すべてが努力の差なのか?美容師の格差は5倍にのぼる
時代のニーズに合い儲かっている美容院
21世紀になってから一向に上向かない景気が続き、手に職をとれる美容師の人気はうなぎのぼりになっています。特に最近では、髪の毛を気にする男性が美容院を多く使うようになっており、女性中心だった顧客に男性がどんどんはいってくるようになってきています。その男性の割合は、20代で48.9%、30代で22.9%、何と40代でも13.7%にものぼるのです。そして気になるのが、美容院の儲けです。美容院ではカットやシャンプーで6000円か7000円。ついでに白髪染めもと思うと1万円を超える値段にもなります。しかしいくら高級なシャンプーや美容液を使おうとも原価は数千円程度であり、原価率は20%を切るほどの低さになります。これを聞くと、美容室でさぞかし美容室は儲かって仕方がないと思えますね。しかし職人気質が強い美容院業界では、その収入格差もかなりのものとなっています。
美容師の収入格差は5倍にものぼる
ではその収入はどうなっているのか見てみましょう。国民の収入の目安である構成騒動賞の賃金構造基本統計調査によると美容師の平均年齢である25~29歳の平均年収は375万円です。それに対して大手美容院チェーン店の従業員平均年間給与は290万8808円になります。なんと実に80万円も平均より下になってしまっているのです。それに対して役員や幹部の収入は極めて高い。とある大手美容院チェーン店の役員報酬の額は1億7218万円であり、12人いる役員の平均では1435万円になります。つまり従業員と比べて5倍もの高額の収入を得ていることになるのです。しかも、役員報酬のほかに役員賞与といったものもあるので、その格差はさらに大きなものであるのは確実です。格差は少なく見ても、最低5倍以上はあるということなのです。
従業員、1764人 : 平均年収 290万8808円 (平均年齢27.3歳)
取締役、12人 : 平均年収1435万円
ちなみにこの格差は、あのグッドウィルの格差よりもさらにひどいものになっています。グッドウィルの社員の平均年収は300万円を超えており、年代がだいたい同じ社員の給与を50万円も上回っているのです。だたしグッドウィルはその分役員報酬も超高額になっており、また業種も職種も違うので一概には比較にできませんが、あくまで参考のデータとしておいといてください。
グッドウィルの格差
正社員 1974人 : 平均年収 338.7万円 (平均年齢29.7歳、平均勤続年数2.4年)
取締役 6人 : 平均年収1750万円
成功するのは多角経営をした ”ほんの” 一部の人のみ
しかしいくら5倍もの格差があるといっても、入社数年の若造とキャリアも実績もたっぷりあるミドル世代の年収がこれぐらい開くのは当然ではないか?と思う人もいるでしょう。確かにその説は正解なのですが比較の対象が違っています。美容師では店舗の主である店長になればそれなりの稼ぎを得られると思われがちですが、実は店長の年収はかなり低いものになっているのです。
美容師は職人気質の強い業界であるので、誰でもカットした髪の毛の掃除、タオルの洗濯といった下働きからスタートします。この下働きは月10万円ぐらいにしかならなのですが、その後でお客をカットしたり、指名されたりして店長にまで昇格したとしても、やっと年収300万円にしかならないのです。ではどんな人になれば年収が1,000万円とか1,500万円とかの高額になるか・・・それは店長のさらに上、複数の店舗を経営する美容師オーナーになります。実際に1店舗オーナーである店長レベルと複数の店舗を経営するオーナーの月収を比較した図を見てみると、月収49万円以下が全体の6割であり複数店舗のオーナーは100万円以上がほぼ6割。さらに180万円以上も1割近くいます。いくら技術やキャリアに差があっても、美容師は複数店舗を切り盛りできるほどのオーナーにならなければ、かなりの低年収で終わってしまうのです。
いくら働いて店長になっても年収は200~300万円止まり。それから大きな伸びはほとんどない・・・これが美容師の現実なのです。これは外食チェーン店の店長と同じカタチです。いくら働いて店長になっても、本部に多額のロイヤリティを取られる上に自身は ”名ばかり管理職” ばりに激務に追われる立場。いくら一人前の美容師になっても、”使われる立場” のままではずっと低年収のままコキ使われるのが現実です。一方で、同じ20代でもアフィリエイトなどのネットビジネスで年収1,000万円を超えている人もいますし、株式投資やFX投資などで年間億単位の稼ぎをたたき出している人もいます。正直、このような状況を見れば 「マジメに働いたほうがバカを見る」 といった極端な考えが通ってしまうのも、ある意味納得できてしまいます。