生活保護は暴力団に与えて、餓死寸前の人は見捨てるのが目的です

生活保護とは貧困におちない最後のセーフティネット

生活保護とは国の定める最低生活費基準額と収入を比較し、収入の方が少ない場合にのみ不足分が保護費が支給される下流の人の最後のセーフティーネットです。これによって社会の一番下に存在する最下層の人々がホームレスになってしまうような、いわゆる ”底ぬけ” を起こさないようにしています。

このように生活保護は年をとって収入がない人や病気や障害で働けない人、子どもが小さく思うように働けない人、医療費を払うことができない人などに一日でも早く自分の力で生活していけるように手助けする制度です。しかし今の日本の生活保護は格差社会の影響を大きく受けて年々受給者が増加し、その財源は日本の財政を相当圧迫しています。このため、現在では本当に支給しなければいけないような人へ支給できない崩壊寸前の状況になっているのです。

21世紀から急激に増加した生活保護受給者

生活保護受給者の推移

上の図はこの半世紀の生活保護受給者の推移を表したものです。20世紀の間はあまり変動がなかった生活保護世帯数は21世紀になって格差社会が叫ばれるようになると急激に増加します。生活保護率も高度経済成長期はどんどん下がっていったのですが、21世紀になるとこちらも急に上昇するようになっています。これは21世紀になって日本が確実に格差社会化し、下流や貧困層の人たちが生活に困窮し、生活保護を受けざるを得ない状況まで追い込まれたことを表しています。

生活保護は日本の財政が圧迫され続けているために、1990年代からは生活保護の受給水準はかなり厳しく制限され始めています。そのため1990年からは生活保護世帯数と保護率は一時的に下がったのですが、21世紀になると急激に増加しました。受給水準が厳しくなっているのに、それでもなお生活保護世帯が増加しているのは、下流や貧困層の人たちの生活がいかに困窮しているかということの表れでもあります。そして、それだけ受給条件が厳しくなっているにもかかわらず、生活保護受給者はここ10年、一度も減ること無く連続して過去最高を更新しています。このままではいずれ破綻するのは明らかです。

【ニュース:生活保護世帯、過去最多を9年連続更新】
生活保護受給世帯が2009年度に月平均で127万4231世帯に上り、9年連続で最多を更新したことが20日、厚生労働省の福祉行政報告例結果で分かった。前年度より12万5465世帯(10.9%)増と大幅に増えており、同省は「リーマン・ショック以降の不況で失業した現役世代の生活保護申請が急増した」とみている。
報告によると、生活保護を受けた実人数は月平均176万3572人で、前年度より17万952人増加した。世帯類型別では、65歳以上のみで構成する高齢者世帯が前年度比7.5%増の56万3061世帯、世帯主が障害者・傷病者の世帯が7.1%増の43万5956世帯。65歳未満の現役世代失業者らの「その他」は41.5%増の17万1978人と急増した。
時事通信:10月20日

【ニュース:全国の生活保護受給者、60年ぶりに過去最多を更新,戦後初めて205万人を上回る】
2011年7月の時点で、全国で生活保護を受給している人が、初めて205万人を上回り、60年ぶりに過去最多を更新したことが厚生労働省の調査でわかった。厚労省によると、2011年7月の時点で、生活保護を受けた人は、6月から8,903人増えて、205万0,495人となり、戦後まもない1951年度の204万6,646人を上回り、60年ぶりに過去最多を更新した。
生活保護を受給している人の4割以上を占める65歳以上の高齢者の増加や、2008年のリーマンショックを契機とした、失業者の増加が背景にあるとみられている。また、東日本大震災で被災して生活が苦しくなったことから、新たに生活保護を受けることが決まった世帯も、被災地を中心に増えているという。
時事通信:11月9日

生活困窮者には支給せず暴力団へ支給する生活保護

21世紀になってから生活保護受給者はどんどん上昇しました。それは生活保護の財源を相当圧迫するものですので、受給基準はどんどん厳しくなっていきます。しかしその受給基準はとてもあいまいなもので、生活に困窮して死ぬか生きるかの瀬戸際に立たされてる人には支給せず、暴力団に支給するといった困った基準になっています。埼玉県の深谷市では、暴力団組員が福祉事務所の職員を威嚇(いかく)するなどして、行政対象暴力のような形で生活保護を不正受給していました。

働けない人に生活保護を支給せず、その人はおにぎりが食べたいと・・・餓死した

北九州の男性餓死

2007年7月、働けないのに働けと言われ、生活保護を受給できなかった男性が死亡しました。男性は肝臓を害し 「病気で働けない状態」 にありました。しかし市の生活保護職員はそんな男性にことなど全く気にせず生活保護を受給させません。その後、病気が悪化した男性は 「おにぎりが食べたい」 という悲痛な日記を残して餓死しました。これは特異なケースではありません。今、全国の生活保護の現場では、財源の不足などで本来生活保護を必要としている人に受給されないケースが相次いでいます。その一方で、公営住宅に住み着き、生活保護をゴネにゴネて1億円もの金を引き出した暴力団員もいます。この団員は全く働いてもいないのに生活保護のお金で外国車やマンションを買いあさり、毎月のように買い換えていました。餓死しそうな人間は見捨てて、暴力団員の個人的な要求には応える ・・・ これが日本の生活保護制度です。

