国家格差:世界で豊かな国トップ10と日本の位置

世界で最も豊かな国トップ10

英語圏のランキングサイト『List Dose』に、他の国が羨ましくなる「世界で最も豊かな国トップ10」というものが紹介されています。日本もかつてはバブルの絶頂期にはフォーブス誌のランキングで堤氏や森氏などが世界一の長者になり、東京23区の土地の代金でアメリカ本土が全部買えてしまうなんて時期もありましたが今や昔。日本の世界ランクは下がっていると言われています。では世界のトップクラスと言われている豊かな国はどうなっているのでしょう。

オイルマネーと金融業の国が強い

10位:クウェート


クウェートは、アジアの西部にあるアラブ国です。中東らしく世界第5位の原油産出を誇ってます。イラクがその利権を狙って進行し湾岸戦争が起こったことは知られています。世界でもトップクラスの産油国のひとつです。オイルマネーに加えて、クウェートの豊かさに貢献していると考えられるのが、君主制という国の統治システム。豊かな支配層が提供する潤沢な資金によって経済活動が成り立つ上に、世界の景気にそれほど左右のされないところが羨ましいです。IMFの統計によると、クウェートの2011年のGDPは1,766億ドルであり、静岡県と同じくらい。一方、2011年の一人当たりのGDPは47,982ドルであり、富裕人口の割合が非常に高く、およそ8世帯に1世帯が100万ドル以上の金融資産を保有していると言われています。

9位:スイス


9位にランクインしたのは、スイス。世界で最も豊かな銀行といわれるスイス銀行の本拠地です。ゴルゴ13がスイス銀行の秘密口座を使っているという設定があるように、その秘匿性の高さも知られています。最近ではIRSに情報公開を迫られて最古参のPBが倒産したなど秘匿性には疑問符がついてきていますが、何世紀に渡って欧州の資産が集まった国としての地位と資産は揺るがないものがあります。さらにスイスのジュネーブは、世界保健機関(WHO)や国際労働機関(ILO)などの本拠地となっています。九州ほどの広さで人口も700万人ほどしかいませんが、世界20位のGDPを誇ります。富裕層も非常に多く、9.5%の世帯が金融資産で100万ドル以上を保有していると言われています。州によって税率が大きく変わり、一番低いところには欧州から移住してくるお金持ちがたくさんいます。あのハリーポッターの翻訳者の人も移住しました。

8位:UAE


正式名称はアラブ首長国連邦です。連邦ということで7つの小さな国が集まって連邦国家を形成しています。この国は昔、すごい発展も生産力もない大きな砂漠でした。しかし1960年代から国内に多くの油田が発見されてから突如、急成長を遂げました。クウェートと同様に、君主制による支配が多くの利益をもたらしています。石油の大半はUAEの最大構成国アブダビに依存しているため、石油に頼らないようにドバイやシャールジャが交通要所や経済特区として都市を発展させました。このように単なる資源国家だけではなく、経済国家としての成功もあるのです。ちなみに、アラブの現在のGDPは48,992.47ドル、埼玉県と同じくらいです。

7位:アメリカ


言わずと知れたアメリカ。世界の経済の中心、軍事の中心、権力の中心でもあります。世界最大規模の経済大国は、世界で最も豊かな経済圏のひとつでもあります。1000億円の大富豪ビリオネアが世界でもダントツのトップであり、5兆円以上もつビル・ゲイツやウォーレン・バフェットなどが有名です。ビリオネアの資産だけで国が買えてしまいます。また、アップルやアマゾン、グーグルなど、常に世界に通用するサービスを提供してきた企業があり、世界中に巨大な消費者市場を持っています。日本と違って人口増加国のため、3億人の人口を抱えながら今でも移民などで人口が増加し続けています。さらにゴールドマン、モルガン・スタンレー、など世界の金融の支配企業、ロックフェラー系を始めとしたエネルギー産業の支配企業など、世界の首根っこを掴んでいる支配企業の大半がアメリカにあります。

6位:ブルネイ


アジアの南東地域にあるブルネイ。あまりイメージがわきにくいかもしれませんが、この国の豊かさは豊富な原油と天然ガスという天然資源と石油の輸出が大きいです。また、2011年には公的債務が0%な国のひとつに、このブルネイも含まれていました。ほとんどの税金は全てゼロ、将来的な石油枯渇のために金融業や観光業にオイルマネーがつぎ込まれ、都市国家としても発展しています。

5位:香港


香港は、非常に世界経済と政治に貢献しています。中国の特別行政区なのでランキングに入っているのはおかしいかもしれませんが、この国は極めて発展した地域。香港の豊かさは、成長し続ける金融、貿易、そして商業のおかげです。世界三大国際金融センターとして知られていて、アジア金融の中心地でもあります。近年発展し続ける中国や東南アジアのマネーがどんどん流れ込んでいて、ますます膨張しています。

