今の日本はカースト制のような階級差別が暗黙に浸透しているのではないか?

今の日本には階級の固定と差別が浸透している?

最近の日本では立場が弱い若者を中心に、昭和の人の環境とは比べ物にならないほどひどい状況が頻繁に見られます。当サイトの ”格差社会の犠牲者” で紹介している 「派遣社員」、「没落職業」、「ワーキングプア」、「過労死」、「ネットカフェ難民」、「偽装請負」 などと挙げればキリがないほどです。そして、なにより危惧すべきことは、このようなひどい状況にもかかわらず弱者を救済せず、あまつさえ見下すような人間が増えていて、階級差別が暗黙の認識として始まっているのではないかということです。

実際に今の日本には弱者を救済するセーフティネットがほとんど崩壊しているために、一度このようなひどい環境に落ちてしまうと、ほとんどの場合は這い上がることが困難な状況です。貧乏が世襲されてしまうように、本人の意思とは関係なしに階級が固定されてしまうのです。そんな状況で起こっているのが、自分よりも ”下の階級” にいる人間を見下す・差別するようになってきたということです。他人と自分を比べて優越感を感じようとするのは人間の本能に内在するものがあるので多少は仕方ないのですが、最近は勝手が違ってきているのです。その差別・偏見は格差社会を超えた階級社会においてよく見られる傾向です。それでは階級社会として誰もが知っている 「インドのカースト制度」 と比較して、今の日本の環境を分析していきましょう。

インドのカースト制度を確認する

インドのカースト制度

まずは階級社会として世界で一番有名ともいうべきインドのカースト制度についておさらいしておきましょう。インドのカースト制度自体は中学校の学習内容に含まれており、ほとんどの人がご存知のはずです。カースト制度とはインドの歴史の中でアーリア人の侵略と先住民族の征服によって自然発生的に生まれた身分階級制度です。世界的にも有名な身分差別であり、カーストによる差別自体は1950年に禁止されていますが、5000年以上続いた慣習は簡単には消えることはなく、いまだに差別による殺人などが起こっています。カースト制度は主に人々を4つの階級に区別しています

カーストの代表的な4階級()の中は職業


1. - バラモン(司祭)
2. - クシャトリア(王族・武士)
3. - ヴァイシャ(平民)
4. - シュードラ(奴隷)
その他にカーストに属していない人々がおり、その人々はアチュートといわれています。この身分の人は、触れたり見たりしたら汚れる人々とされて人間扱いすらされない状況です。では、そのカースト制度の特徴は以下のようになっています。

カーストの主な特徴


・ 上のカーストは下のカーストを見下す(階級制度)
・ カーストは一生変えることはできない(階級制度)
・ カーストは親から子へ継承されるのみ(階級制度)
・ 他のカーストとの婚姻は不可能
・ いい事をすれば輪廻転生で上位のカーストへ生まれ変われる
・ 他宗教から入った場合はシュードラ(奴隷)にしかなれない
・ いい事をするべく上のカーストへの奉仕が信仰されている
・ カーストは一生変えられないので下のカーストには自殺者が多い

ではこのカースト制度を参考にして、今の日本を見てみましょう

今の日本はこのようなカーストになっているのでは?

日本の階級

今の日本で暗黙に認知されつつある階級を、インドのカーストにならって移してみたのは上の図です。少々、私の主観が入り混じっているかもしれませんので、その辺は理解してください。

バラモンを日本で言うと・・・


カースト制度における特権階級:バラモンを日本で言うと天皇一族などが当てはまります。他にも神・仏職などがありますが、このような人たちが特権階級です。天皇一族はみんなから特別扱いをされているのでバラモンと同じです。

クシャトリアを日本で言うと・・・


そしてカースト制度における実質の権力を掌握しているクシャトリアを日本で言うと、政府役人や大企業の幹部などがこれにピタリと当てはまりますね。社会の重要なポストを完全に占めており、自らの既得権益を守ることにとっても熱心で、下の人々を軽視して見下すのは、日本でも全く一緒です。

