日本の相対的貧困率は過去最高レベル

過去最高の相対的貧困率16.0%が変わっていない

2011年のある日、厚生労働省が発表した日本の「相対的貧困率」が話題となりました。なんと貧困率が16.0%と過去最悪を更新してしまったのです

貧困率とは
貧困率とは簡単に言ってしまえば貧乏人が、社会のどのくらいを占めるかという割合を示したものです。貧困率が大きければ大きいほど貧乏人が多いということです。此処で言う相対的貧困率は、すべての国民を所得順に並べて、真ん中の人の所得の半分(貧困線)に満たない人の割合を指しています。

参考 : 子供がいる現役世帯での相対的貧困率(厚生労働省)

2017年においても貧困率は15.7%のまま

上記は東日本大震災が起きたり民主党政権のままで全然景気が悪かった時代だからかもしれません。最近のデータも見てみましょう。上記は高齢労働省が発表している「国民生活基礎調査」における貧困率の年次推移のグラフです。

相対的貧困率は相変わらず高く、15.7%と2011年に最高の16.0%をつけてからほとんど下がっていないことがわかります。

大人が1人である「父子家庭」「母子家庭」はかなり高くいまだに50%を超えています。対して子どもの貧困率、子供がいる現役世帯などはやや下がってきています。若干の改善傾向が見られますね。それでも数値は高く、「めちゃくちゃ酷い」から「かなり酷い」になったくらいでしょう。

 

日本の貧困率は右肩上がりで上昇中

今回の調査は2009年を対象に行われています。基準となる真ん中の人の所得は224万円であったため、相対的貧困率の基準に照らし合わせると、”貧困” と指定される人の所得は年間112万円以下ということになります。

つまり所得112万円以下という人が全体の16%にまで上がってしまったということです。しかもこれは対象が ”所得” になっています。年収と所得は違います。所得とは年収から税金や保険料などの各種控除を引いて最終的に課税される金額のことを指します。112万円だとだいたい年収100万円後半と見ていいでしょう。ざっくり言えば年収200万円以下のワーキングプアがそっくりそのまま入ります。

日本の相対的貧困率の推移

貧困率は世界的に見ても高い数値

この貧困率ですが、経済協力開発機構(OECD)の08年報告書では、加盟30カ国の平均は10.6%です。世界的に見ても相当高い数字になっており、もう日本の格差が世界に比べてたいしたことないなんて言わせないレベルにまでなっています。

さらに18歳未満の子供が生活の厳しい家庭で育っている割合を示す 「子どもの貧困率」 も15.7%と過去最悪の水準になっています。教育格差、教育貧乏、教育最貧国が如実に現れる結果となりました。

さらに今回の調査で過去最悪を更新したことからもわかるように、日本の貧困率はどんどん上がっています。OECDの調査は80年代からあるのですが、80年代のバブル期では日本も平均の10%ほどでした。しかし90年代になってから 「失われた10年・20年」 が始まるようにどんどん貧困率も上昇、完全な右肩上りになっています。今後日本の状況がよくなることが見込めない以上、この数値はさらに上昇していくことは確実です。

2015年の調査でも相対的貧困率は変わっていない

2015年発表時点での調査「 相対的貧困率等に関する調査分析結果について 」では相対的貧困率はほとんど変わっておらず、相変わらず高い推移を続けていることもわかっています。

16%超える高い水準を全然変えずに、貧困率は全然変わっていないことがわかります。今後についても問題が山積みの上に、本来日本を良くする最後の期待になる次世代に資金を使わず無駄遣いと高齢者ばかりに金を使う現在の状況では将来の見通しは暗いと言わざるを得ません。

日本の貧困率は世界でもワーストランクイン。1位も。

過去のデータになりますがOECDが2000年代半ば頃に発表した世界の貧困率を表した 「OECDワーキングレポート22」 を見てみましょう。そのOECDが発表したデータによりますと、私たちの国:日本は世界の先進国のなかでも貧困率No.5にランクインされているのです。

つまり世界でワースト5位なのです。

日本の貧困率は15.3%にものぼり、24ヵ国の平均である10.4%を大きく上回っています。そしてドイツやフランスなどヨーロッパの有名な国の多くは、軒並み10%以下を示しており、多くの国が日本よりも貧困率が小さい国であることがわかります。

今回2009年の調査結果で日本の貧困率は16%を超えてしまっており、前回の結果を見ればトルコやアイルランドを超えてしまったことになります。貧困率No.3ですね。アメリカを抜くのも現実的になってきました。

子ども・若者白書発表の子どもの貧困における国際比較

その後の「平成26年版 子ども・若者白書」においても子どもの貧困について触れられています。残念ながら平成27、28、29、30においては子どもの貧困と諸外国比較の表は見つかりませんでした。

上記図やグラフをみると残念ながらOECD諸国の間でも日本は下から数えたほうが早い位置になっています。これは上が貧困率が低く、下が高い順番に記述されていますので下にいるということは貧困率が高いということです。

まず相対的貧困率はなんとかアメリカを超えずに済みましたがワースト6という悪い順位。子どもの貧困率もグラフにもあるように15.7%とOECD諸国平均の13.3%よりも高い数値です。GDP世界3位で指折りの先進国である日本がこの順位です。

日本は父子家庭・母子家庭の貧困率がワースト1位

そして一番酷いのが「大人が1人の子供がいる世帯の相対的貧困率」です。なんと日本は(調査データがない韓国を除いて)ワースト1位。つまりOECD諸国で一番貧困率が高いという結果になっています。大人が1人ということは父子家庭・母子家庭になります。そういった大人が1人で子供を見ている家庭に日本は非常に、非常に、非常に冷たい国であるということです。

このジャンルにおいては日本よりもいつも上にいる貧困率の高いアメリカ、トルコ、イスラエル、チリといった国よりも酷い結果になっています。おそらくお隣韓国はデータがあれば結構高い数値が出るでしょうが、そこは問題ではありません。絶対値として半数以上の家庭が貧困に苦しんでいるのです。日本では父子家庭・母子家庭に対して世界一厳しいと言われても仕方ありません。

労働政策研究・研修機構のデータでも世界的に見て高い

上記は独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表しているデータブック国際労働比較2018に記載されている世界各国の相対的貧困率と日本の貧困率を比較した表になります。

データがないところもあって全てを比較することはできませんが、カナダは12.6、イギリスは10.4、イタリアは13.3と高い傾向のある国々でも相対的貧困率は10前半に収まっています。ドイツ、フランス、オランダ、などの安定した欧州国やフィンランド、スウェーデンなどのさらに安定した北欧の国では1桁に収まっています。15.0を超えている国は欧州先進国にはありません

お隣韓国の数値はもっと悪いかと予想していましたが、14台で推移しており日本のほうが高いという事実がわかってしまいました。貧困率は韓国よりも日本のほうが高いのです。16を超えているのはあの超格差社会であるアメリカ、そして世界一の金持ちスリムからホームレスまで超格差のメキシコくらいです。

まとめ:日本の貧困率は世界的にも高い

以上のように世界的な国と比較しても日本の貧困率は高く、欧州先進国とは比較にならず、超格差社会のアメリカ・あの韓国と同レベルであるということです。なんだかとても悲しい事実です。

 

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