4位:ノルウェー


4位はノルウェー。この国には、豊富な原油、鉱物や漁業資源があります。世界第6の原油輸出国です。世界一税金が高い国とも言われたことがあります。しかし税金が高くても手厚い保護を受けることができるといった社会福祉国家なところが豊かさの秘訣といわれています。ちなみにノルウェーは、世界で最も安全な国としても有名です。

3位:シンガポール


マーライオンで有名なシンガポールもランクイン。この国はよく、東京23区と同じ大きさです。豊かさの秘訣は、コンパクトな国土で経済活動などをコントロールしやすく、リー親子による一種の独裁により長年運営されてきた企業とも例えられます。別名明るい北朝鮮と言われることも。しかし北朝鮮とはうってかわり、香港をライバル視した国際金融センター、ビジネス都市として成長してきました。低い税率やビジネスのしやすさなどを売り込み世界中からお金持ちを取り込んできました。富裕世帯の割合が世界で最も高く、およそ6世帯に1世帯が金融資産100万ドル以上を保有していると言われます。2013年の勤労者世帯の平均世帯月収は10,469シンガポールドル(約85万円)であり、東京のそれの倍となっています。

2位:ルクセンブブルク


ルクセンブルクは、フランスやベルギー、ドイツに囲まれたヨーロッパの小国です。面積はおよそ2,500平方キロメートルで、神奈川県(約2,400平方キロメートル)とほぼ同じ大きさ。前述のシンガポールとかぶりますが、国土が小さくて管理しやすいことが豊かさの一因にあるそうです。また、古くから世界規模の鉄鋼大国であったことと、自由な金融政策を行ってきたことも現在の豊かさにつながっていると言われています。税率が低いことから欧州に進出したグローバル企業の多くが、このルクセンブルクに本社機能を移します。21世紀になってから一人当たりのGDPにおいて世界首位の座を維持し続けています。1位のカタールの豊かさがオイルマネーによることを考えれば、オイルに頼らなずに世界一豊かな国と言えます。概して失業率が良好に推移しており、国内の所得格差が北欧諸国並みに小さいという特筆すべき特徴があり、理想的な国家です。

1位:カタール


豊かな国ランキング1位は中東の国・カタール。オイルマネーによる潤沢な資金を元に所得税や消費税がなく、医療費をはじめ電気代や教育費が無料、さらに国民が成人になると土地が無料で分け与えられるという豪華っぷり。他のアラブ諸国のように豊富な天然資源を持っていること。とくに天然ガス埋蔵量では大国ロシア、イランについで世界第3位を誇るそうです。人口は200万人ほどですが、大半は外国人労働者のため、実際のカタール人は200万人よりかなり少なくなります。ほとんど国民全員が王族といったほうがイメージがしやすいですね。

今の日本はイタリア以下?

上記のランキングではほとんどがオイルマネーか金融業で豊かになっている国ということがわかりました。オイルマネーの国は、クウェート、UAE、ブルネイ、ノルウェー、カタール、金融業はスイス、アメリカ、香港、シンガポール、ルクセンブルクです。対して日本はご存知のとおり石油が出る国ではありません。そのため豊かな国になるのは金融業の発展がよいのですが、困ったことに日本の金融は官庁の利権という私欲のためにがんじがらめの規制がなされて自由なビジネスが出来ない状況です。そのため世界中の金融企業はあまり日本に進出してこず、金融が発展することがありません。昔は高度経済成長とバブルによって豊かさが創りだされてきましたが、今ではそれらがないので豊かさがどんどん消えていってしまっています。今の日本は世界的に見ればまだお金持ちの国ではあるものの、国民1人あたりのランキング形式でみれば実際は先進国の中でも下位に甘んじていることがわかります。G7の中ではなんと、あの陽気でこの前借金で国家騒動が起こったばかりのイタリアより下なのです。

国民1人当たりの国内総生産(GDP)上位30カ国(米ドル;為替レート換算)



1 ルクセンブルク  103,125
2 ノルウェー      83,485
3 カタール       78,754
4 アイスランド    64,548
5 アイルランド    60,209
6 スイス       58,513
7 デンマーク     57,137
8 スウェーデン    49,603
9 フィンランド    46,856
10 オランダ      46,774
11 イギリス      46,099
12 アメリカ合衆国  45,725
13 オーストリア   44,852
14 カナダ      43,674
15 オーストラリア  43,163
16 ベルギー    42,618
17 アラブ首長国連邦 42,501
18 フランス 42,034
19 ドイツ 40,400
20 イタリア 35,745
21 シンガポール 35,163
22 日本 34,296
23 クウェート 33,687
24 スペイン 32,090
25 ブルネイ 31,879
26 ニュージーランド 30,390
27 香港   29,753
28 ギリシャ 28,152
29 キプロス 27,047
30 イスラエル 23,579

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