結婚は年収300万円が分岐点。300万円以下で既婚率低下
男性の既婚率は年収300万円の前後で大違い
結婚出来ない男といったドラマが流行ったり、なかなか結婚できずに婚活サイトに登録したりと、近年男女ともに結婚へのハードルはどんどん高まっています。それは ”愛” だけではどうしようもない ”お金” という現実的な問題があるからです。
特に男性には収入の面を非常に気にする傾向がまだまだ強いです。逆に男性は女性の年齢や容姿にまだまだこだわります。男女平等と言いながらも互いの希望というか欲望がしっかり現れています。
しかし一時期のバブル女性のような 「三高(死語)」 を望んで消えていった人たちとは違い、現在の若い女性たちは非常に現実的であり、年収についてもかなり妥協しています。では現在の女性はどれくらいの年収を妥協点と見ているのでしょうか?その参考となるデータが内閣府の発表した 「子ども・子育て白書」 で20代と30代の既婚率で見ることができます。
年収別の既婚率を見てみると300万円に明確な差
上の子は内閣府の発表した 「子ども・子育て白書」 にある年収別の既婚率の推移を表したものです。20~30代の男性について既婚者の割合を年収別にみたところ300万円未満では10%を切っています。
コレに対して300万円以上の階層では約25~40%となり、300万円を境に大きな差が確認できます。就労形態別の既婚率をみると、30~34歳の男性では正社員が59.6%に対し、非正規は30.2%と半分程度。結婚を希望する人に 「結婚生活の不安」(複数回答) を聞いたところ男女とも半数以上が 「経済的不安」 をあげています。
白書では 「若い世代の所得の伸び悩みなどが未婚率の増加につながっている」 と指摘しています。まぁ当然ですね。この白書では 「若者に対する就労支援が求められる」 と書いてありますが、結局なんの解決策も書いてないです。
年収別の婚姻・交際状況をみると見事に比例する
上記は国土交通省が発表している「平成24年度の国土交通白書」の結婚・子育て動向にある年収別の婚姻・交際状況のグラフです。
どちらかというと年収200万円以下が全く結婚できないとも言えますが、年収200~300万円は14.6%、年収300~400万円では26.0%と大きく割合が跳ね上がります。特に800~1000万円に至っては44%の人が既婚です。恋人ありの人もあわせると72%となり、未婚の方は3割もいないのです。
年収200万円では絶望的でも年収300万円ならチャンスがある?
ただ見方によれば年収200万円では絶望的でも、年収300万円なら15%くらいひとは既婚でありチャンスがあると考えている方もいます。こちらの結婚情報サイトでは年収300~400万円の層と、年収1000万円以上の層の既婚割合が同じくらいなことに注目し、年収300万円もあれば十分と判断しています。
とはいっても同じ割合とはいえ、その中身は全然違います。
年収300~400万円では独身の方が1人で生きていく分には十分ですが、子育てをしたりするのはかなり厳しいと言わざるを得ません。結婚後の女性が働いてくれなければ300~400万円で夫婦と子どもを育てていかなければならず、親からの援助や助成金などを利用しなければ厳しいことは容易に想像できます。
また年収1000万円以上の方の既婚率が低いのは、こういった層の方は総じてエリート層が多く高度な職業(専門職、経営者)に就いているために就業時間が長く出会う機会や時間がないというケースが多いです。
例えば医師の方であれば医大6年、卒業後も研修医を何年も続け、やっとDrと呼ばれる頃には既に30歳を過ぎているのが一般的です。大学で浪人や留年などをしていればもっと遅れます。医大では1年、2年の浪人なんて珍しくありませんから。さらに研修医は若いことを理由に救急当番医などを押し付けられて職業拘束時間はとても長く、出会いの場が職場くらいしかないというケースが多いです。
他には起業した経営者などはTOPが働かなければ下は付いてきませんし、事業を安定させるまではほぼ休日なしでとてつもなく働き続けることもあります。そういったケースが多く、年収が多い方は仕事に使う時間が長いので出会いがないという事実もあります。単に同じ割合でも、職業の内容や、貯蓄の額、これからの給与の伸びなどには大きな差があるので同じ比較はできないでしょう。
また例外ですが年収が高すぎる方の一部には、家庭や性的なものも含めてお金で解決できるので結婚する利点がないからしないという独身貴族な人もいます。
