ISK :アイスランドクローナは超高金利通貨だか通貨危機を起こした

アイスランド共和国の詳細データ

正式名称アイスランド共和国
人口31万人
面積10万km2
首都レイキャヴィク
宗教キリスト教
主要産業漁業、エネルギー業、サービス業
名目GDP143億USD(2005年)
一人当たりのGDP43,137USD(世界第4位の豊かさ)

ISK (アイスランドクローナ) の特徴

ISKとはアイスランドで使われる通貨である

ISKとはアイスランドクローナといいアイスランドで使われている通貨です。流通量はかなり少なく小国であるアイスランドでしか使えないために外国に現金が使われることはほとんどありません。アイスランドの表記はíslenskであり、クローナの英語表記がKronaとなるから、ISKと表記されるのです。ちなみにクローナとは北欧で ”王冠” を意味する言葉であり、同じ北欧の国であるスウェーデンやデンマークでも多少違いますがクローナという表記が使われています。北欧の国々は、その成り立ちから今も王室制度を継続しており、国家の名前も~王国となっているところが多いのです。

アイスランドの国旗アイスランドの地理

超がつくほどの高金利通貨

ISK(アイスランドクローナ)はなんと20%にも達するほどの超がつくほどの高金利通貨なのです。しかし小国であるアイスランドの知名度が低いこともあり、高金利通貨としての知名度はそれほどありませんでした。それは最近になってインフレがひどくなり高金利通貨となったからです。したがってZARやTRYのような歴史的な高金利通貨というわけではありません。

世界最高レベルの生活水準

アイスランドの国自体ののGDPは少ないですが、国民一人当たりでは世界でもトップレベルです。さらに国際競争力も高くヨーロッパ1位となっており小国ながらとっても豊かな国です。世界でもっとも汚職が少ない国とも言われています。日本やニュージーランドのように地理的にも紛争に巻き込まれることも無く、北欧の国々のように福祉国家としても充実しています。教育水準も高く英語やデンマーク語を小学校から習うため、ほとんどの人は3カ国語を操るトライリンガルです。識字率も99%になります。うらやましいですね。

世界でも特出したエコ国家

アイスランド国内の電力は、ほぼ全てが水力発電と地熱発電によって発電されています。家中の電力やシャワーを温めるエネルギーを全て地熱発電でまかなったりするほど電力は潤沢であり、火力や原子力に頼らないエコ国家としての地位が高いのです。地熱からも分かるとおり、温泉大国でもあり巨大な温泉があります。同じ火山大国である日本も同じように地熱発電で電力を賄うことが可能なため、原子力はいらないはずなのです。福島の事件は防げた人災でした。

アイスランドの巨大な温泉

アイスランドはカード王国

アイスランドではクレジットカードやインターネットバンキングなどによりキャッシュレス決済が進み、現金決済がほとんどありません。国民のほとんどは完全にペーパーマネーよりも電子マネーを使っていてカードの浸透率は世界一です。 「カードを無くしたらヤバイんじゃない?」 と思う方もいるかもしれませんが、アイスランドのカード会社のセキュリティは世界トップレベルであり、また治安がとても良いので犯罪も少ないので安心して使えるのです。

取引はSAXO業者のみでしかできない

後述のようにISK(アイスランドクローナ)は非常に流動性が低い通貨です。そのため調達が非常に難しく、日本国内のFX業者では取り扱うことは困難です。そのような理由があって、ISK(アイスランドクローナ)を取引できるのは世界的なネットワークを有するSAXO銀行のシステムを使っている業者でしかできません。日本のFX業者でSAXOシステムを導入している業者はkakakuFXDMM.com証券がありますが、2008年の金融危機においてISKは通貨危機を起こし、取引が停止されてしまいました。

ISK (アイスランドクローナ) のリスク要因

非常に流動性が少ない

ISK(アイスランドクローナ)は小国のアイスランドでしか使われない通貨です。そのため世界的にもISKの流動性は非常に低いものとして扱われており、マイナー通貨以下の流動性しかありません。前述のカード社会の影響で現金決済は少ないことも影響しています。取引も非常にリスクが高く、ISKを取引できるSAXOシステムでさえもレートが表示されないことがかなりあります。それゆえ一旦下落すると商いが薄いことで一気に暴落します。2008年の金融危機では一気に70%も下落してしまいました。

スワップがマイナスになる

ISK(アイスランドクローナ)は超高金利のはずなのですが、日にちによってはなんとスワップ金利がマイナスになることがあります。これは前述のISKの流通量の少なさが影響し、カバー先のSAXO銀行で調達コストがたくさんかかってしまうことが原因で起こります。通貨の調達コストがかかりすぎて、安定したスワップ金利を提供できないのです。そのためISK(アイスランドクローナ)をスワップ目的で保有するのは、かなりリスクが高い投資となっています。

ISKの市場は非常に小さい

小国であるアイスランドの市場規模は小さすぎといわれています。アイスランドの市場の1日の為替取引高は1億7000USD。USDJPYならば大口注文1件でもあり得る金額で、瞬時に完了します。この市場規模では大口の注文が受け付けられなく、投機により市場が簡単に破壊される危険性を持っています。そのためISKが取引できなくなる可能性もあるのです。2006年には投機の資金が一気に国外に出てしまってアイスランド通貨危機を起こし、2008年にはさらに打撃をうけて国家破産寸前まで追い詰められました。

最終的に取引停止になった

ISK(アイスランドクローナ)は上記のように市場が小さく、流動性が極端に小さいハイリスクな通貨です。そして2008年10月にはSAXO銀行の力をもってしても通貨が調達できなくなり、ついに取引停止になってしまいました。その際、ISK(アイスランドクローナ)のポジションは全て強制決済されてしまい、ISK投資家はかなりの含み損をかかえたポジションを泣く泣く決済することになってしまったのです。流動性が低いというリスクは最悪の場合、このように強制決済に追い込まれることもあることを認識してください。

ISK (アイスランドクローナ) の政策金利

アイスランドの金利情報は少ない

ISK(アイスランドクローナ)の金利に関する情報は非常に少ないものとなっています。これも小国ゆえの欠点であり、金利情報はおろか通貨の変動情報さえもほとんど入ってこないことが多いのです。以前はたった2.0%だった金利が数年で15%に急騰するなどの情報が、かなり後になって入ってくるなど、非常に情報が乏しいのです。

通貨危機の余波による高金利

現在のISK(アイスランドクローナ)は、アイスランドの通貨危機・経済危機によって起こったインフレ抑制のために政策金利が20%近くにもなっています。しかし前述のように、アイスランド危機が起こる前の平穏な次期には政策金利が2.0%ほどだったこともあります。スイスと同じくらいまで金利が低かった時期もあったことからもインフレが抑制されれば政策金利は低下していくことが予想されます。ただし金融危機と通貨危機がおさまるまでは相当高金利の状態と混乱した状態が続くでしょう。もちろん、このような混乱した状況がおさまるまではSAXOも取引を再開することはなさそうです。

 
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