格差社会では地方と首都圏との地域格差が拡大、東京都と沖縄の差はすさまじい!
格差社会によって地方格差も拡大
現在の日本では、格差社会化によって
地方と首都圏との地域格差が拡大しています。
もともと地方では若者が都市へ出て行ってしまって人口の高齢化が進み過疎化がひどくなっていたのですが、そこに格差社会が追い討ちをかけています。東京都や愛知県のような大都市圏には人やお金が集中して県全体で豊かになっているのに対し、沖縄県や青森県のように人もお金も出て行ってしまうような地方では県全体で貧しくなっているのです。嫌な言い方になってしまいますが、大都市は勝ち組、地方は負け組といったことが現実に起こっています。
一部の地域に勝ち組が集中し始めている
上の図は、都道府県全体の所得を県民数で割った1人当たりの所得をランキング表示したものです。ご覧の通り、東京都、愛知県、静岡県、滋賀県、神奈川県など大型の企業が集中している地方が上位を占めていることがハッキリとわかります。一方、沖縄県、高知県、青森県、宮崎県、長崎県などのいわゆる日本の端に当たる県は、かなり所得が低いです。これらの地方は日本の中心となる首都圏から地理的に離れてしまっているために、産業がなかなか発展せず、資本が流出してしまって所得が上がりません。
一番高い東京都と一番低い沖縄県との差は実に倍以上の格差があります。各地方によって物価などにも違いがあるので、一概に格差があると断言はしにくいのですが、大企業がある地方に富が偏ってしまっているのは明らかです。東京都、愛知県のように人も金も集まるところはますます発展していくのですが、沖縄県や高知県のような地方では人もお金も逃げてしまっているのでどんどん衰退してしまうのです。これから日本の人口は減っていくのですから、地方ではますます人がいなくなってしまって、さらなる地域格差が生じてしまうことが予想できます。
一部の地方への富の集中は最低賃金にも
都道府県名 | 最低賃金 | 都道府県名 | 最低賃金 | 都道府県名 | 最低賃金 | 都道府県名 | 最低賃金 |
北海道 | 667 | 東 京 | 766 | 滋 賀 | 691 | 香 川 | 651 |
青 森 | 630 | 神奈川 | 766 | 京 都 | 717 | 愛 媛 | 631 |
岩 手 | 628 | 新 潟 | 669 | 大 阪 | 748 | 高 知 | 630 |
宮 城 | 653 | 富 山 | 677 | 兵 庫 | 712 | 福 岡 | 675 |
秋 田 | 629 | 石 川 | 673 | 奈 良 | 678 | 佐 賀 | 628 |
山 形 | 629 | 福 井 | 670 | 和歌山 | 673 | 長 崎 | 628 |
福 島 | 641 | 山 梨 | 676 | 鳥 取 | 629 | 熊 本 | 628 |
茨 城 | 676 | 長 野 | 680 | 島 根 | 629 | 大 分 | 630 |
栃 木 | 683 | 岐 阜 | 696 | 岡 山 | 669 | 宮 崎 | 627 |
群 馬 | 675 | 静 岡 | 711 | 広 島 | 683 | 鹿児島 | 627 |
埼 玉 | 722 | 愛 知 | 731 | 山 口 | 668 | 沖 縄 | 627 |
千 葉 | 723 | 三 重 | 701 | 徳 島 | 632 |
上の図は都道府県別に最低賃金を表示したものです。 最低賃金とは、最低賃金法に基づき定められた賃金の最低基準で、経営者は最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされています。この最低賃金にも地域格差が出ています。県民所得でも出たように東京や愛知、大阪、神奈川のような大都市圏にある所は最低賃金が750円以上にもなっていて非常に高水準です。これらの地方では企業が多いので働く場所も多いので必然的に賃金も高めになるからです。一方、沖縄や鹿児島、宮崎といった地方では最低賃金が最低賃金法に定められた水準ギリギリの状態です。これらの地方では大都市圏とは逆で、働く場所が少ないので賃金が低くても人が集まってきて、賃金が上がらないからです。
東京と沖縄との差は実に150円近くにも及びます。時給レベルで150円も違うのですから、仮に週40時間で一ヶ月働くと、東京都では766×40×4=122,560円、沖縄では627×40×4=100,320円となり実に22,240円もの差になってしまいます。年収に換算すると26万円もの差になるのです。このように東京都、愛知県のように人も金も集まるところは賃金も高いのですが、沖縄県や鹿児島県のような地方では人もお金も逃げてしまっているので賃金が低いままなのです。
ちなみに日本の最低賃金の水準が
全世界で最低のレベルにあることはご存知でしょうか?
所得格差が保険料の地域格差をも生む
日本には、国家レベルでの保険制度があります。あなたも健康保険、社会保険、共済保険などに加入しているでしょう。しかしその保険料にも地域格差が生じています。
後期高齢者医療制度以外の保険制度というのは市町村単位の助成金と加入者からの保険料に成り立っています。そのため金持ちが多い街では、保険制度のお金が潤沢に貯まっているので保険料が少なくて済み、安い値段で診療を受けることができます。しかし貧乏人ばかりの街では保険制度のお金が集まりません。結果として保険料は高くなり、診療を受けるにも高額の診療代がかかります。このような保険制度や医療制度の地域格差も生じているのです。
本来は国レベルの保険制度なので、全国から保険料を徴収して、それを高齢化が進んでいる地方へ優先的に分配するのが正しい保険制度のはずです。しかし今の日本の保険制度は金持ちの街だけ医療設備を充実させて、貧乏人の街を切り捨てようとする制度になっているのです。実際に医療設備の整っている神奈川県の横浜市、川崎市や東京都の三鷹市、国分寺市、練馬区では平均寿命がどんどん長くなっています。一方で銚子市民病院のケースのように地方の医療制度は破綻し始め平均寿命は短くなってきています。
所得格差がアニメ番組の地方格差も生む
いまや日本の主要コンテンツ産業となったアニメ産業ですが、このアニメでも地域格差が生じています。あまり他の地方へ出かけない方には実感がないかもしれませんが、TV番組というのはどの地方によって局が違うので番組自体も違います。沖縄や北海道に旅行へ行かれた方は旅館のTV番組が全然違った経験があるでしょう。このように地方によって番組編成が違うために首都圏では放送しているアニメも地方では放送していないことがよくあるのです。
ではアニメの地方格差とはどういうことかというと、地方にいる人は首都圏のアニメを見ることができない場合があるのです。地方によってはその地域にある地方TV局がキー局の系列であり、キー局が買ったアニメを放送することもありますが、所得が少ない地方のTV局はアニメの放映権を積極的に買おうとしません。そのため資金が潤沢な首都圏の放送局(東京MX、さいたまTV、TVK、千葉TVなど)のみで放送されることが多いのです。地方のアニメファンには 「なんでウチの地域では放送されないんだ!」 という不公平感が生じているでしょう。これはアニメだけに限った話ではありません。TVの番組やあらゆる情報に地域格差が生じてしまうのです。