ヴァイジャを日本で言うと・・・


カースト制度における平民であるヴァイジャを日本でいえば、今まで一般市民として扱われてきた会社の正社員や公務員です。他の派遣や請負などの非正規の労働者は、一人前の市民として認めてもらえないことが多く保険や労災などの厚生制度からはじかれることが多くなっています。つまり今の日本では正社員にならないと一般的な平民にすらなれないという雰囲気が強くなっています。

シュードラを日本で言うと・・・


そして最後、カースト制度における奴隷の扱いを受けている身分は・・・非正規の労働者です。派遣や請負、日雇いなどの労働者は、今やほとんど奴隷のように扱われており、過労死する人も多く、場合によっては 「名ばかり管理職」 や 「サービス残業」 で賃金すら満足にもらえない状況です。そして必要がなくなったら使い捨てられる・・・まさに奴隷です

アチュートを日本で言うと・・・


でもこれらの人たちは、まだ奴隷の扱いです。カースト制度で人間扱いされていない人々:アチュートを今の日本で言えば、ホームレスやネットカフェ難民です。ホームレスやネットカフェ難民の方々は、住むところも食べるものも与えられず、健康で文化的な人間としての最低限の扱いをされていません。それどころか多くの人は彼らを見下し、あまつさえホームレスを暴行して死なせてしまうほどです。まさにアチュートと同じような扱いです。

偏見ではない証拠データがある

「このような区別は勝ち組博士の勝手な主観によるものだ!」 と多くの人が思うでしょう。確かにその点は否定しません。しかし、実はこのような区別をするべきであるという明確なデータも存在しているのです。1995年に日経連(日本経済団体連合会)が出した報告書 「新時代の『日本的経営』―挑戦すべき方向とその具体策」 には、労働者を次の3つのグループに分けて、階級制度をつけることが示されていました。

1. 長期蓄積能力活用型グループ…将来的に会社を背負う幹部候補エリートたち
2. 高度専門能力活用型グループ…高度な専門知識を有する技術系職人集団
3. 雇用柔軟型グループ…短期単純作業など会社の都合に応じて柔軟に雇用できる者たち

この3つをカースト制度に当てはめてみると驚くほど一致しているのです。1.の長期蓄積能力活用型グループはもちろん会社の将来を担う幹部候補のエリートたちのことであり、カーストでいえばクシャトリアにピッタリ一致します。2.の高度専門能力活用型グループは専門知識をもつスペシャリストであり、特別なスキルを求められる正社員のことです。今の時代では、資格などの専門知識をもつスペシャリストでなければ正社員になるのが難しいのはご存知のとおりです。この正社員が日本社会で立派な平民として扱われる身分であり、カーストでいえばヴァイジャに当てはまりますね。そして最後の3.の雇用柔軟型グループは、もう説明するまでもありませんが使い捨ての奴隷のような労働者たちです。これをカーストでいえば奴隷として扱われるシュードラにピッタリ一致します。つまり、日経連の間において認識されていた方針に従えば、この区別の仕方でピッタリと一致するのです。この区別は非常に説得力があるのです。

1. 長期蓄積能力活用型グループ → 大企業幹部 → クシャトリア
2. 高度専門能力活用型グループ → 正社員 → ヴァイジャ
3. 雇用柔軟型グループ → 非正規労働者 →  シュードラ

カースト制度と今の日本社会は驚くほど似ている

ではインドのカースト制度の特徴を、今の日本の状況にあてはめて比較してみましょう。

上のカーストは下のカーストを見下す(階級制度)

