貧困層ビジネスとは若年層の弱い立場を利用して搾取する悪質行為

貧乏人を搾取して儲ける貧困層ビジネス

日本ではあまり聞かれませんが、現在世界的に貧困層をビジネスターゲットにしたマーケティングを展開するビジネスが急速に広まっています。この貧困層をターゲットにしたビジネスを貧困層ビジネスといいます。本来お金を持っておらずビジネスターゲットとなりえなかった貧困層を、新たなビジネスターゲットにするその方法は賛否両論があるにせよ、今のビジネス界に新たな風を吹き込みました。しかし、その中には貧乏人を搾取する悪質な業者がのさばっている実態があります。

>> NHKスペシャル:インドの衝撃 第1回 “貧困層” を狙え <<

主に貧困層ビジネスのターゲットになっているのが、インドを代表とした新興国の貧困層です。インドは毎日2ドル以下で生活する貧困層が8億人以上いるといわれています。しかしそういった貧困の農村に格安でインターネットを巡らしたり、3円で使い切りのシャンプー、日本の日清食品による格安インスタントラーメンなど、貧困層向けの低価格・小容量の商品を浸透させていけば、膨大な数の貧困層が消費者となって大きな収益を確保することができます。

しかし、賛否両論がある上記のインド貧困層へ低価格・小容量の商品を売り込む貧困層ビジネスがある一方で、貧乏人の立場の弱さにつけこんで完全に骨の髄まで搾取しようとする悪質貧困層ビジネスを行う業者がわが国:日本に横行しているのです。

住民票を交付するネットカフェ

現在、定住する拠点をもてず、ネットカフェを転々とする生活をせざるを得ないネットカフェ難民という存在が急速に増えています。彼らの多くは定住する住宅がありませんので、住所がありません。当然住民票もないのです。そのため、就職しようとしても住所を記入することができないために、書類選考すら通れないという苦しい事情があり、ネットカフェ難民の人たちはまともな職に就くことができません。

住民票に目をつけたネットカフェ


そこに目をつけたのが埼玉県の蕨にあるネットカフェ企業です。このネットカフェはカフェの一部を住宅スペースとすることで、そこに長期宿泊する人に住民票を取れるサービスを開始したのです。 『カフェなんかが住宅になりえるのか?』 という疑問があるでしょうが、法的にはネットカフェにすんでいる人に住民票を交付すること自体問題はないのです。そのため住民票を取りたいネットカフェ難民がこぞって長期宿泊を開始しました。

住民票をたてに搾取する実態


しかし長期宿泊という行為は、もはやカフェの域を超えて宿泊施設の分類に入ります。宿泊施設には旅館業法という法律が存在しネットカフェが宿泊施設として認可されるには、布団や寝具などの設備を備える義務が生じます。ですが当のネットカフェは、布団や寝具などを用意するのは ”余計な金がかかるからやりたくない” と思っていますので、ネットカフェに宿泊する人に対して布団や寝具を給付することも持ち込むことも一切禁じました。また、そこで生活するに当たってシャワーや郵便受けつけなどの行為は、カフェに泊まっている人の足元を見て、なにかとお金を取る制度を行っています。しかし、住民票がほしいネットカフェ難民の人たちは、これを断って追い出されるのを恐れ、涙を呑んでこのような悪質制度にお金を支払っているのです。住民票が取れるというサービスを謳い文句に、実際は住民票をたてに徹底的にネットカフェ難民から搾取する悪質な実態があるのです。

敷金礼金ゼロの”ゼロゼロ物件”

敷金・礼金に目をつけた不動産会社


マンションやアパートの契約には、家賃の数か月分に当たる礼金・敷金を払わなければいけません。そのため、入居するに当たっては大金が必要となり、これがネットカフェ難民がアパートに入居できないひとつの原因となっています。しかしそこに目をつけたのが、スマイルサービスという不動産会社です。この会社が運営するアパートは敷金・礼金が共に0である、いわゆる ”ゼロゼロ物件” です。そのためまとまったお金が必要無いために、ここにも住所を取りたいネットカフェ難民やホームレスの方々がこぞって押し寄せました。しかし入居した人には、非情な搾取が待っていました・・・

住居というネットカフェ難民やホームレスの人の足元を見て搾取するスマイルサービス

違約金・生存確認出張料などの搾取


確かにスマイルサービスの不動産には敷金礼金が一切かからずに入居することができます。しかし、毎月の家賃がわずか一日でも遅れると ”違約金” が生じるというとんでもない実態が存在しました。その違約金が滞ると強制的に部屋に施錠し、入居者の家具を人質に金を支払えとの脅迫を行います。住所を手放せない入居者たちは涙を呑んで違約金を払わなければならないのです。また、その他にも生存確認出張料というどこかの派遣会社がやっていたデータ管理費のような意味不明な名目での一方的な搾取行為も横行していました。その実態に気づいた入居者たちも、相次ぐ違約金の支払いと住所を失うことを恐れて金を払い続けなければいけない生活を強いられます。敷金礼金ゼロを謳った不動産会社の実態は、やはり住所をたてに、違約金や不可解な費用を搾取する悪質な状態だったのです。

インドの貧困層ビジネスと決定的に違うところ

インドで行われている貧困層ビジネスは、低価格・小容量の商品を浸透させて貧困層の消費を確保するというビジネスでした。このビジネスは膨大な貧困層の消費を確保することができ、ブランドを売り込むこともできるので、貧困層が這い上がればその上の中流消費を確保することもできる企業にとっても、貧困層にとっても比較的将来性のあるビジネスです。

しかし上記の 「住民票が取れるネットカフェ」、「敷金・礼金ゼロの不動産会社」 の実態は住民票が欲しいネットカフェ難民やホームレスの足元をみて徹底的に搾取する悪質な経営方法でした。これは将来性もクソもありません。悪質業者にとっては、貧困層の人が這い上がってしまうと、搾取できる対象が減ってしまい顧客が減ることになるので、わざわざ自分の客を減らすようなことはしません。悪質業者は、ネットカフェ難民やホームレスの人が欲しがる ”住民票” を与えるようなフリをして、生かさず殺さずの状態に追い込み、いつまでも貧困層から脱却できないようにする貧困固定の使者なのです。

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