教育格差による学歴格差が賃金格差を広げる
学歴による偏見が、学歴格差を生んでいる
日本には、人間を評価するときに際し、その人が「何を学んだか」ではなく、「どの教育機関の出身者か」という偏った判断、過剰な信頼をする学歴社会といった風習がありました。日本の企業の多くにおいても、高校卒業者と大学卒業者の待遇においても非常に差をつけるような、学歴による偏見がなされていることがあり、学歴格差とも言われます。
村社会構造が強い日本民族においては、みんなが知っているブランド力に頼る傾向があるので、こういった偏見は今も根強く続いています。学歴による待遇の格差は非常に大きな賃金格差を生み出し、格差を拡大するひとつの原因ともなっています。では、学歴格差はどれぐらいのものであるかをデータで表示します。
学歴格差による平均賃金格差
上の図はサラリーマンの平均年収を学歴別に比較したものです。主に学歴には、認知度が高い、中学校卒業、高等学校卒業、短期大学・専門学校卒業、4年生大学卒業の4つをあらわしました。これによると、ご覧のように一番低い学歴である中卒の年収は430万円程度にしか及ばず、大卒の平均年収680万円との大きな差が見て取れます。学歴が違うということで、中卒と大卒との年収差というのは実に1.5倍にもなるのです。
さらに困っているのが、ここ数年の賃金推移です。ご存知の通り、2000年初頭から日本は 「戦後最長の景気拡大期」 がありました。しかしその恩恵にあずかれたのは一部の大企業のみです。この賃金推移にも、中卒の人たちは景気拡大の恩恵を全く受けることができず、逆に賃金が下降傾向にあるという厳しい結果が出ています。その下落は年収にして実に50万円にもおよび、デフレの時期とはいえかなりの影響であるでしょう。
学歴格差による生涯所得格差
上の図はサラリーマンの生涯賃金の総額を学歴別に表示したものです。中卒の生涯賃金というのは、2億円をわずかに超えるのが精一杯ですが、大卒の生涯賃金は実に3億円を超えるものになります。この賃金差は実に7000万円とも8000万円とも言われます。ただでさえ、一年の平均年収に大きな差があるのですから、退職金や昇進などの要因を加えると、これほどまでに賃金格差が広がってしまうのです。低学歴はまぎれもなく不利なのです。
「今、就職に学歴は関係ない・・・」 なんて不可思議なことをのたまう先生方も一部にはいますが、実際のところ学歴が今後の人生の収支に大きな影響を与えるのは紛れもない事実なのです。それをわかっているからこそ、賢い親たちは教育に力を入れていますし、現実を突きつけられた大学生などはZ会のような実力のある学校に通いつめ、大学院などへ進学しようとしたり、金になる資格を取ろうと躍起になっているのです。学歴などはもう変えようが無い・・・と諦めている人は負け組になって当然ですが、大学生になっても社会人になっても大学の門は開かれており、大学院へ行くことで自分の学歴をレベルアップすることは可能なのです。今さら・・・とか言っていてはいつまでたっても何も変わらず、一生負け組のままでしょう。