日本と先進国の間には最低賃金格差がある

日本の賃金・給与は先進国と比較して低い

日本の格差社会化はどんどん進行し格差社会先進国であるアメリカを追い抜くのも時間の問題というひどすぎる実態にあります。そしてある点においては日本は先進国随一とも言っていいほど格差が存在しているところがあるのです。

それは私たちにとって、身近な ”労働環境” です。

ご存知のとおり日本の労働環境は正規雇用者と非正規雇用者との差がとてつもなく大きい雇用格差が生じています。これは平成不況で新卒社員の採用を絞り、余分な社員を人員整理するリストラが全国規模で行われたためです。その後景気が回復しても企業は従業員に支払う給与のUPには消極的であり、何時になっても給料は上がっていません。

しかも給料が上がらないだけではなく「ブラック企業」「ブラック職場」などといった劣悪な労働環境がはびこっています。そしてこの労働環境はただ酷いだけではなく世界的にも酷い水準にあります。世界と比較して日本の賃金水準がどうなっているか見てみましょう。

主要先進国で一番低い賃金

上記は独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表しているデータブック国際労働比較2018の一部にある2015年の時間当たり賃金(購買力平価換算)グラフです。日本を100として基準にしています。

グラフを見ると分かるようにアメリカが126, イ ギリスが114, ドイツが176, フランスが141となっており, 日本は代表的な先進国各国の賃金水準を下回っていることがわかります。10~20の小さな差ではなく、50近くという1.5倍の差をつけられてしまっています。特にドイツに対しては1.8倍という大きな差がつけられています。

日本の最低賃金は先進国最低レベル

日本の最低賃金は世界的にも最低のレベル。先進国の中ではビリであり、新興国と同じ水準に過ぎない

上の図はOECDのレポートを元に、世界各国の労働者の最低賃金を平均賃金との相対水準で表したものです。低ければ低いほど、平均賃金よりも最低賃金が低い水準にあり、賃金格差や労働者の搾取が行われていることが示されます。

この図をご覧になればハッキリとわかりますが、日本の最低賃金の相対水準は28%と相当低い水準に抑えられていることがわかります。特にOECD諸国の中で、メキシコ、韓国、トルコとほとんど変わらないレベルにあり、先進国の中では最低といわざるを得ません。また不名誉なデータが出てしまいました。

OECDのデータを元にしてみる


(クリックすると拡大します)

最近のOECDのデータを見ても日本の実質最低賃金は先進国の中でも低いままです。

フランス、ドイツ、オーストラリアのような国々よりはるかに低く、ニュージーランドのような小国やアイルランドといった先進国といっていいか微妙な国よりも下です。唯一格差がひどい国の代表格であるアメリカより上回っているのだけが救いでしょうか。その他日本の下にあるのはスロバキア、スペイン、韓国などGDP世界3位の日本と比較してもかなり小国な国ばかりです。

ヨーロッパ先進国の最低賃金は高い

オーストラリア 9.54USD
ルクセンブルク 9.24USD
ベルギー 8.57USD
アイルランド 8.46USD
フランス 8.24USD
オランダ 8.20USD
ニュージーランド 7.55USD
ドイツ 7.19USD
カナダ 7.18USD
イギリス 7.06USD

ちなみに世界で最低時給が高い国は上記のようになっています。(参照:Elite Reader)上位は軒並み治安の安定しているヨーロッパの国々になっています。

北欧の国は最低賃金を定めてないのでランキングに出ない

といってもこのランキングに入っていない高所得な国々もたくさんあります。ヨーロッパの国々の一部では日本のような最低賃金を定めていない国もあります。

例えば物価が高いことで有名な北欧の国々であるスウェーデンやノルウェー、デンマークといった国はそれに当たります。他にも永世中立国であり、内陸国のため物価も高いスイスもそれにあたります。

デンマークの最低時給は1900円、ルクセンブルクの最低時給は1500円

断片的ではありますが英語版wikiの最低賃金ページを参照すると、デンマークでは最低時給DKK 110 (日本円で1900円) 、ルクセンブルクは11.5525EUR(日本円1500円)という情報を拾うことができます。やはり相当高額になっています。

どんどん上がるヨーロッパの最低賃金

上記データは少々古く、実はヨーロッパの国の最低賃金はどんどん引き上げられています。

日本の最低賃金は874円

参考までに日本の最低賃金を見てみましょう。日本の最低賃金は厚生労働省が発表している地域別最低賃金の全国一覧を参照にすると、全国加重平均額は874円になっています。これでも大分高くなっており、一部地域では1000円を超えたとかいう話もありますが、データ上は東京でも1000円を超えていません。

これを基準として他の先進国の最低賃金をみてみましょう。

アイルランドは1220円

アイルランドなどでは2018年には時給9.55EUR(日本円で約1220円)かつ週39時間労働が決められています。

イギリスでは1200円以上になる

イギリスなども2019年には8.21GBP(日本円で約1200円)の時給が定められます。

オーストラリアに至っては1500円

オーストラリアでも2018年7月には時給18.93AUD(日本円で約1500円)に上がっています。

ニュージーランドも1250円超え

オーストラリアの隣ニュージーランドの最低賃金も上がっています。2018年には最低賃金を16.5NZDに設定するということであり、これは日本円では1250円を超える値です。NZDが少々下がった数値でもこれですので、実質はもっと高いです。

