お金の格差である所得格差・年収格差は拡大

弱肉強食の時代が到来し、会社員にも格差が出始めた

以前の日本は高度経済成長によって国民全体が豊かになっていたために、一億総中流社会と呼ばれてました。会社に就職しさえすれば、終身雇用と年功序列型の賃金体系によって死ぬまで豊かな生活を会社が守ってくれていたのです。ところが、皆さんご存知のとおり、バブル崩壊後の「失われた10年(20年)」が到来し、この体系は大きく変わります。

1990年代に入り、高度経済成長は終焉してその反動ともいうべき長い不況が到来します。 多くの企業は業績が急激に悪化し、人件費を抑制するために新卒を絞り正社員をリストラし、使い捨てができる非正規社員へ移行し始めました。この制度によって高いパフォーマンスを示す社員は高給で優遇し、ダメな人間はリストラされるというようになる弱肉強食の時代になっていったのです。

「勝ち組」「負け組」 の出現

このため一律に同じ給料もらえるような時代は終焉を迎えています。しかしその一方では、この時流にうまくのることで若くしても大金を稼ぎ出す人が出始めました。俗に言う 「勝ち組」「負け組」 の出現です。

この弱肉強食の時代の到来で、格差社会を生き残る術を知っているものは大金を稼ぎ「勝ち組」へとなりました。しかし格差社会を生き残る術を知らない無知な人の多くは、会社や政府に搾取され「負け組」へと転落していきます。弱肉強食の時代の到来では、格差社会を生き残る術を知っているか知らないかで大きな収入格差が生まれてきているのです。

一世帯あたりの所得も下落傾向が続いている

上記は厚生労働省が発表している「国民生活基礎調査」における所得推移をグラフ化したものです。

グラフでは児童のいる世帯、全世帯、高齢者世帯の3つを示しています。これによると平成8~10年という格差社会化が激しくなった時代以降所得が下落傾向にあります。なんとか数年前には下落は止まりましたが、一番高い頃から2割ほども下がっています。一番高い時代といっても平成6年(1994)ですからバブルは既に崩壊した後です。それ以降も下がり続けています。

所得の多い家庭でないと子供を持てなくなった

一方で高齢者世帯は横ばい、児童のいる世帯にいたってはここ数年で上昇傾向にあります。特に児童(子供)のいる家庭の所得が伸びているというのは、これは逆説的にいえば所得の多い家庭でないと子供を持てなくなったとも言えます。

今の時代、年収300万円もなければ結婚できない時代になっています。このような時代では低所得者は子供を作れないために、結果として中高所得層のみが子供を作ることになり、その家庭の所得も偏っていきます。

結婚するかどうかは年収300万円が分岐点か?300万以下と以上で大きな格差

どれくらいの所得の人がどれくらいいるのか?

上記もさきほどと同じ厚生労働省が発表している「国民生活基礎調査」における発表です。各所得階級別に世帯数がどれくらいいるのかを示した分布図になっています。

上記をみてもえらば一目瞭然であり、「300~400万円未満」が13.8%、「200~ 300万円未満」が13.3%及び「100~200万円未満」が12.3%と多くなっているのがわかります。

 

所得平均は560万円、中央値は442万円

ただ全体の所得平均は560万円、中央値は442万円になっています。

中央値というのは全体における真ん中ですから、日本全体の真ん中が440万円くらいというのは実態に則しているでしょう。しかし平均は560万円にまでなっています。

これは図の右のほうにある年収1000万円以上の超高所得層の人たちには、数は少なくてもとてつもなく大きな金額を稼いでおり平均をお仕上げているからです。数字のマジックですね。

平均値と中央値の違い

平均値はデータの総和をデータの個数で割った値のことです。 一方の「中央値」は、データを小さい順(または大きい順)に並べて真ん中に来る値のことです。平均値は総数を個数で割るだけなので、巨大な値が含まれていると全体を押し上げてしまいます。例えば年収100万円の人が9人、年収9100万円の人が1人いてら、平均年収は1000万になってしまいます。

これに対して中央値はそういった巨大な数値の影響を受けないので、実態に則したでーたであれば中央値のほうが参考になります。特に年収は平均年収よりも年収の中央値を見たほうがいいと言われています。

生活が苦しいと思っている家庭はやはり多い

同じ調査では生活意識別に世帯数の構成割合をグラフ化しています。

これをみると、「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」) が55.8%となっており半数以上の家庭が生活に対して苦しさを感じており、ゆとりがないことを訴えています。

一方で「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と答えた家庭はわずか5%。

その差は10倍にもなります。

30代における同年代の年収格差・所得格差

30代における同年代の年収格差

上の図は 「失われた10年」 の影響をモロに受けてネットカフェ難民やワーキングプアが問題となっている30代の同年代における年収格差を表示したものです。30代では会社での出世などの影響は少ないかと思いきや、なんと同年代において1,000万円もの年収格差が生じているのです。ネットカフェ難民やワーキングプアの年収が100万程度なのに対して、稼いでいる人は1,000万円を超えて、年収格差は実に10倍にもなっています。

年収200~250万のところはが非常に少ないのに、年収200万円以下のところが不自然に急激に増加しているのも、ここには格差社会の犠牲者ともいうべきネットカフェ難民やワーキングプアの人たちがかなりいるからです。

これに対して30代にも関わらず年収が1,000万円を突破している層もかなりいます。ネットカフェ難民やワーキングプアが問題になっている30代の方ですが、その中にも格差社会を生き残る術を知り、大金を稼いで 「勝ち組」 へとなっている人たちがいるのです。

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