富裕格差:ミリオネアの富豪とビリオネアの大富豪には大きな差がある
ミリオネアとビリオネア、そしてトリオネア?
お金持ち、富豪というのは一般の人たちよりもたくさんお金を持っていることを指しますが、金持ちにも格差があり、いわゆる小金持ちと大金持ちには大きな格差が存在します。世界中のお金持ちを調査して発表しているフォーブス誌などを始め欧米ではそのお金持ちをミリオネアとビリオネアとして区別しています。ミリオネアとはいわゆる100万を表す単位であるミリオンをもじったものであり、100万ドル、日本円で約1億円の人を指します。そしてその更に上としてビリオネアとはビリオン、10億を表す単位であり、10億ドル、日本円で約1000億円の人を指します。今はありえないかもしれませんが、そのうち1兆ドル、日本円で100兆円の資産を持つ人が現れた場合、トリオンの単位を使ってトリオネアと呼ぶ時代が来るかもしれません。現在、世界最高の金持ちはアメリカのビル・ゲイツやメキシコのカルロス・スリムであると言われ、彼らの資産は5~6兆円にも登ります。
このように1億円持っている人はミリオネア、1000億もっている人はビリオネアという分類になりますが、実際の富裕層では一概に資産だけでは分類されず、その人の職業意識や社会貢献度合い、家系などを多く見られます。特にお金持ちの人たちにとっては 「お金はあって当たり前」 であり、お金以外の何かで評価される傾向があります。そのため金融資産だけで判断されることは少なく、いわゆる成金がミリオネアであり、代々続く名門がビリオネアとも言われています。
1,000,000 = one million(百万)
1,000,000,000 = one billion(10億)
1,000,000,000,000 = one trillion(1兆)
100万ドルや成金のミリオネアの場合
ミリオネアの数
100万ドル、日本円で約1億円を持つミリオネアの方ですが、これが結構いて日本ではなんと100~150万人ほどがいます。日本の人口が約1億3000万人ですから、だいたい100人に1人の割合でミリオネアは存在するのです。5万人入る東京ドームが満員になれば約500人ほどがミリオネアの方という計算になります。格差が広がった、貧しくなった、と散々言われても日本はまだまだ世界的にお金持ちの国であることがわかります。
ミリオネアの種類
そんなミリオネアの方ですがどんな人たちなのかというと結構な種類がいます。一般にお金持ちといえば代々お金持ちの家系だろうと思われがちですが、1億円という資産は例えば年収1000万の人が毎年半分貯金すれば20年でたどり着けるレベルです。つまり給与がいい業界であればサラリーマンでも十分に到達するものなので、結構な数がいるのです。他にも儲かっている中小企業の経営者やもともと資産家である地主の人たち、プロのアスリート、漫画や芸能で当たった人、宝くじで一発当てた人や、株やFXでトレーダーとして成功した人など、短期で資産を築いた人であればかなりの人が到達するレベルです。特に最近はネットビジネスで一稼ぎした人や株やFXで大儲けした人などがミリオネアになることは決して難しいことではなく、珍しいことでもない時代になっています。
資産を殖やす
しかしこういったミリオネアの方はビリオネアの方と比較するといわゆる 「成金」 と見られがちであり、お金の考え方もビリオネアとはちょっと違っています。ミリオネアの人は一代で、主に短期でお金を築き上げたため、「資産を守る」 という考えより 「資産を増やしていく」、「資産を使って自己満足する」 といった傾向が強くあります。代々受け継いできた資産ではないため、自分で稼いだ金だから自分でどう使ってもいいでしょ!ということですね。しかも自己顕示欲の強い人が多いため、積極的にメディアに出たり、自分を売り出したりしています。
社会貢献の考え方
ミリオネアの中には収益目的の株式投資や為替取引といった投資などで超短期的に利益を得てしまい富豪になるプロセスが異なる人もいますが、ほとんどのミリオネアが「社会貢献」をおこない、世の中に役立つ活動をしています。これは金持ちになると欲しいものがどんどん買えて余程の物欲が抑えられない人物でもない限り、金による満足感が得られなくなり、社会貢献による満足を得たいという考え方に到達するからと言われています。よい製品を作り、安価に世に送り出して人々の利便性を高めたり、地球 環境の改善に働きかけたり、教育をおこなって人間性を高めたりと、いろいろなことをしています。基本的にそれは自分自身が動いてやることでもあります。自己顕示欲の強い人が多いため、自分が~自分が~という考えなのです。
