偽装請負とは義務も責任も果たさず権利だけ行使する悪質な行為

偽装請負とは人間をモノ扱いにする現代の奴隷

偽装請負とはメーカーなどの企業が、人材会社から事実上労働者の派遣を受けているのに形式的には請負契約と偽って、労働者の使用に伴うさまざまな責任を免れようとする犯罪行為のことを指します。2006年頃から日本を代表する大企業が、この偽装請負を行っていたことが次々と明らかになりました。

「 偽装請負って犯罪でしょ? 」
「 どうしてそんなことするの? 」

と思う方が多いでしょう。実はこの偽装請負という犯罪行為は企業にとって非常においしい状況を作ることができて、企業が大儲けできる素晴らしい ”犯罪” なのです。もちろんワリを喰って、非情な状況に追い込まれるのは労働者です。ではまずは偽装請負のしくみを説明しましょう。

派遣契約と請負契約の違いを知ろう

まず偽装請負とは、派遣契約と請負契約が複雑に絡まった犯罪ですので派遣契約と請負契約の両方における権限と責任の違いを知っておきましょう。これがよくわかっていない無知な労働者ほど搾取される可能性が高くなりますよ

派遣契約

派遣契約というのは人材派遣会社から人材を派遣してもらい、雇用主である企業が指示権限と使用者責任や労働安全上の義務を負うことになっています。つまり派遣契約では、労働者に対する権限と義務が派遣先のメーカーにあるのです。また、人材を派遣するには派遣会社としての免許が必要であり、職安や労働基準監督署に管理されます。そのためメーカーに派遣された労働者には労働基準法や派遣法が適用されて労働者の権利が守られます。

請負契約

これに対して請負契約というのはメーカーなどの顧客から ”仕事の発注のみ” が行われ、請負側が作業指示を行う業務のことです。この請負契約では労働者に対する権限と義務は請負業者にあるのです。そして重要なのは、請負をする会社には免許などが必要でないために職安や労働基準監督署の管理を受けることが無く、労働者には労働基準法や派遣法が適用されないのです。

比較 責任や労働安全の義務 仕事の命令権利 労働基準法・派遣法
派遣契約 メーカー・派遣会社 メーカー 適用
請負契約 請負業者 請負業者 適用外

権限と責任をまとめると派遣では権限と責任を負うのは派遣先の企業、請負では請負業者ということになるのです。請負契約では労働者の使用者責任や労働安全上の義務、そして指示を行うのは請負業者であって、メーカーには使用者責任や労働安全上の義務が無い代わりに指示する権限もありません。義務が無いのに権利だけあるのはおかしい話ですから、派遣先の企業には請負契約の労働者へ指示する権利は無いのも当然ですよね。ここで権限が無いのに指示をすると違法になります。この点が偽装請負の最も重要なポイントです。そう、この違法な指示をすることが偽装請負のことなのです。

派遣では指示の権限や労働者の責任を派遣先の企業が負う、そして請負契約では指示権限や責任は請負業者が負うことになる

派遣をしておきながら請負と偽るのが偽装請負

偽装請負というのは、本来指示権限や責任が無いメーカーなどの企業のほうへ人材派遣を行い、そのメーカーが禁止されているはずの作業指示を行っている状態のことを指します。労働者に対する責任や義務を負わないのに指示をするのはおかしいですね。義務があるからこそ権利が発生するのです。

しかしここから悪質な行為が始まります。なんと契約内容だけを派遣契約から請負契約に偽装してしまうのです。こうやって請負契約に偽装してしまえば使用者責任や労働安全上の義務をまねがれることができるのです。つまり全く責任も義務も負わないまま派遣の労働者に指示をしてコキ使う ”悪質な責任逃れ” ができるわけです。いくらでもコキ使えて、なにか事故や事件が起きたときも責任も義務もないから知らん顔できます。偽装請負とは義務も責任も果たさずして権利だけ行使するといった、とんでもない犯罪行為なのです。

派遣の契約を請負の契約に偽装し、使用者責任や安全の義務を不法に免れるのが偽装請負

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派遣・請負・偽装請負における権利と責任の所在
比較 責任や労働安全の義務 仕事の命令権利 労働基準法・派遣法
正社員 メーカー メーカー 適用
派遣契約 メーカー・派遣会社 メーカー 適用
請負契約 請負業者 請負業者 適用外
偽装請負 どこも責任を負わない メーカー 適用外