GBP (イギリスポンド) とは値動きが激しい上級者専用の通貨

イギリスの詳細データ

正式名称グレートブリテン及び北アイルランド連合王国
人口6,000万人(日本の半分以下)
面積24.3万km2
言語キングスイングリッシュ(英語)
首都ロンドン
宗教英国国教等
主要産業航空機、電気機器、エレクトロニクス、化学、金属、石油、ガス、金融
名目GDP2兆2,296億100万USD
インフレ率2.8%(2005年)
失業率5.0%(2005年)

GBP (イギリスポンド) の特徴

GBPとはイギリスで使われる通貨である

GBPとはポンドといい、イギリスで使われる通貨です。イギリスとは正式な国名ではなく、正しくはグレートブリテン及び北アイルランド連合王国となります。このグレートブリテン島の英語表記が GreatBritain であり、ポンドの表記が Pound となることからGBPと表記されるのです。通貨自体も正式名称がスターリング・ポンドというのですが、FXでは ”ポンド” という呼び方が浸透しています。旧植民地であったエジプトなどでも通貨の単位にポンドが使われるためUKポンドとも呼ばれます。UKとはUnitedKingdomのことです。イギリスとは日本固有の読み方であり、他の国でイギリスと行っても通用しません。基軸通貨の地位こそアメリカに奪われてしまいましたが、いまだに流通量は世界第4位を誇ります。

グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の国旗グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の位置

重さの単位であるポンドが由来

ポンドという単語にはもう1つ ”重さ” という意味があります。通貨ポンドとこれを無関係ではありません。もともとポンドの起原は紀元前の古代ローマ時代の重さの単位「ポンドゥス=Pondus」にあり、760年頃に1ポンドの銀から240個のペニー銀貨を作った。そして1816年の銀本位制からの離脱によって「ポンド」は銀の重量ではなく貨幣単位になったのです。

過去の基軸通貨

世界史を勉強した人はご存知でしょうが、イギリスは19世紀に七つの海の覇権を握って世界中を侵略した強大な国家でした。19世紀はイギリスの世紀と言われるようにその影響力は絶大であり、そのイギリスの通貨であるGBP(イギリスポンド)は世界の基軸通貨となっていたのです。しかし第二次世界大戦後には、国力の衰退などによりその価値を証明するだけの金(GOLD)を保有できてなかったということでUSD(アメリカドル)にその地位を奪われてしまった歴史があります。今では基軸通貨だった頃がポンドのピークであり、後は落ちて行くだけの通貨とまで言われています。確かに為替変動を取るには魅力的ですが、長期的に保有する魅力には欠ける通貨です。

ポンド危機とジョージソロス

GBP(イギリスポンド)を語るうえでポンド危機とジョージ・ソロスを切り離すことはできません。ポンド危機とはヘッジファンドによってポンドの暴落を起こした有名な事件です。1992年、冷戦終結により東西ドイツが統一されて、旧西ドイツ政府による旧東ドイツへの投資が増加していました。それにより当時の欧州通貨はどんどん金利が高くなり、それに連動して過大評価されていきました。そこに目をつけたジョージ・ソロス率いるヘッジファンド勢は、いっせいにポンド売りを行いました。その結果、ポンドの過大評価が世界中に知れ渡ることとなり、いたるところでポンドは売られました。中央銀行であるイングランド銀行は必死にポンドを買い支えようとしましたが敵わず、ジョージ・ソロスなどのヘッジファンドの売りに対抗できなくなってポンドの急落を起こしたといわけです。これは 「ブラックウェンズデー」、「ポンド危機」 と呼ばれ、歴史に残る事件として知られています。

EU加盟国だがユーロを導入していない

ヨーロッパ圏の強国であるイギリスは1973年にEU(欧州連合)に加盟しました。これにより1999年にはポンドを廃止してユーロを導入することになると思われていましたが、イギリス国民は大英帝国の歴史にプライドと深い愛着を持っているためユーロの導入は否定されました。そのためにEU圏の重要国家でありながら、ユーロは導入せずに独自通貨を使い続けています。これは経済的な理由でユーロが導入できない東欧のチェコやハンガリーなどと未導入の理由が決定的に違います。

