プラチナ(白金)について詳しく説明しましょう

プラチナの不遇の歴史

プラチナは銀と間違えられた


プラチナは金と同じくメソポタミア文明のシュメール人が使っていたので、歴史は金と同じくらいありますが、その価値が認められたのは結構最近のことです。見た目が ”銀” と同じ白銀のためによく銀と間違われて銀と同じような扱いをされていました。16~17世紀ごろにはスペイン・ポルトガルが南米で大量に強奪したのですが、銀と間違われていたために銀と同じような宝飾品にしようとしました。しかしプラチナは王水という超特殊な水にしか溶けないため性質があるために加工できなかったのです。そのため ”使えない銀” として大量に捨てられていた時代もあったのです。もったいないですね。

プラチナが日の目を見た


プラチナは見た目は銀色でたびたび銀と間違われてきましたが、金属性質が全く違う希少なものです。その希少性を認め、宝飾品として世に広めたのが実はあのカルティエです。カルティエ3代目当主ルイ・カルティエがプラチナの高い特性に注目し”貴金属の王”として宝飾品に取り入れた事で宝飾品として広まったそうです。さすがに 「宝石商の王であるがゆえに王の宝石商」 という名門ブランドと言われるだけあって、確かな眼力をもっていたのですね。

間違われやすい白金という呼び名

白金=ホワイトゴールドではない!


プラチナは日本語で訳すと ”白金” となりますが、これを直訳した 「ホワイトゴールド」 がプラチナと誤解されていることがあります。プラチナは「ホワイトゴールド」ではありません。 「ホワイトゴールド」というのは金にパラジウムという金属を混ぜて作られた白い色の金【Au】です。対してプラチナというのは【Pt】というちゃんとした元素として存在しています。つまり全く別の存在なのです。「ホワイトゴールド」 はプラチナ製品の半分の価値もありませんので、きちんと見分ける眼力をもたないと宝石商にぼったくられてしまいますよ。

プラチナ = 白金 = 【Pt】

ホワイトゴールド = 金とパラジウムの混合 = 【Au+Pt】 

プラチナ > ホワイトゴールド×2

プラチナの金属的性質

プラチナの特徴


プラチナという元素は【Pt】と表記され、元素番号78の遷移元素です。その特徴はまず非常に高い密度が挙げられます。【Au:金】も密度19.3と非常に高いですが、【Pt:プラチナ】は密度21.45と自然界に存在する元素の中では最大の重さをほこります。そしてその性質は化学的に極めて安定しており、非常に酸化しにく、融点が高く(溶けにくい)、他の化学物質に触れても変化しにくいという非常に安定している性質をもっています。その性質ゆえに工業用の触媒として使われています。また丈夫なためキズも付きにくく、長い年月が経っても輝き続けることが出来るのでシュメール人が使っていたプラチナも今も輝いています。

国際キログラム原器


プラチナはその非常に安定した性質から、国際キログラム原器として採用されています。国際キログラム原器というのは1kgを定義する国際標準です。1kgというのは本来h3O:水1リットルを測ればいいのですが、一口に水といってもいろんな別の物質が混ざったり、蒸発したりして(ミリ単位、ナノ単位で誤差が出る)本当に厳密な1リットルにはなりません。

そのため国際基準として、化学的にとても安定して物質の変化が少ないプラチナを基準とした物質で1kgを決めているのです。国際キログラム原器はプラチナ(白金)90%、イリジウム10%からなる合金でできており、ほとんど蒸発も揮発もせず、酸化もほとんどないという理想的な金属です。これによって正確無比な1kgという数値が計測できるのですね。

この国際キログラム原器はフランスのパリ郊外セーヴルの国際度量衡局に、二重の気密容器で真空中に保護された状態で保管されています。なぜ真空かといえば、酸化することによって極わずかでも重量が変化しないようにするためです。いくら酸化しにくいとはいえ、全く酸化しないというわけではありませんからね。

国際キログラム原器は極めて酸化しにくいプラチナが大部分を占めている

身近に存在するプラチナ

一見、私たちには縁のないように思えるプラチナですが、21世紀の文明に必要不可欠な物質なので私たちの生活のいたるところにプラチナが使われています。

プラチナの用途:自動車


生活の要でもある自動車の触媒には、プラチナが使われています。上記のように非常に可変しにくい性質をもつプラチナは触媒として必要不可欠なものなのです。ガソリン車よりもエコカーのほうが、触媒として多く使われるので今後需要は増加傾向にあります。これに困った自動車業界は、最近はプラチナ依存を避けようとプラチナの使用料を7~9割減らすことができる新触媒を開発しました。それだけプラチナに依存しているのですね。

プラチナの用途:パソコン


おそらくここ最近で私たちの生活の必需品となっているパソコン。その材料にもプラチナは使われています。このホームページもパソコンで見ていらっしゃるのですからあなたもプラチナに関わった生活をしていることになりますね。特にパソコンの記憶装置として必需のハードディスクに多く使われています。今後アフリカを中心に新興国のパソコンの需要は増えていくのでますます値上がりしてしまいそうです。

プラチナの用途:万年筆


プラチナは万年筆にも使われています。どこに使われているかというと、万年筆のペン先に使われています。プラチナの性質によってすり減りにくいので、安定した書き味を長く維持できるのです。しかし全ての製品に使われているわけではなく、一部の高級万年筆にプラチナが使われているのです。高級なのにはちゃんとした理由があったのですね。

万年筆にこだわりがある肩はプラチナ万年筆を検討してみてはいかがでしょうか?特に高級なのはプラチナ#3776(サン・ナナ・ナナ・ロク) という、『ミスター万年筆』と称された作家、故梅田晴夫氏と研究グループにより設計された理想の萬年筆です。まさに、美しい日本文字のための、日本を代表する万年筆の品質を語る名称です。

プラチナ万年筆の老舗プラチナ萬年筆  同社員が創業した中屋万年筆

プラチナの最高峰 プラチナ3776
他にもいろいろありますよ。
ちょっと高めの製品の材料を見てみれば、プラチナが記載されているかもしれませんね。

プラチナは一社の独占

プラチナというのは 「地球上には存在しない宇宙の物質」 と言われるほどロシアと南アフリカの2箇所に産出が限定されています。政情不安や一部の人間の独裁がたびたびおこるこの2カ国に産出が限定されるのは、政情リスクを抱えるので価格に大きな影響を与えます。

特にその市場を独占しているのが南アフリカのアングロ・プラチナ社です。世界のプラチナの生産の70%をほこる南アフリカのほとんど全てをアングロ・プラチナ社が牛耳っています。この1社で世界のプラチナの40%をも独占しているのです。それゆえアングロ・プラチナ社の動きは世界が注目し、アングロ・プラチナ社の動向でプラチナの国際価格が動くことがあります。これは完全は独占禁止法違反にも思えますが、そこは格差がひどい南アフリカ・・・政権にまで絶大な影響力をもつこの会社に誰も逆らえません。ちょっと困ったものですね。

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