ネットカフェ難民とは、住所をもてずにカフェを渡り歩く新しいホームレス

ネットカフェを渡り歩く現代の難民

ネットカフェ難民とは住居がないホームレスの一種です。しかし今まで公園で寝泊りをするイメージがあったホームレスとは違い、24時間営業で格安で宿泊できる漫画喫茶やインターネットカフェで一夜を過ごすタイプのホームレスのことを ”ネットカフェを渡り歩く難民” ということでネットカフェ難民と呼ぶことにしているそうです。格差社会化で広まったIT技術を利用したネットカフェを利用するホームレスということから、ネットカフェ難民というのは格差社会によって生み出された新時代のホームレスと言えるのかもしれません。

ちなみに、あくまで寝泊りする所としてネットカフェを利用している人が多かったためにこのような名称がついただけであり、基本的に彼らはホームレスの分類に当たります。また、近頃はネットカフェだけでなく24時間営業の漫画喫茶や普通の喫茶店、ファーストフード店などを利用する人も多いので ”マンガ喫茶難民” ”マック難民” と言われる人も多くなっています。格差社会化がますます広がれば、このネットカフェ難民も急増することが予想されるために、格差社会における社会問題として取り上げれることが多くなっています。

若者だけでなく中高年にもネットカフェ難民は多い

ネットカフェ難民は若年層だけかと思いきやリストラや転職失敗の中高年がかなりの割合で存在している!

厚生労働省が調査した結果によると、2007年中旬の時点でネットカフェ難民は全国で5,400人いるという結果が報告されました。しかしあくまでお役所仕事の厚生労働省が観測した結果ですので、実際にはこの数倍はいるといわれています。格差社会はどんどん広がっているのですから。また、年代別にも驚くべき結果があります。ネットカフェ難民でいる人は非正規雇用に喘いでいる若年層だけというイメージがありますが、実際には40~50代の中高年もかなりの数が存在しているのです。就職氷河期のワリを食らった若年層だけでなく、リストラや転職の失敗などでホームレスにまで堕ちてしまった中高年の方々がかなり存在しているのです。

 

ネットカフェ難民には女性が半数近くを占める。ネットカフェには女性も多く男性固有の問題ではないまた他の分類としてはネットカフェにはかなりの割合で女性も含まれています。ネットカフェに寝泊りするのですから身だしなみを気にする女性の方は少ないと思いきや、結局それも勝手なイメージであり、実際には半数近くが女性なのです。

ネットカフェ難民になる女性というのは結構さまざまな事情をかかえた人が多いです。女性の中には田舎から家出してきて、泊るところがないからネットカフェに泊るようになった10代の女の子。住んでいたアパートの家賃が払えず追い出された20代の人。派遣を一方的に打ち切られてしょうがなくネットカフェに泊ってる人など男性とそれほど変わらない状況です。むしろ職業における男女差別がある分、正社員になりにくく収入を得にくい女性のネットカフェ難民のほうが状況が深刻ともいえるのです。

貧困から抜け出せないネットカフェ難民

ネットカフェ難民の多くが望んでそのような状況になったわけではなく、格差社会化の影響を受けて本人の意思とは関係なく落ちてしまった人です。彼らはもしも機会があれば正社員として働いて安定した生活をしたいと望んでいます。しかし、それが現実的に難しい状態です。

日々を生きるだけでギリギリ


ネットカフェ難民の多くの人は、なんらかの事情で親や親戚に頼れない、もしくは頼れる存在がいないといった状況にあります。そのため他人の助けを一時的に借りたりすることができず、日々を生きるために仕方なく日雇いの仕事などをせざるをえません。ただし日雇いの仕事というのは給料が低く、グッドウィルのように不法に天引きされることが多々あります。その上日々の食費とネットカフェの宿泊費を捻出したらほとんど手元には残りません。彼らは貯蓄をすることができず、日々を生きるだけでギリギリなのです。もしも事故や病気になろうものなら、日雇いの会社は面倒を見てくれずTHE・ENDです。

住所が無いので生活保護は受けれない


そんな危機的な状況なら生活保護を受ければいいじゃないか!と思われますが、生活保護も行政の勝手な都合で受給することは難しくなっています。 「おにぎり食べたい」 と餓死者を出した北九州の事件のように日本の生活保護行政は徹底して生活保護を受けさせないようにしています。特にネットカフェ難民の人の ”住所が無い” という理由は生活保護を受給させない格好の理由となります。法律では職権消除により住民登録が無い場合でも生活保護の対象となることができますが、実際はほとんど拒否されてしまうのです。彼らは生活保護は受けないのではなく、受けられないのです。

住所が無いのが致命的


ネットカフェ難民の人にとって、最大の問題というのは住所が無いということです。日本の社会というのは、かなりのケースで住所が必要なシステムになっています。住所が無ければ銀行口座はもてず、運転免許も取れず、住民基本台帳への登録がないため印鑑登録も出来ず、実印をともなう賃貸住宅の借入契約は拒否されます。そのためアパートなどには入居できず、身分証明が必要な仕事にもつけません。もちろん投資を行うことなんて不可能です。また敷金礼金を得ようと一時的にお金を得る方法のクレジットカードや消費者金融なども、住所がないと契約を拒否されてしまいます。日本の社会は住所が無いだけで、八方塞になってしまう社会なのです。しかしこの ”住所” に目をつけた後述する貧困層ビジネスのような悪徳業者も出てくるのです。

彼らを全く助けようとしない政府と世間

住所が無いために身分証明となる運転免許や住民票が取れず、身分証明が無いために身分証明が必要な仕事には就くことができず、実印が必要なアパートへは入居できず、住所が無いことを理由に生活保護は受給できず、日々を日雇いの薄給で生きていくしかない。ネットカフェ難民の方々の状況は想像以上に悲惨であり、そして八方塞の状況にあります。しかし世間の彼らを見る目は非常に冷たいものです。

