預金封鎖を回避し世界1位の資産家になった森泰吉郎
日本が戦後に行った預金封鎖と新円切替
今の日本は巨額の財政赤字を抱えています。それを解決するための究極的な手段として預金封鎖があります。これは政府において、財政が破綻寸前になった場合、銀行預金などの国民の資産を把握して、資産に対して税金を掛けて政府収入にあてることで、破綻から免れようとすることです。
ぶっちゃけて言えば政府による国民財産の強制没収です。
といってもただ政府が財産よこせと言っても国民は反発しますから、預金封鎖と同時に新円切り替えを行って間接的に没収をしました。
戦後に行われた預金封鎖と新円切替
今から半世紀以上前、昭和21年2月17日に突如として預金封鎖と新円切替が 実施されました。
この日に突然、政府がすべての銀行を封鎖し、個人法人問わず預金引き出し制限を掛けました。これが預金封鎖です。さらに今までの旧紙幣を使用を禁止され、旧紙幣に印紙を貼った新円だけが使用を許されることになります。これが新円切替です。
旧紙幣の預金は完全に封鎖され、新円のみを世帯主が 300円、家族が100円しか出金することができませんでした。これにより、いくら旧紙幣で預金してようがその資産はほぼゼロになり、政府がコントロール した額のお金しか手にすることができなくなったのです。
かつて日本は戦後直後に預金封鎖をして、国民の預金をぶん取った前科がある
預金封鎖を回避した当時の賢者たち
上記のように銀行に預けてある資産、および流通していた紙幣を価値のないものとして国民の財産を強制的に没収したのが預金封鎖と新円切替です。今まで持っていた資産がほとんどゼロになってしまうのですから、政府はいいとしても国民は大変でした。
インフレを抑えるためとはいえ、悪性インフレは当時とどまることを知らず、その上通貨まで使えなくなるのですから経済は大混乱です。当時を描いた資料や漫画などでは食うに食えずに餓死する人や畑の作物を動物のように盗み食いするような困窮した生活が描かれています。
預金封鎖をチャンスに変えた先人たち
しかしこのような預金封鎖、新円切替という大ピンチにおいても、それをチャンスに切り替えた人たちもいたのです。国際興業の小佐野賢治氏は熱海ホテルと山中湖ホテルなどの不動産を預金封鎖の前に手に入れました。ホテルの価値は不動産のため、預金封鎖にも影響は受けませんでした。このため賢治氏の資産は奪われることなく、その後のンフレによる資産の増加もあり、彼らは大実業家への道を開くことができたのです。
森ビルの創業者も預金封鎖を回避していた!
同じような人に森泰吉郎氏もいます。彼は貸家業の家に生まれ第二次世界大戦が終わると、1946年(昭和21年)の新円切替にともなう預金封鎖の直前に引き出した資金をレーヨンに投資し、これが高騰して得られた売却益などで積極的に虎ノ門周辺の土地を買い進めました。
現在の港区の一等地です。彼は本業として横浜市立大学教授・商学部長を担っていましたが、その本業の傍らで土地の整理やビル建設、貸しビル行などを営んで現在の超有名不動産企業森トラスト・ホールディングスの前身:森不動産を設立しました。
森ビル社長森稔氏、森トラスト社長森章氏は森泰吉郎氏の次男、三男です。
借金をうまく活用して不動産事業で大成功
森氏の不動産業は税金を払わないで済むように、次から次へと借金をして新しいビルを建設し続けました。1970年頃には資本金7,500万円に対して借入金が58億円まで膨らんだ時期もあったのですが、高度経済成長や都市集中のビジネスモデルを読みきって運営していました。
港区を中心に、住民を追い払って業務ビルを建設し続けたので、港区の夜間人口が減少したのは、森泰吉郎氏のせいだと言われています。その半面、以前は並みの区だった港区を今や誰もが知るブランド区にした功労者でもあります。
そして世界一の資産家となった森泰吉郎氏
上記のように不動産業を営んできた森泰吉郎氏は、そのビジネス運営の手腕とバブルによる日本の不動産価格の暴騰によってなんと世界一の資産家となりました。
