること。
対応は今までの業者の中で一番マシ
私見になりますが、今まで投資家の金を身内に勝手に融資したり、価値のない不動産を価値あるものとして出身を募っていた業者などを見てきたために、今回は「この程度」と感じてしまうのが最近のソーシャルレンディング業界の恐ろしいところです。
さて、このトラストレンディングですが、問題を起こしたソーシャルレンディング業者としては珍しく対応が迅速です。
行政処分が行われる前から新規会員登録を休止
トラストレンディングは行政処分が行われる前の12月11日に新規会員の登録を休止しました。当然の対応と思えますが、今まで問題を起こしてきた業者はそんなことをしませんでした。どこも資金繰りが自転車操業になっていたため、1人でも多くの投資家に金を入れてもらおうと中で問題が起こっているのにそれを明かさず平気で募集を続けていたくらいですから。
トラストレンディング一連の流れ
12/7:2018年12月7日(金)に当社が証券取引等監視委員会より行政処分の勧告
12/11:新規会員登録手続きの一時休止
12/14:エーアイトラスト社は、1ヶ月の業務停止命令の行政処分
ガイアファンディングと比較すると天使に見えてしまう
トラストレンディングも誤解を招く紛らわしい表現をしていたことは問題です。実際存在しないものをあたかも ”あるもの” と見せかけてお金を集めようとするのはソーシャルレンディング業界の悪質業者の常套手段でしたから。今後、更に問題が起こらないことを望みます。実際、迅速に対応していることや金融庁の動きも早かったので大きな問題にはならなそうな感じもしています。
ガイアファンディング問題は殆ど進展していない
一方で、現在進行系で問題が発生中のガイアファンディングは酷いです。メール自体はガイア本体やmaneoマーケットの方からも連日のように届きます。しかし要約すると「まだわからない」の一言で済んでしまいます。
つまり何も進展していない。
問題発生が11月なのでもう1ヶ月近く経過するのに未だにお金がどこで止まっているかもわからない状態。これは本当に「みんなのクレジット」「ラッキーバンク」を超えて最悪のケースになるかもしれません。
ガイアファンディングの代表者とその弁護士には連絡がついています。しかしアメリカの会社でこういった弁護士が出てくるということは法律的に問題がない倒産の準備をさせているとしか思えないですね。
Q1.ガイアファンディング社の代表者とは連絡は取れているのか。 A1.現在、ガイアファンディング社は代理人弁護士に対応を委任しております。従いましてmaneoマーケット社としても、 代理人を通してガイアファンディング社と折衝致しております。 Q2.ガイアファンディング社は倒産の準備をするために弁護士を立てているのか。 A2.現時点ではそのような事実は把握しておりません。 引用:ガイアファンディングからのメール
ガイアファンディングのスキームは為替変動リスクを投資家に負わせない為 と二重課税の扱いにしない為に3社を介したスキームをつかっています。しかし代表者の親族がいる会社を通すというのは「みんなのクレジット」や「ラッキーバンク」が身内の会社に融資していたケースににており、非常に不安を感じさせる表現です。
Q1.ガイアファンディングの投資について、最終貸付先企業への貸付までに3社が介在している理由と、3社についての説明をしてほしい。
A1.いずれの企業につきましてもガイアファンディング社において人的関係もしくは資本的関係がある、もしくは協力関係にある会社でございます。
・「Gaiafunding Cayman Limited」は、租税回避目的のガイアファンディング株式会社の子会社
・海外関連会社は、ケルビン・チウ氏(ガイアファンディング株式会社代表取締役)の親族が社長(Manager)をつとめる為替ヘッジを目的とした法人で、実権を握っているのはケルビン・チウ氏
・米国関連会社は、ケルビン・チウ氏が社長(Manager)をつとめる法人
3社が介在している理由としては、主に2つの理由があります。 1つ目は、為替変動による投資成果をガイアファンディングの案件にご投資いただく投資家が負わないで済むようにするための方策としてガイアファンディング社の子会社が介在しております。 2つ目は、投資より得る配当リスクを国際間の税務上の都合から二重課税の取り扱いとならないようにするため海外法人が介在しております。 いずれにつきましても、投資家の皆様に投資成果をストレートに反映させるためのスキームでございます。
今までのメールでは毀損や欠損については表現がありませんでしたが、今回のメールではQ&A形式とはいえ、どこかが破綻すれば資金の欠損が出るという表現を使い始めています。
Q2.中間で介在する3社のうちのいずれかの企業が破綻してしまったら日本の投資家は資金回収ができないのではなかろうか。
A2.本日時点においてmaneoマーケット社として、中間に介在する3社が破産等の法的手続きにあるというような状態を認識致しておりません。 また、一般論として回答させていただきますと、契約締結前交付書面にも記載がございますが、 ガイアファンディング社や貸付先企業において倒産等の法的手続が開始された場合、投資家の皆様の預り金や回収資金に欠損が生じる可能性があることは事実でございます。
ちなみにmaneoマーケット社の人間はアメリカの会社に丸投げしているようで、アメリカに飛んで調査しているのか正直疑問を感じます。
Q2.maneoマーケット社として、現地の確認に行っているのか。
A2.当社において投資家の皆様への対応を優先しつつ、迅速性を考慮し、信頼できる米国のパートナー企業に現地の開発状況等の調査を依頼し進めております。 パートナー企業より一部案件について調査が完了した旨連絡を受けました。 報告内容が届き次第、確認および投資家の皆様へのご報告準備を進めてまいります。
12月20日にガイアの動きがある
メールの最後の方に12月20日には一部案件の現在の状況を報告するということです。遅くともという表現はだいたい最後になりますので発表は20日、もしくは日本時間20日夜になるでしょう。昼間に発表するケースは稀です。
遅くとも12月20日までには一部案件についてのご報告をいたします。 maneoマーケット社は、ガイアファンディング社に追加報告等を要請するとともに、 引き続き米国現地での対象不動産の確認及び・調査などを実施いたします。 投資家の皆様にお伝えできる確たる情報が得られた場合には、速やかに該当投資家の皆様にメールにてご報告いたします。
こういった全然状況がわからず、また進展もしていないガイアの問題を見ているとトラストレンディングが毎日具体的な行動を起こして、報告もしているということが「天使」に見えて仕方ありません。それくらいソーシャルレンディング業界には酷すぎる業者がいます。
ちなみにmaneoファミリーの中で最初に問題を起こした「グリーンインフラレンディング」の問題については最近少し進展があったものの、連絡がほとんどないということです。この不誠実さこそ悪質業者の特徴ですね。はぁ・・・。