最近、勢力を急拡大しているEMCOMシステム (旧FONOXシステム)
EMCOMグループとは元々ジャレコだった
以前は老舗のゲーム企業だった
最近FX業界に進出しているEMCOMグループとは、旧社名をジャレコグループといい、以前はゲームソフトなどを開発していた会社でした。主な活動時期は、ファミリーコンピュータの時代であり 「ミシシッピー殺人事件」、「燃えろ!!プロ野球」 などは一部ユーザーに好まれていた企業です。しかし2000年に香港資本に買収されて以降はゲーム事業には力を入れなくなり、金融関係の事業を中心するなど全く変わってしまい、ゲーム自体もかなり少なくなっていきます。
ゲームから金融事業へ転換
2006年ごろになるとジャレコの幹部には 「ライブドアショック」 で有名な旧ライブドアの関係者がどどっとなだれ込み、その幹部らによってジャレコは金融事業を中心とした経営方針に変わっていきます。そして不振だったゲーム部門をスッパリと切って、FX事業に集中し始めるのです。それが今のEMCOMグループとなります。現在では、FXの取引システムを独自開発してASP事業を始めたり、人気のないFX業者を買収して自らの傘下に加えるなどFXを中心とした活動をますます強めています。なお、ゲーム事業のジャレコはゲームヤロウに売却されたので、今のEMCOMはほとんどジャレコとは関係ないグループになっています。
EMCOM(旧FONOX)システムの特徴
EMCOMには、グループ企業としてかなりの会社が存在しています。その中にある “EMCOM CONSULTING “ というシステム会社が、EMCOMシステムと呼ばれるFX取引システムを開発しているところです。なぜ旧FONOXかといえば、グループ全体がEMCOMに名称を変更する前までは、このシステム会社がFONOXという名前だったからです。
そのEMCOMシステムの特徴ですが、なんといっても業界最狭といえるスプレッドの狭さです。例えばドル円のスプレッドなどが1.0pipsを切るなど、業界でもトップクラスといえます。図のMJでは、ドル円のスプレッドが0.8pipsになっています。またレバレッジも最高300倍から400倍までかけることができるので、少額の証拠金で大量に取引をするデイトレやスキャルをやる方に人気なのです。スプレッドの狭さやわかりやすいレイアウトが好まれて、多くの投資家に使われていることは確かです。ただし、レバレッジ300~400倍は、10万通貨以上、100万通貨以上の取引が必要なので大口の投資家しか利用できません。
しかし、約定力やサーバーの安定度は極端に悪く、初期のMJなどでは、2ヶ月~3ヶ月間不安定な状態が続き、たびたびサーバーダウンを繰り返したことがあります。約定力も悪く、スリッページをかなり広くしないと約定してくれないといった嘆きがよく聞かれるのです。また、EMCOMグループの一角でもあるみんなのFXでは、あまりにサーバーダウンや約定拒否が起こったため、ロスカットシステムが作動せずにあらぬ損失を出してしまった方が顧客が出てしまいました。みんなのFXは、そういった方に損失額以上の補填をしたり、架空の利益を計上したりしたために行政処分をくらったこともあります。最近では改善が見られるとはいえ、全体的に見てもあまり強くないシステムであるといえるでしょう。
EMCOM(旧FONOX)システムを使っているFX業者
買収とASPで多くの業者に使われる
現在、EMCOMシステムはかなり多くの業者で使われています。主にEMCOMグループが買収したFX業者と、ASP事業としてシステムを貸し出しているところがあります。最初にEMCOMシステムを導入したのはMJです。MJは、2007年にGFTの代理店を止めてEMCOMシステムを導入し、とても話題となりました。その後、EMCOMグループ自体がパンタ・レイ証券やカレンシートレードを買収、名称をみんなのFX、EMCOMTRADEと変更してサービスを開始しています。EMCOMTRADEが旧カレンシートレードだったことは知らない人が多いですね。そして、2009年にはトレイダーズ証券やDMM.com証券などにシステムを提供しています。この2つにはASP事業としてシステムを貸し出しているのです。
FXのシステムシェアを争う2大グループ
このように買収した会社とシステムを貸し出しているFX業者を合わせれば、EMCOMシステムを使っているのは、MJ、みんなのFX、トレイダーズ証券、DMM.com証券 と4社にも渡ります。EMCOMTRADEも採用していたのですが、撤退してしまいました。日本の業者の中では、かなり多くのシェアを取っており、外為オンラインが属するISホールディングスと並んでFX新興グループの一角になっています。この2大グループは最近どんどん勢力を強めています。外為どっとコムやFXプライム byGMOのような大手業者はシステムを自社開発をしているので新興勢力が入る余地はありませんが、それ以外のFX業者(特に落ち目の業者)を買収したり、システムを提供するなどしてどんどん勢力を増やしているのです。今後もこの2大グループがFX業界に大きな影響を与えていくでしょう。