ほとんど一致。政府役人や大企業幹部が労働者を見下すことは当然として、最近では正社員の人たちが非正規の労働者を見下すようなことが多くなりました。特に派遣の人やネットカフェ難民のような、ひどい状況の人たちに対して、同情よりも批判の言葉が多くなっています。派遣の人たちが解雇を撤回すべく日本経団連と話をしようとしたら、門前払いされたことなどがこれを象徴するケースになっています。

カーストは一生変えることはできない

若干一致。今の日本は階級が制度として決められているわけではないので本人の努力次第でいくらでも逆転ができます。しかし昨今の格差拡大で教育格差も広がり、経済格差も広がり、学歴格差も広がり、結果として格差が固定し始めている。このままでは、一生階級を変えることができなくなる時代が来てもおかしくないのです。

カーストは親から子へ継承されるのみ(階級制度)

かなり一致。今の日本は階級が制度として決められているわけではありません。しかし公教育の崩壊によって教育は個人に丸投げされています。すると個人個人の教育に親の経済力がそのまま反映されてしまうために、親の経済格差が教育格差、学歴格差となって子供に継承されてしまいます(負のスパイラル

他のカーストとの婚姻は不可能

若干一致。日本は階級による婚姻の不自由はありません。しかし、低所得者への不満や差別がひどくなったり、同じ境遇の人としか付き合わない労働環境からも、金持ちの家庭は金持ちの家庭の子と結婚することが多くなり、貧乏人は貧乏人としか結婚できないことが多くなっています。

いい事をすれば輪廻転生で上位のカーストへ生まれ変われる

この点はカースト制度との共通性はありません。例えどんないい事をしたとしても、 「ああ、いい人だな」 で終わってしまったり、 「偽善だ」 と批判されることも多く、結果として報われません。

他宗教から入った場合はシュードラ(奴隷)にしかなれない

若干一致。大企業の幹部職へのヘッドハンティングという例外を除くと、外国からの労働者はほとんどが非正規の労働者として奴隷のように扱われており、結果としてシュードラの扱いと変わりません。末端の工場などで働かされている外国人労働者には時給200円という信じられない低待遇などが数多く報告されています。

いい事をするべく上のカーストへの奉仕が信仰されている

かなり一致。日本の公教育には他人の言うことをよく聞く ”いい子” を育てている傾向があります。そういった”いい子”は正社員となっても、非正規の労働者となっても、企業のために貢献しようとして、大企業の幹部を喜ばせています。

カーストは一生変えられないので下のカーストには 自殺者が多い

完全に一致。年々増加がとまらない自殺者の多くは、非正規の労働者や無職がとても多くカーストと全く同じ。下の階級にいる人々が、逆転ができない自らの環境に絶望して、自殺を選んでしまうのはインドも日本も全く同じです。

格差社会は階級社会へ変わり始めた

以上にように、インドのカースト制度と日本が暗黙に認識しつつある階級を興味本位で比較してみたら、驚くべきほど一致していることがわかりました。もちろん日本の社会制度と宗教の制度を比較すること自体おかしなことであり、私個人の主観による偏見が混じっていることも否めません。納得できない人がいても別におかしなことではありません。

しかし政府役人以外にも、正社員と非正規社員に大きな壁ができ始めており、格差拡大を超えて階級社会化が始まっていることは疑いようがありません。事実、教育格差による親の格差の継承や、派遣や請負労働者を差別するような企業経営者の態度、ホームレスやネットカフェ難民の人たちを助けようともせずにバカにしたり見下したりする一般市民など、階級社会化に見られる人々の心境の変化をいたるところで確認することができるのです。あなたも、上の階級の人に明らかに見下された態度をとられたり、下の階級の人を内心見下して安心したことがあるのではないでしょうか?もはや格差社会化だけでなく、階級社会化も始まってしまったのです。しかも、たちの悪いことに日本の階級差別は、暗黙の認識によるところが大きく、制度が制定されているわけではないので大きく批判することもできません。このまま格差社会化と階級社会化はどんどん拡大していくでしょう。

関連記事