30代男性に絞っても年収と配偶率は比例
上記は労働政策研究・研修機構によるデータで、主に結婚適齢期である30-34歳の男性に絞っての年収別配偶率をグラフ化したものです。右にいくほど高年収であり、上にグラフが上がるほど配偶率が高くなっています。
これを見ればわかるように、年収300万円以下での配偶率は3割程度しかありません。一方で年収600万円を超える男性の配偶率は7割を超えています。このことから男性の年収と配偶率は比例することも一目瞭然となります。
内閣府が発表している「少子化社会対策白書」においてもその推移が記されています。
グラフにおいては25-29歳、30-34歳、35-39歳の3種類に分かれてグラフチャートが描かれていますが、そのチャートも同じような形をとっており、年収が上がるに連れて婚姻率が上がるという法則は何も変わりません。
増え続ける年収300万円未満の人たち
上の図のとおり、男性は年収300万円を境に結婚への大きな壁があることがわかりました。女性としても理想は1,000万円・・・とはいわず600万円ほど欲しいという意見が多いですが、300万円がギリギリ妥協できるという最低水準ではないでしょうか。しかし現実は思っている以上に厳しい状況にあり、年収300万円すら届いていない人たちがたくさんいるのです。上記の白書でも指摘されていますが、若年層を中心に非正規雇用が非常に増加し、低い年収にあえいでいる人が相当いるのです。
上記は国税庁の 「民間給与実態調査」 から抜き出した年収300万円以下の人口割合です。見ての通り、最近では年収300万円以下の方がなんと40%、4割を超えてきてしまっているのです。ここ10年ほとんど右肩上がりで増加しています。戦後最長の景気拡大期であったにもかかわらず増加しています。
その最も大きな理由は、高齢化に伴う勤労者の減少(最も稼ぐ40、50代男性人口の減少)、中国や東南アジア雇用の影響による人権費の下落、長らく続いた不況によるパートタイマー者の増加、非正規社員(20代を中心とした派遣社員)の増加などが挙げられます。
年収300万円の人が4割いることは変わっていない
上記は厚生労働省が発表している「民間給与実態調査」における給与階級別給与所得者数の構成比の表です。一番新しい平成28年度のところをみても年収300万円以下の割合は39.6%となんとか4割を切るレベルになっています。
非正規率割合は20年間上昇し続け、ようやく横ばいになった
上記は内閣府が発表している「少子化社会対策白書」に記載されている男女別の非正規雇用割合を男女(15~24)(25~34)別にグラフ化したものです。
非正規雇用割合についてみると、男女ともに1990年代から2000年代にかけて上昇傾向が続いてきましたが、やっと近年は横ばいになりここ数年においては男性の正規雇用は25~34歳においては15.3%と最近は若干改善されてはいます。とはいっても若年層の男性や女性にいたっては全年齢において割合が高い状況は変わっていません。
年収200万円以下の人は1,000万人突破
このように年収300万円以下の人が全体の4割を超えてしまっています。これでは女性が最低限妥協できるラインを満たしている方が少なく、なかなか結婚できないというのも納得できてしまいます。愛があれば障害は2人で乗り越えられるとフィクションではよくあるフレーズですが、実際低収入で結婚したカップルというのは高確率でお金が問題でトラブルを起こしたり、子供を殺してしまったりして、親世代の援助がなければまともに生活できないのが現実です。そしてさらに悲劇的なのが、年収300万円どころか年収200万円すらも届かない、最低賃金・生活保護レベルの年収しか得られていない方が1,000万人を超えてしまっています。
上の図も国税庁の 「民間給与実態調査」 から抜き出した年収200万円以下の人口割合です。しかもこのデータはまだ金融危機が起きていない2006年のものです。現在のデータを見れば年収100万円以下が400万人、年収100~200万以下が700万人と1,100万人を超えています。
しかも恐ろしいことにこの調査は民間賃金、ということからもわかるように給与所得者だけが対象なのです。自営業の方やフリーの方、そして無職の方やバイトばかりしている人は含まれていません。そういった方々を含めれば、当然その数は1,000万人程度ではすみません。1,500~2,000万人を超えているという試算もあるのです。年収300万円は、かなりマシなほうと言えるのです。