10億ドルや代々続く名家のビリオネアの場合
ビリオネアの数
ミリオネアに対してビリオネアは非常に数が少なくなります。フォーブス誌によると世界中にビリオネアは1,000人ほどがいるということですが、アメリカがダントツの1位で数百人います。対して日本は数十人であり、最近は中国に抜かれています。一方、資産額以外の職業意識や社会貢献度合い、家系や歴史を見ると、日本は維新や戦争などで何度も資産家の交代が起こっており、代々続く名門家のビリオネアは少ない国です。一方歴史のある欧州では何百年、何千年と続く名門がたくさんあり、今でも存続しています。歴史の浅いと言われるアメリカも200余年の歴史があり、名門家は結構存在しています。200年ですから世代交代はもう6~8世代です。
その考え方
ビリオネアの定義は1000億円ですが、超富裕層の扱いはもうちょっと異なります。ミリオネアの意識が自分が全て、自分の目が届くところが全てというものに対して、ビリオネアは単純な家族だけを見ているだけでなく親の兄弟、兄弟の家族、子供の家族やその近親者に至るまで、 自分たちの親戚を含む幅広い血縁関係をとても大切にしている傾向があります。ビリオネアのような超富裕層の方はその資産が一代で作られたものではなく過去、何世代にも渡り、守られ、増やされてきたものを受け継いでいるのであり、過去を知り、これから将来に渡って 「先祖や家族の血や資産を絶やさない」 ことを使命にされています。カンタンにいえば代々続く名門の家系というわけです。ミリオネアと違ってビリオネアの場合、自分の一生という時間軸よりも長いスパンで、自分の子孫のことも考えてファミリーの永続的な存続というミッションのために自分の果たすべき役割、使命を考えているのです。
資産を守る
一代で富を築くのとは違って代々富を築いて守りぬくというのは一代で作るのとは難しさが全く違います。代々ということは過去の世界動乱による戦争などの時勢変化、金融危機、内部抗争、さらに相続の争いや税金の問題などがあり、「金は稼ぐより守るほうが難しい」 と言われていることそのままです。ミリオネアが積極的に目立とうとするのに対して、ビリオネアの人は人前に出ることをあまり好みません。資産防衛のためにもあまり自分のことを知られたくないとう思いもあるのでしょう。特に日本は妬み社会、出る杭は打たれると言われており、賢明な人ほど目立つリスクを考えて表には出てきません。
プライベートバンク
ミリオネアとビリオネアの違いの1つにプライベートバンクを利用できる資格が挙げられます。プライベートバンクは11世紀から13世紀におこなわれた、「十字軍の遠征」 が起源とされ、遠征に同行する王族や貴族の留守中に莫大な資産を守る必要性が生じたため、その資産防衛を「商業的」に行う人たちがプライベートバンクの祖先です。プライベートバンクはイメージどおり、永世中立国のスイスに拠点を構えており、欧州中から王族、貴族、豪族のお金を集めていました。プライベートバンクは主に資産を 「殖やす」 のではなく 「守る」 ことに重点をおいており、何十年ではなく何世紀で資産防衛を担ってきました。プライベートバンクには厳しい守秘義務があり、他人には資産を公開することは一切ありません。担当者は顧客の資産に対して無限責任(なにかあった場合に個人が無限に責任を負う)があり、一生顧客と付き合っていきます。このように資産防衛をするビリオネアにとってプライベートバンクとの付き合いは無くてはならないものでした。ミリオネアもこういったプライベートバンクを使うのでは?とかんがえるかもしれませんが、プライベートバンクの最低預金額は10億円ないと話にならないと言われ、1億円のミリオネアでさえお断りされてしまうのです。プライベートバンクはそうやって数十億円、数百億円ともいわれる資産を一生かけて守っていくのです。そこには一代で富を築いて自分の人生だけを考えるミリオネアには、金額の問題だけでなく考え方が全然違うということもあるのです。 ※ただし最近は欧州危機でプライベートバンクも破綻していると言われています。大手のプライベートバンクが破綻したことは世界中の大富豪に衝撃を与えました。しかし元々目立たなくしているプライベートバンクは、殆どの人に知られること無くどこかで大富豪の資産を守っているのかもしれません。