当時の日本の不動産は完全にバブル化しており、かつ当時の調査方法は今とは違っているとか、刹那的な世界一とも言われますがそれでも世界一となったことは事実です。1991年(平成3年)および翌年の世界長者番付では、資産総額が約2兆7,000億円(1991年)でした。
フォーブス誌が世界長者番付を始めたのが1987年からですが、なんと87年から94年までは日本人が1位を独占しています。堤義明氏と森泰吉郎氏などの当時のバブルがいかにとんでもない実態のない泡であることがわかります。
年 | 氏名 | 資産 (10億ドル) | 国籍 |
1987年 | 堤義明 | 20.0 | 日本 |
1988年 | 堤義明 | 18.9 | 日本 |
1989年 | 堤義明 | 15.0 | 日本 |
1990年 | 堤義明 | 16.0 | 日本 |
1991年 | 森泰吉郎 | 15.0 | 日本 |
1992年 | 森泰吉郎 | 13.0 | 日本 |
1993年 | 堤義明 | 9.0 | 日本 |
1994年 | 堤義明 | 8.5 | 日本 |
1995年 | ビル・ゲイツ | 12.9 | アメリカ合衆国 |
1996年 | ビル・ゲイツ | 18.0 | アメリカ合衆国 |
1997年 | ビル・ゲイツ | 36.4 | アメリカ合衆国 |
1998年 | ビル・ゲイツ | 51.0 | アメリカ合衆国 |
1999年 | ビル・ゲイツ | 90.0 | アメリカ合衆国 |
2000年 | ビル・ゲイツ | 60.0 | アメリカ合衆国 |
2001年 | ビル・ゲイツ | 58.7 | アメリカ合衆国 |
2002年 | ビル・ゲイツ | 52.8 | アメリカ合衆国 |
2003年 | ビル・ゲイツ | 40.7 | アメリカ合衆国 |
2004年 | ビル・ゲイツ | 46.0 | アメリカ合衆国 |
2005年 | ビル・ゲイツ | 50.0 | アメリカ合衆国 |
2006年 | ビル・ゲイツ | 50.0 | アメリカ合衆国 |
2007年 | ビル・ゲイツ | 56.0 | アメリカ合衆国 |
2008年 | ウォーレン・バフェット | 62.0 | アメリカ合衆国 |
2009年 | ビル・ゲイツ | 40.0 | アメリカ合衆国 |
2010年 | カルロス・スリム・ヘル | 53.5 | メキシコ |
2011年 | カルロス・スリム・ヘル | 74.0 | メキシコ |
2012年 | カルロス・スリム・ヘル | 69.0 | メキシコ |
2013年 | カルロス・スリム・ヘル | 73.0 | メキシコ |
2014年 | ビル・ゲイツ | 76.0 | アメリカ合衆国 |
これでも個人資産を増やさず法人と子供に残した
森泰吉郎氏は1993年に亡くなりますが、一方、死後に公表された資産額は約117億円でした。
フォーブス誌が当時3兆近くあると判断していたこととは大分ずれていますが、これにはバブル崩壊による額面の目減り(山高ければ谷深し)のほか、フォーブス誌が森ビルの資産を泰吉郎個人のものとしていたことが理由です。
おそらく森泰吉郎氏個人というより、森ビル全体の資産が3兆円と判断していたのでしょう。それを支配しているのが森泰吉郎氏だからと。現在も多くの資産家は資産を法人に分散しているのは周知の事実であり、純粋に個人資産を図るよりも、その人が実質的に支配している個人資産+法人資産ということです。
4人の子供にうまく財産を継承
実際の森泰吉郎氏は 「個人資産を殖やすことに興味がない」 と言われており、事業がいくら拡大しても個人財産は増やさずに会社の財産を増やし、4人いた子供のためにそれぞれ会社を作り、相続をうまくこなしていました。
彼には森磯、泰成、森喜代、森泰の子がおり、4社が持株会社として森ビルなどグループ各社の株式を保有する体制を早くから整え、4人の子供をこの4社の社長として資産が各人に均等に分けられるよう配慮していました。
