2011年のFX業界:レバレッジ規制からのサービス重視と海外FX業者台頭
規制が終わりサービス重視になっていく2011年
2011年にはレバレッジ規制も完了し、最大レバレッジは25倍になってしまいました。コレを嫌ったハイレバレッジトレーダーが海外業者へ流れるようになります。この頃から海外FX業者の台頭も始まります。日本の規制に縛られない海外のFX業者が続々と日本へ進出してきます。海外FX業者は日本FX業者には提供できない888倍や1000倍のハイレバレッジ、追証が請求されない追証0の0カットシステム、入金することでボーナスがもらえるボーナスやロイヤリティプログラムなどを提供し、これが日本の投資家に大きなシェアを誇るようになっていきます。しかし日本の法律の外にある海外FX業者の中には詐欺まがいのところも多く、数百を超える海外FX業者がどんどん日本の投資家に営業をかけて被害も出ました。まさに3年遅れで同じことが繰り返されたのです。
また2011年には忘れることができない311東日本大震災が発生します。これは日本の市場にも大きな影響を与え、日経平均や円相場は超が2つも3つもつく歴史的下落を起こします。この下落によって皮肉にもレバレッジをかけていた投資家がかなり被害を受け、さらに顧客の損失をカバーできなくなった証券会社も大きなダメージを受けることになりました。
他にも大きなニュースとして店頭FXと取引所FXの税制統一が可決されたことも挙げられます。今でこそ日本の金融庁に登録されたFX業者で得た利益は一律20%の申告分離課税になっています。稼いだ金額の2割が税金になる制度です。しかし以前は店頭FXは金融取引の扱いを受けておらず、雑所得扱いの総合課税になっていたのです。雑所得扱いということで最高税率50%の高い税金を取られてしまい、なおかつ損失の繰越ができなかったのです。対してくりっく365などの取引所FXは税率20%となっており、同じ取引なのに税率が違うという極めて不公平なことが起こっていたのです。それを統一したのが2011年です。これには自身もトレーダーであった今井雅人さんの努力があったと言われています。
しかしレバレッジを上げることができない国内FX業者はレバレッジに頼らない魅力:サービスを提供する路線へと明確に変わっていきます。情報サービスを重視するFXプライム byGMOや外為どっとコム、くりっく365やMT4を導入するYJFX!、バイナリーオプションを導入するFXTF、GMOクリック証券、IG証券、システムトレードを導入するひまわり証券、インヴァスト証券など、次々と生き残った業者は自社でしかできない独自サービスを全面に押し出すビジネスモデルに変わっていきます。これによってFX業者の淘汰も終わり、業者の安全性が確立される時代になっていったのです。と同時に業者の多様性が広がる時代ともなっていき、投資家はいろんな選択肢が広がるようになりました。スプレッドやレバレッジを重視するなら海外業者を使い、サービスを重視するなら国内業者と、使いようが非常に広がったのです。
2011年は海外業者台頭とサービス転換の年
2011年の主な金融事件
3月11日 東日本大震災発生(14時46分)直後から売り注文が増加する。
3月14日 東日本大震災と福島第一原子力発電所事故による不透明感により日経平均が1万円割れ(先週末(11日)比633円94銭(6.18%)安の9,620円49銭が終値)。東京電力・東北電力・日立製作所・東芝・JR東日本など被災地域・インフラ関連銘柄がストップ安。
3月15日 日経平均が大幅下落(前日(11日)比1015円34銭(10.55%)安の8605円15銭が終値)。
8月 S&Pが米国債を「AAA」から「AAプラス」に格下げ、世界同時株安(米国債ショック)。
11月21日 東証が株式の取引時間30分延長を実施。
11月22日 東証・大証が経営統合を正式決定、2013年に新会社設立。
2011年に熾烈な競争から脱落したFX業者
2011年2月:フォレックストレードが親会社GMOクリック証券に吸収される。
https://www.click-sec.com/corp/news/press/20110215-01/
2011年4月:NTTスマートトレードFXが撤退→セントラル短資FXに移管
2011年5月:エース交易がFX撤退→ヒロセ通商移管
2011年5月:エイチ・エス証券がFX撤退→強制決済
2011年6月:アドバンデックスFXFX終了
2011年8月:三京証券FX事業撤退→ODLJAPAN移管
2011年9月:フォレックスクラウンFX終了→フィリップ証券移管
2011年10月:ビルウェル証券FX終了→強制決済