社会貢献の考え方
ミリオネアの人の社会貢献が自分自身が動いて、ある意味自分自身の満足感のために社会貢献をするのとは違い、ビリオネアの人は目立つことを好まないために社会貢献も裏方のようなことをすることが多いです。ビリオネアは短期的に貢献した見返りを求めることは少なく、むしろ、将来的にすべてを受け継いでいく子孫のためになる社会貢献を裏からひっそりと行っています。ビリオネアは自分の時代だけでなく自分の子々孫々のためにも、子孫が生きていく地域を豊かにしたいという長いスパンで考えるのです。ビリオネアは昔から教養豊かにいろんな文化面の教育を受けているために、文化施設への貢献も多くなります。海外ではオーケストラの創設にはじまり、劇団や美術館、音楽ホールなどが、ビリオネアによって建てられるケースがたくさんあります。もちろん日本でもありますが、たいていの場合それは裏でひっそりと行われており、表にたって堂々とやることはあまりありません。
日本の大富豪ランキング:フォーブス誌 | ||||||
名前 | 役職 | 業界 | 年 | ドル | 円 | |
1 | 孫正義 | ソフトバンク創業者 | IT・通信 | 56 | $19.7 B | 20,488 |
2 | 柳井正 | ファーストリテイリング社長(ユニクロ) | 衣料 | 65 | $17.8 B | 18,512 |
3 | 佐治信忠 | サントリーホールディングス社長 | 飲料 | 68 | $11.2 B | 11,648 |
4 | 三木谷浩史 | 楽天社長 | インターネット | 49 | $7.7 B | 8,008 |
5 | 滝崎武光 | キーエンス(KEYENCE )創業者・会長 | 電気機器 | 68 | $6.2 B | 6,448 |
6 | 毒島邦雄 | パチンコメーカー「三共」名誉会長 | パチンコ | 89 | $5.0 B | 5,200 |
7 | 森章 | 森トラストおよび森トラスト・ホールディングス社長 | 不動産 | 77 | $4.0 B | 4,160 |
8 | 伊藤雅俊 | セブン&アイ・ホールディングス名誉会長 | 小売 | 89 | $3.4 B | 3,536 |
9 | 高原慶一朗 | ユニ・チャーム会長 | 衛生用品 | 83 | $3.3 B | 3,432 |
10 | 三木正浩 | ABCマート創業者 | 小売 | 58 | $2.8 B | 2,912 |
11 | 重田康光 | 光通信創業者 | IT販売 | 49 | $2.7 B | 2,808 |
12 | 韓昌祐(ハン・チャンウ) | パチンコ「マルハン」会長 | パチンコ | 83 | $2.7 B | 2,808 |
13 | 永守重信 | 日本電産創業者 | 電気機器 | 69 | $2.4 B | 2,496 |
14 | 木下恭輔・ほか兄弟 | アコム創業家 | 消費者金融 | – | $2.0 B | 2,080 |
15 | 馬場功淳 | コロプラ創業者 | ゲーム | 36 | $1.9 B | 1,976 |
16 | 武井博子 | 「武富士」創業者の夫人 | 消費者金融 | – | $1.8 B | 1,872 |
17 | 多田勝美 | 大東建託会長 | 不動産 | 68 | $1.7 B | 1,768 |
18 | 田中良和 | グリー(GREE)創業者 | SNS | 37 | $1.7 B | 1,768 |
19 | 佐藤洋治 | ダイナムジャパンホールディングス社長 | パチンコホール | 68 | $1.6 B | 1,664 |
20 | 大塚実・祐司 | 大塚商会創業家 | IT販売 | – | $1.5 B | 1,560 |
21 | 上月景正 | コナミ創業者 | ゲーム | 73 | $1.5 B | 1,560 |
22 | 前澤友作 | スタートトゥデイ創業者 (ZOZOTOWN) | ネット通販 | 38 | $1.5 B | 1,560 |
23 | 金沢要求・ほか兄弟 | パチンコ・パチスロメーカー「三洋物産」代表取締役 | パチンコ | – | $1.5 B | 1,560 |