グループが発展すると更に森ビルも持株会社として資産保有をその子会社に移すなど体制を変化させ、これらの対応の結果として相続税が低減されています。現在、長男(大学教授:遺産131億円)、次男(森ビル)、ともになくなっており、かなりの資産をもっていたことが明らかになっています。森泰吉郎氏はビジネスオーナーとしても、一族の長としても一流であったことがわかります。
ちなみに三男の森章氏は今でもフォーブス誌の日本長者常連であり、森トラストおよび森トラスト・ホールディングス社長としてその資産は数千億円とも言われています。
一度取り掛かったら途中でやめない。どんな状況下でもチャンスはある。必ず成功すると信じてやり抜くこと。
【都心の再開発やデベロップメントでの成功の秘訣を問われて】
名言の著者 : 森泰吉郎
現在、預金封鎖は起こりえるのか
預金封鎖自体は戦後直後で半世紀以上前の出来事です。
しかし日本以外での世界の国では21世紀において預金封鎖が行われていることがあります。ハイパーインフレや財政危機、デフォルトといった事態が起これば、その流れで預金封鎖が行われないとは言い切れません。
例えば2008年には金融危機を起こしたアイスランドが、2013年にはキプロスが預金封鎖にあっています。
日本以外の通貨危機と預金封鎖(アイスランド,キプロス)
預金封鎖への対策はどうすればいいか
さて、具体的に預金封鎖が行われてしまうのなら、どのように対策すべきなのかです。理論上は上記のように円の価値が下がって、円を没収されるために できるだけ円資産をもたずに、円以外の資産をもつことです。つまり外貨資産をもつことや、不動産などを持つことが防衛策として有効なものです。
森氏の例をみても、不動産をもっていた人は強かったことがわかります。また当時の預金封鎖を知って防衛策を取っていた政治家の多くは株式をもっていたこともわかっています。
これによりわかるのは株式、不動産、外貨をもつことです。
まっさきに思いつくのが証券口座です。株式を購入することができる上にREITも手軽に購入できます。不動産なんて高くて買えない!という人はREITが一番です。REITとは不動産投資信託のことで、1口数万円から投資することができます。つまり不動産の小口購入といったものですね。不動産を 購入するには多額の資金が必要ですが、REITならある程度の低資金でも購入できます。
とにかく ”いつか始めよう” では突然行われる預金封鎖には対処できませんから、少額でもいいのですこしずつ始めましょう。証券会社はキャンペーンで最初から2~3万円のボーナスが貰える上に、外貨MMF、海外ETF、ドル投資、REIT、各種投資信託が購入できる万能のマネックス証券や楽天証券がお勧めです。今、対策を怠っておくと、もしもの時に後悔することにもなります。
実物資産として貴金属を持つのも有効
また実物資産としては不動産の他に、それ自体に価値をもつ貴金属類なども有効です。
例えば金貨や金地金などは金:ゴールドという有史以来価値を失ったことのない資産はそれをもっているだけで資産防衛になります。かの資産防衛で有名なスイスの銀行家などは 「ポートフォリオの1割は金:ゴールドにすべきだ」 と言っていました。
金は資産防衛としてとても有効です。金地金は1kgでおよそ数百万円、金貨も1オンスで十数万円と決して安くはない投資です。しかし各証券会社においては金ETFを安いものでは数千円から買うことができます。金ETFは金の価値に裏付けされた上場投資信託のため、これを買うことで金を買ったのと同じ資産防衛ができます。
あとは例外的な実物資産としては絵画やワインなどがあります。
絵画やワインなどはもちろんカンタンに取引できるものでなく、その価値も時の情勢によって大きく変わるため上級者かつ資産家でないとできない防衛策です。ただ一部ではワインファンドのようにワインの事業に投資するものもあります。
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