廃止された老齢加算・母子加算制度

実は生活保護には受給者の環境によって老齢加算・母子加算という上乗せ分があったことをご存知でしょうか?老齢加算というのは、老齢者は肉体的に弱いために暖房費、被服費、保健衛生費等などの大きな負担が必要であるという理由から、一般的な生活保護に1万8000円ほどが加算される制度でした。そして母子加算は、母子家庭という環境は配偶者が欠けた状態のまま児童を養育しなければならないので通常以上の労力と精神的負担がかかるという理由から、一般的な生活保護に2万3000円ほどが加算される制度でした。どちらも負担が大きい社会的弱者であることから、このような加算制度が存在することは納得できますね。しかしこの両制度、文章が過去形であることからもお察しのとおり、すでに廃止されてしまった過去の制度なのです!

廃止の理由としては、母子家庭には児童扶養手当があるから加算は必要ないということや、老人はたいした消費が無いからお金も必要ないという点が挙げられます。しかし決定的な理由であるのは、増大する社会保障費が日本の財政を圧迫しているという点です。ご存知のとおり、今の日本の借金というのは1,000兆円にも達するほどの天文学的数値にいたっています。当然、借金の利子を払うことで財政は圧迫され続けているので、とにかくあらゆるところを削る必要があるのです。それは生活保護にいたっても例外ではありませんでした。生活保護には約2兆円以上の予算が必要であり、見逃すわけにはいかなかったのです。役人の天下りなど、もっと削減できるところは存在しているはずなのですが、上記の北九州市のように財政の切り詰めを行っていったのです。国家というのは、常に国家財政のことが優先で、弱者は切り捨てられる。社会の腐敗を生み出すのは常に社会的強者であり、そのとばっちりを受けて痛い目をみるのが社会的弱者であるのは、いつの時代も変わらないものです。

本当に必要とする人にはむしろ支給しない

生活保護の受給基準はとてもあいまいなものです。上記のように暴力団の財源として支給する一方で、本当に必要とする人にはなんくせをつけて支給しない方針が存在します。上記の北九州市がコスト最優先の数値目標までもって申請を抑制してついに餓死者まで出したように、日本の生活保護行政は徹底して生活保護を受けさせないようにできているのです。これは意図的なものです。

貯金がわずかにあるだけで・・・

(NHKスペシャル:ワーキングプアより)
秋田県仙北市角館町で服の仕立て屋を営んできた74歳の鈴木勇治さん。町に40あった商店は11にまで激減し、鈴木さんの店も売上が1万円にも及ばない。しかし鈴木さんにはアルツハイマーで寝たきりの妻がいて、鈴木さんの年金収入は入院代(月6万円)でほぼ全額消えてしまう。この状態なら生活保護を受給できるだろうと推測する人もいるだろう。しかし鈴木さんは妻の葬儀代として100万円の貯金を保有している。この100万円の貯金の存在はそれだけで行政側が生活保護を出さない絶好の理由になる。「結局、貧乏人は早く死ねってことと同じだ」 と鈴木さんは嘆いた。

行政は受給を断る絶好の材料を探している

生活保護の受給を判断する行政は、生活保護を断ることができる絶好の材料を探すことにとても熱心です。北九州の事件でもあったように行政は生活保護を出さない一種のノルマのようなものが存在しているので、とにかく理由をつけて受給を断るケースが後を絶ちません。生活保護を断ることができる絶好の理由というのが、頼れる親族の存在、貯金や資産の存在、住民票の欠如などがあります。特に頼れる親族や貯金・資産の存在は絶好の理由であり、存在することがわかれば完全に却下されます。なんらかの理由があって親族から絶縁されていたり、資産があってもすぐに換金できないなどの理由は全く考慮されません。数字しか見ていない行政の冷たい対応なのです。同じように住民票の欠如も絶好の理由になっています。そのためネットカフェ難民の人は生活保護を受給できないのです。

下流の人の最後のセーフティーシャッターであるはずの生活保護は、本当に必要な人には与えられず暴力団の資金源となっているのです。そして日本の生活保護行政は政府と同じく自己の既得権益を守るために、対象者の状況を鑑みず、数字とにらめっこをしている始末です。もはや生活保護は崩壊しかかっています。そのため格差から脱出するには、司法書士行政書士公認会計士 日商簿記 社会保険労務士 など ”金になる資格” を取ってスペシャリストになる以外に道はありません。最近のZ会のような実力のある資格講座や通信教育には応募者が殺到しているのです。

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