フランスでは1300円

フランスでは時給9.88EUR(日本円で約1300円)

ドイツでは1100円、さらに2年間上がることが決定

ドイツでも8.50EUR(日本円で約1100円)に上がっています。さらにドイツは隣国フランスを意識してか2019年、2020年にも最低時給を引き上げる法律を決定しており、その際は9.35EURまで引き上げられるとのことです。

スイスは最低時給2500円にし、一部州では2000円超え

特にこのスイスにいたっては以前最低賃金を22スイスフランにしようという動きまであったくらいです。2014年の当時スイスは最低賃金を22スイスフラン(約2500円)にするという、世界最高額の最低賃金を定めるかどうかの国民投票が行い、賛成24%、反対76%で否決されています。

22スイスフランは日本円で当時2500円相当に当たります。日本で時給2500円といったら通常のバイトではありえず、家庭教師のような専門職などでないと現実的ではない数字です。

ただし話はこれで終わっておらず、スイスのヌーシャテル州は2017年に時給20スイスフランの最低賃金を導入、続いてジュラ州も時給20スイスフランの最低賃金を導入しています。2014年には否決された時給22スイスフランには及ばないものの、最低時給が日本円換算で2000円を超える状況になっているのです。

アメリカでは州ごとに決められていて格差がひどい

アメリカの最低賃金は日本よりも低いという情報もあります。確かにアメリカ全体で見れば7.25USDほどであり、日本と同じくらいです。円安円高の関係でアメリカのほうが低いともいえます。

ただアメリカは連邦国であり、最低賃金が州ごとに決められています。アメリカの州では豊かなところとそうでないところの格差も開いており、その最低賃金の設定も大きく違います。

例えばコロラド州、フロリダ州、ワシントン州、ワシントンDC、ニューヨーク州、ハワイ州などでは最低賃金が10USDを超えており日本円で1100円の高額な賃金となっています。一方でニューメキシコやミズーリ州などは7USD台と低く、同じ国でも最低賃金に3~4割の差がついてしまっています。それがアメリカです。

 

非正規労働者の賃金はぶっちぎりのワースト1位

日本の非正規労働者、パートの賃金は最低レベル水準にある

世界最低のレベルなのは最低賃金だけではありません。上の図は主要なOECD参加国の、パートタイム労働者の賃金水準がフルタイム労働者と比較して時給ベースでどのような水準にあるのかの国際比較を掲げたデータです。

この図を見て驚愕したパートの人もいるのではないでしょうか?

なんと日本のパートの人の賃金は正社員の賃金の半分にも満たないのです。しかし他の先進国では正社員の60%以上、高い水準の北欧諸国(スウェーデン)やスイスでは90%にも到達します。日本のパート人たちはとんでもなく賃金を低く抑えられてコキ使われているのです。最低賃金は、あくまで世界最低レベルだったのですが、非正規労働者の場合では文句なしのブッチギリの世界ワースト1なのです!

なぜこれほどに正社員との格差が生じてしまうのか?それは日本の企業が、終身雇用や年功賃金などの保守的な日本型雇用制度を重視してきたために、外から入ってきた社員をないがしろにする風土が今もなお根強く残っているからに他なりません。日本の企業は 「パートなんて使い捨て」 という認識を今でも持っているのです。

今の日本は勤労が美徳とならない国

戦後の日本は「勤労は美徳」という明治以来の日本人の仕事観・勤労観が存在し、苦しい生活の中にも「一生懸命働けばきっといい明日が来る」と信じ、「良い暮らしをしたい」「お金を稼いで親にいい生活をさせたい」「一家の大黒柱として家族を守る」「良い仕事をして出世したい」など、働く事の夢や希望や努力を惜しまない一生懸命さが存在していました。またヨーロッパでも宗教改革後のプロテスタンティズムは勤労とそこから生じる富を認知し、勤労を美徳とする認識が存在していたのです。

しかし今の日本は違います。

いくら働いても働いても豊かになれず絶望するしかないワーキングプアやネットカフェ難民といった希望なき貧困層の人たちが存在します。こんな世の中では働くことがバカバカしく思えてきます。今のサラリーマンの人たちも勤労が美徳と感じるから働いているのでなく、生活のために仕方なく働いているという人が多いでしょう。今の日本は勤労は美徳ではなくなったのです。

日本は格差が拡大するアメリカ社会を追随する

今世界的に働き方改革が問われており、スウェーデンなどの北欧を中心にヨーロッパの先進国では企業と従業員、双方が利益を得られるような仕組みを作るように努力しています。ワークシェアリングなどもその一種ですね。

このように労働者と資本家に二分するような社会から、会社も社員も法人も個人も共存していけるような社会を目指しています。

一方、日本の社会構造は高い税金を徴収して再分配を考えるヨーロッパ式ではなく、富めるものがさらに豊かになっていくアメリカ式社会を追随しています。労働者は低い賃金で長時間労働、サービス残業、違法な管理職労働や派遣職の拡大など、酷い方向ばかりに進んでいます。働き方改革なんてのも名ばかりになっており、今後も労働者が虐げられる時代は続いていくでしょう。