24 | 岡田和生 | ユニバーサルエンターテインメント(旧アルゼ)会長 | パチンコ | 71 | $1.4 B | 1,456 |
25 | 森佳子 | 森ビル取締役 | 不動産 | 73 | $1.4 B | 1,456 |
26 | 松井千鶴子・道夫 | 松井証券創業者一族 | 証券 | 61 | $1.4 B | 1,456 |
27 | 多田直樹ほか兄弟 | サンドラッグ創業家 | ドラッグストア | – | $1.3 B | 1,352 |
28 | 安田隆夫 | ドン・キホーテ会長 | 小売 | 64 | $1.3 B | 1,352 |
29 | 福武總一郎 | ベネッセコーポレーション会長 | 教育・出版 | 68 | $1.3 B | 1,352 |
30 | 孫泰蔵 | ガンホー・オンライン・エンターテイメント会長 | ゲーム | 41 | $1.2 B | 1,248 |
31 | 似鳥昭雄 | ニ トリ創業者 | 家具 | 70 | $1.2 B | 1,248 |
32 | 杉浦広一 | スギホールディングス会長 (スギ薬局) | ドラッグストア | 63 | $1.1 B | 1,144 |
33 | 里見治 | セガサミーホールディングス会長 | ゲーム・パチンコ | 72 | $1.1 B | 1,144 |
34 | 神内良一 | セガサミーホールディングス会長 | 消費者金融 | 87 | $1.1 B | 1,144 |
35 | 上原昭二 | 大正製薬名誉会長 | 製薬 | 86 | $1.0 B | 1,040 |
36 | 國分勘兵衛 | 国分社長 (K&K) | 酒・食品卸売 | 74 | $965 M | 1,004 |
37 | 稲盛和夫 | 京セラ創業者 | 電気機器 | 82 | $900 M | 936 |
38 | 島村恒俊 | しまむら創業者 | 衣料 | 88 | $850 M | 884 |
39 | 石橋寛 | ブリヂストン創業家 | タイヤ | 67 | $840 M | 874 |
40 | 福嶋康博 | スクウェア・エニックス名誉会長 | ゲーム | 66 | $830 M | 863 |
41 | 石原昌幸 | 石原ホールディングス社長 (パチンコ・平和) | パチンコ | 65 | $825 M | 858 |
42 | 増田宗昭 | TSUTAYA創業者 (CCC) | レンタル・販売 | 63 | $820 M | 853 |
43 | 船井哲良 | 船井電機会長 | 電気機器 | 87 | $670 M | 697 |
44 | 野田順弘 | オービック会長 | SI | 75 | $650 M | 676 |
45 | 辻信太郎 | サンリオ創業者 | キャラクター販売 | – | $610 M | 634 |
46 | 福田吉孝 | アイフル創業者 | 消費者金融 | 66 | $565 M | 588 |
47 | 藤田晋 | サイバーエージェント創業者 | インターネット | 41 | $560 M | 582 |
48 | 小川賢太郎 | ゼンショーホールディングス社長 (すき屋) | 外食 | 65 | $525 M | 546 |
49 | 熊谷正寿 | GMOインターネット創業者 | インターネット | 50 | $510 M | 530 |
50 | 糸山英太郎 | 新日本観光代表 | ゴルフ場 | 71 | $500 M | 520 |
日本のお金持ちを見ると、ほぼというか、全てが大企業や有名企業の創業者や会長、代表であることがわかります。世界を見てもビル・ゲイツやカルロス・スリムなど巨大企業の会長などがあり、それ以外ではウォーレン・バフェットのような投資家しかありません。つまり富豪というのは巨大企業の大株主、つまり支配者ということですね。誰もがわかっているけど、それを再確認させられた情報です。なにせ企業を上場させれば、保有している企業の株式が一気に何千億、何兆円、アップルなどでは京円の単位にまで価値が膨れ上がるのですから。逆に言えば、株式以外で富豪になった人はいないともいえます。株以外で大富豪になる方法はないといってもいいかもしれません。大富豪ではなく富豪レベルであれば昔からの金持ちである土地持ち、資産家などがあります。いずれにしても大富豪になるのであれば、会社を作り、その会社が巨大企業になるという方法しかないでしょう。 |