世間のネットカフェ難民への視線
「そんな風になるのはそいつの根性がないからだ! やる気がない本人が悪い」
「ビックリした。現代の若者たちの甘えの構造がここまでヒドイものになってるとは」

世間の人たちはネットカフェ難民の方々に対して上記のようなイメージを持っている人が非常に多いのです。世間の多くの人はネットカフェ難民の人の実情をあまり知りません。このページを見るまではネットカフェ難民に中高年や女性が多いことや住所が無いために八方塞な状況にあることを知らなかった人も多いことでしょう。そのためネットカフェ難民の人たちには度胸や根性が無いから没落した自業自得な奴らだと思われているのです。なんとも酷い偏見です。ネットカフェ難民の人たちは、日々を生きるために毎日ギリギリまで体を酷使して生きているのです。度胸や根性がなかったらとっくに死んでしまっている状況なのです。しかし世間の見る目は冷たいままです。世間がこうなのですから、政府もほとんど動いてくれません。日本は困っている人を見ると見下すような社会になってしまったようです。

・ 新ホームレス ネットカフェ難民
・ その数不明、孤独な“ネットカフェ難民”

貧困層ビジネス:住民票を交付するネットカフェ

ネットカフェ難民の最大の問題点は住所が無い点です。住所が無いために身分証明となる運転免許や住民票が取れず、身分証明が無いために身分証明が必要な仕事には就くことができず、実印が必要なアパートへは入居できず、住所が無いことを理由に生活保護は受給できない八方塞の状況です。就職しようとしても住所を記入することができないために、書類選考すら通れないという苦しい事情があり、ネットカフェ難民の人たちはまともな職に就くことができません。

住民票に目をつけたネットカフェ


そこに目をつけたのが埼玉県の蕨にあるネットカフェ企業です。このネットカフェはカフェの一部を住宅スペースとすることで、そこに長期宿泊する人に住民票を取れるサービスを開始したのです。 『カフェなんかが住宅になりえるのか?』 という疑問があるでしょうが、法的にはネットカフェにすんでいる人に住民票を交付すること自体問題はないのです。そのため住民票を取りたいネットカフェ難民がこぞって長期宿泊を開始しました。

住民票をたてに搾取する実態


しかし長期宿泊という行為は、もはやカフェの域を超えて宿泊施設の分類に入ります。宿泊施設には旅館業法という法律が存在しネットカフェが宿泊施設として認可されるには、布団や寝具などの設備を備える義務が生じます。ですが当のネットカフェは、布団や寝具などを用意するのは ”余計な金がかかるからやりたくない” と思っていますので、ネットカフェに宿泊する人に対して布団や寝具を給付することも持ち込むことも一切禁じました。また、そこで生活するに当たってシャワーや郵便受けつけなどの行為は、カフェに泊まっている人の足元を見て、なにかとお金を取る制度を行っています。しかし、住民票がほしいネットカフェ難民の人たちは、これを断って追い出されるのを恐れ、涙を呑んでこのような悪質制度にお金を支払っているのです。住民票が取れるというサービスを謳い文句に、実際は住民票をたてに徹底的にネットカフェ難民から搾取する実態があるのです。

貧困層ビジネス:敷金礼金ゼロの”ゼロゼロ物件”

住所に目をつけた貧困層ビジネスはまだあります。

敷金・礼金に目をつけた不動産会社


マンションやアパートの契約には、家賃の数か月分に当たる礼金・敷金を払わなければいけません。そのため、入居するに当たっては大金が必要となり、これがネットカフェ難民がアパートに入居できないひとつの原因となっています。しかしそこに目をつけたのが、スマイルサービスという不動産会社です。この会社が運営するアパートは敷金・礼金が共に0である、いわゆる ”ゼロゼロ物件” です。そのためまとまったお金が必要無いために、ここにも住所を取りたいネットカフェ難民やホームレスの方々がこぞって押し寄せました。しかし入居した人には、非情な搾取が待っていました・・・

住居というネットカフェ難民やホームレスの人の足元を見て搾取するスマイルサービス

違約金・生存確認出張料などの搾取


確かにスマイルサービスの不動産には敷金礼金が一切かからずに入居することができます。しかし、毎月の家賃がわずか一日でも遅れると ”違約金” が生じるというとんでもない実態が存在しました。その違約金が滞ると強制的に部屋に施錠し、入居者の家具を人質に金を支払えとの脅迫を行います。住所を手放せない入居者たちは涙を呑んで違約金を払わなければならないのです。また、その他にも生存確認出張料というどこかの派遣会社がやっていたデータ管理費のような意味不明な名目での一方的な搾取行為も横行していました。その実態に気づいた入居者たちも、相次ぐ違約金の支払いと住所を失うことを恐れて金を払い続けなければいけない生活を強いられます。敷金礼金ゼロを謳った不動産会社の実態は、やはり住所をたてに、違約金や不可解な費用を搾取する悪質な状態だったのです。

ネットカフェ難民の人たちの状況は住所が無いために、非常に悲惨で八方塞の状況です。しかもその住所をエサにとことん搾取する悪質業者までのさばっている始末。しかし世間の見る目は冷たく政府も動かない。ネットカフェ難民にはほとんど希望が無いのです。結局のところ 自立生活サポートセンター・もやい や 東京しごとセンター で相談をし、自分でなんとかしなければいけないのです。困っている人がいると見下して、金を徹底的に搾取する。それが日本の格差社会です。

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