NZDとトルコリラと高金利通貨同士で分散投資したらリスク分散は万全?
ただ複数もってもリスク分散にならない
初心者編でリスク分散に関して説明をしました。リスク分散のまず基本は同一通貨ペアをたくさん持ちすぎないことです。例えば高金利につられてAUDJPYだけを100万通貨買っているとしたら、毎日1万5000円ぐらいスワップが入りましたが、円高で10円も下がってしまって為替差損が1000万円にもなってしまうので同一ペアを大量にもつのはリスクが大きいのですね。しかし複数のペアをもっていれば、AUDJPYが暴落しても他のペアは下がらないので大きなダメージは避けられる・・・これがリスク分散です。しかしAUDJPYが暴落した時に他のペアも暴落してしまったら意味がありませんね。同じような動きを持つペアを複数もってしまうと暴落で一緒に下がってしまうのでリスクが分散されたことにはなりません。今回はリスク分散しているようで、全然リスク分散になっていない悪い例を紹介します。
NZDとTRYは同じ動きをしやすい
自分年金や不労所得のためにもスワップ目的で高金利通貨を買う方は多いでしょう。しかし単一ペアだけをたくさん持つのはリスクが大きいです。そのため高金利通貨を複数もつことでリスク分散をした気になっている人がいます。例えば、NZDJPYをもっていたが、これだけではリスクが大きいといわれてZARJPYやTRYJPYも持つようにしましたという感じです。しかしこれは危険です。
下の図を見てください。これは2007年度のチャートにAUDJPY、NZDJPY、ZARJPY、TRYJPYなどの投資家に人気の高金利通貨ペアのチャートをあわせてみたものですが、ご覧のようにほとんど同じような動きをして下げるときはほとんど同時に下げていますね。もし、NZDJPYとTRYJPYに分散投資したから大丈夫・・・なんて思っていたら、いざ暴落したときはどっちも暴落していて全くリスク分散になっていないことになるのが一目瞭然ですね。そう、高金利通貨のペアは同じような動きをしやすいのでリスク分散にならないのです。このように同じような動きをするものを相関性があるといいます。
よって、ただ単にNZDJPYとTRYJPYに分けてもリスク分散にはなりません。
高金利通貨同士は相関が高い
さきほどのように高金利通貨ペア同士を組み合わせてもリスク分散にならないことがわかりました。
したがってNZDとTRYに分散投資したとしても
ほとんどリスク分散にはなっていないということです。
このように同じような動きをするものを相関があるといい、計算で数値化することができます。詳しいことは相関係数でリスクヘッジで説明しているのでそちらで相関係数のことを知ってください。
相関係数 | AUDJPY | ISKJPY | NZDJPY | TRYJPY | ZARJPY |
AUDJPY | 1.0 | ||||
ISKJPY | 0.92 | 1.0 | |||
NZDJPY | 0.90 | 0.90 | 1.0 | ||
TRYJPY | 0.92 | 0.85 | 0.73 | 1.0 | |
ZARJPY | 0.74 | 0.70 | 0.78 | 0.62 | 1.0 |
相関係数は1.0に近いほど相関が強いといい、同じような動きをします。逆に-1.0に近づくほど逆の相関になり、全く逆の動きをします。上の表をみれば高金利通貨クロス円同士の相関はマイナスはおろか0.50以下のものもなく、ほとんどが0.80~0.90のとても相関が強いことがわかります。つまり同じような動きをするということが計算でも証明されているのです。
もちろんレバレッジ2,3倍の安全圏で投資をすれば相関性をあまり気にすることもありませんが、レバレッジが高めになって円高で損失が増えやすいなど、相関が高いペアを同時をもつことは同一ペアを沢山持つこととあまりリスクが変わらないことになってしまいます。
高金利通貨でTRYを買おう
NZDJPYとTRYJPYなどの高金利通貨を同時に持つのはリスク分散にならないことが分かりました。しかしそれだけの理由で高金利通貨投資を諦めるのは惜しいですね。そこで、高金利通貨同士のペアをオススメします。
為替変動を相殺
上記から高金利通貨の動きは相関性が高く非常に同じ動きをしやすいことがわかりました。では同じような動きをする通貨同士を組み合わせたらどうなるかというと、動きがかなり抑えられるのです。低金利のJPYやCHFなどと高金利のNZD,TRYのペアはとても変動が激しく年間30%ほど変動します。これに対して高金利通貨同士で組み合わせたペアAUDTRYやNZDTRYは変動率が10%ほどに抑えられます。つまりクロス円よりも高金利通貨同士のほうが為替変動リスクが少ないことがわかりますね。
TRYとのペアなら金利差もかなりのもの
しかしいくら変動が少ないとしても高金利通貨同士、例えばAUDとNZDを組み合わせてもスワップは1%ほどにしかならず長期投資には向いていないと思う方もいるでしょう。確かにメジャー通貨同士のペアは金利差が少なくあまり投資する意味はありません。しかしマイナー通貨の超高金利とメジャー通貨の高金利通貨を組み合わせればどうでしょう?ZARやTRYは15%以上の金利です。対してAUD,NZDは6,7%なのでその差は7~8%にもなります。NZDJPYと同じくらいですね。NZDJPYとNZDTRYは同じくらいの金利差なのに変動率はとても少なくなるのです。このように高金利通貨共通の変動を逆手にとって高金利通貨同士でペアを掴めば変動を抑えながらスワップを受け取ることができるのです。
金利差 | 変動率(2007) | |
NZDJPY | 8.00-0.50=7.50 | 22.25% |
NZDTRY | 16.75-8.00=8.75 | 11.20% |
高金利通貨同士のペアは相関性も低い
上記のように高金利通貨同士のペアは変動率が低いため、単に円キャリーによるNZDJPYよりもNZDTRYのほうがリスクが抑えられることがわかりました。しかもTRY関連の高金利通貨同士のペアは互いに相関性が低く、ある程度の分散投資にもなります。
相関係数 | AUDTRY | CADTRY | CHFTRY | EURTRY | GBPTRY | NZDTRY | USDTRY |
AUDTRY | 1.0 | ||||||
CADTRY | 0.00 | 1.0 | |||||
CHFTRY | 0.60 | -0.14 | 1.0 | ||||
EURTRY | 0.66 | -0.13 | 0.99 | 1.0 | |||
GBPTRY | 0.74 | -0.13 | 0.92 | 0.93 | 1.0 | ||
NZDTRY | 0.87 | -0.22 | 0.53 | 0.58 | 0.70 | 1.0 | |
USDTRY | 0.69 | -0.21 | 0.88 | 0.90 | 0.99 | 0.68 | 1.0 |
高金利通貨同士のペアは片方がかなりの高金利であることが必要ですから、必然的にTRY,ZAR,ISKなどに選択肢は限られます。ここではTRY関連の円以外のペアの相関係数を表してみました。比較的金利の低いCHF,EUR,USDは他のものと相関性が高くなってしまいますが、金利の高いGBP,AUD,NZDなどのペアはそこそこ相関性が低いことがわかります。特にCADTRYはかなり無相関に近く、ある程度の分散になることがわかりますね。
いろいろな通貨ペアの相関係数を調べてみると、上記のクロスTRYペアのように意外と高スワップをもらえるペア同士の相関が低いことが結構あります。是非自分でいろいろ研究して探してみましょう。