シティは世界の金融の中心

イギリスの首都ロンドンは金融の面においても非常に重要かつ、影響力のある都市として知られています。ロンドンは東京、ニューヨークと同じく世界の三大市場のひとつで、金融の中心地ロンドンの 「シティー」 は古くから大きな役割を果たしてきました。現在規則を厳しくして閉鎖的になっているニューヨークと違って、かなり新しい時代にオープンな金融街ロンドンはロシアや中東各国からの資金が潤沢に集まり否が応でも世界に影響を与える都市になっています。

GBP (イギリスポンド) のリスク要因

取引単位が大きい = 値動きが激しい

GBP(イギリスポンド)は取引単位が大きいことで有名であり、実にUSD(アメリカドル)の2倍近くになります。そのため変動率は同じでも変動幅が倍以上になりとても値動きの激しい通貨です。スプレッドやスワップが一見して大きく表示されるのはこのためです。これに気づかずにスワップ金利だけを見た初心者が 『GBPは一番の高金利だ』 と勘違いして、安易に手を出して大やけどをするケースが後を断ちません。2008年の金融危機においては1日におよそ10円以上下落したこともあります。他の通貨で10円下落することを考えれば、その動きの大きさがわかるでしょう。GBP(イギリスポンド)はこの値動きをきちんと理解できる上級者向けの通貨です。

指標がある夕方に激しく動く

GBP(イギリスポンド)はイギリスの通貨ですので、当然イギリスの主要経済指標に大きな影響を受けます。イギリスの経済指標の多くはロンドン時間、主に日本時間の17時~18時に発表されるので、その時間帯の値動きには注意が必要です。特にポンドは取引単位が大きいために、小さな影響でも相場には大きな変動幅を示すことがよくあります。例えばGBPJPYなどは、指標の影響によってカンタンに1円、2円も変動するのです。注目すべき主な指標はアメリカと同じ、失業率などの雇用統計や、BOEインフレレポートGDPなどです。特にGBPは指標の良し悪しで大きく相場が動くので、米雇用統計並の注意が必要です。

高金利ゆえ金利発表には注意

GBP(イギリスポンド)は先進国でも歴史的に高金利の状態が続いているため高金利通貨として有名です。1970年代には先進国でありながら政策金利が15%にもなったことがあるのです。そのためGBP(イギリスポンド)の金利は世界中から注目されて、金利の動向によって大きく変動します。原則毎月第一水、木曜日に開催されるBOE(英中銀金融政策委員会)による政策金利の発表には最大の注意が必要です。ただし最近は低金利になった上にECB(欧州中央銀行)が同じ日に開催されることも多く、ECBに話題をもっていかれる傾向もあります。

知ってた?実は原油の産油国です

見落としがちですが、イギリスは世界第9位の原油輸出国なのです。特に北海油田が有名ですね。北極海に大きな油田をもつノルウェーのように北極海には原油がたくさん埋蔵されているのです。そのため原油相場とイキリス経済は密接な関係を持っています。ただし原油相場はそれほど通貨との連動性はなく、GBP(イギリスポンド)と原油相場はほとんど連動しないでしょう。

GBP (イギリスポンド) の政策金利

イギリスの政策金利

GBP(イギリスポンド)は先進国でも歴史的に高金利の状態が続いている高金利通貨として有名です。1970年代には先進国でありながら政策金利が15%にもなったことがあるのです。その理由はなんといっても物価が上昇するインフレを抑えるためです。このインフレによる高金利の状態が続いているため、イギリスは景気過熱を予防するための利上げを実施してきました。一時は経済減速もしましたが、強い経済指標とインフレ懸念を背景に利上げをし、いまだに高金利が続いています。それゆえ2008年の金融危機が起きたときに政策金利を1%以下にしたのは、歴史上初めてのこととして投資家に衝撃を与えました。

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