待遇格差:正規と非正規のお金の自由度格差

正規雇用は減り非正規雇用が増えて格差も広がる

格差社会が最も如実に表れているのが、労働者の労働形態です。現在の企業は平成不況の到来で経費削減のために新卒社員の採用を絞り、余分な社員を人員整理するリストラが全国規模で行われました。この結果、企業に就職できなくなった若者やリストラされた中高年が大幅に増えました。そしてこの頃から正社員は減り始め、非正規社員の割合が大幅に増えていくことになります。非正規社員の増加は21世紀になってリーマン・ショックにより激増をしました。その後、景気が幾度か多少改善しようとも正規雇用を増やす流れにはなかなかなりません。

日本の非正規労働者、パートの賃金は最低レベル水準にある

日本で増え続けている非正規労働者ですが、驚くべき情報があります。日本の非正規労働者は世界の先進国の中でも最低レベルの賃金水準にあるのです。上の図は主要なOECD参加国の、パートタイム労働者の賃金水準がフルタイム労働者と比較して時給ベースでどのような水準にあるのかの国際比較を掲げたデータです。なんと日本のパートの人の賃金は正社員の賃金の半分にも満たないのです。しかし他の先進国では正社員の60%以上、高い水準の北欧諸国(スウェーデン)やスイスでは90%にも到達します。日本のパート人たちはとんでもなく賃金を低く抑えられてコキ使われているのです。日本の企業は 「パートなんて使い捨て」 という認識を今でも持っているのです。

正規雇用と非正規雇用の年収や生涯賃金格差

3人に1人。派遣社員や契約社員、パート・アルバイトなど非正規の雇用者の割合は1990年代から増加を始め、現在35%台にまで達しています。日本には約5000万人余りの雇用者がいますがそのうち、3000万人余りが正社員、残り2000万人弱が非正規です。リーマン・ショックからの回復やアベノミクスなどの好材料もありますが、企業が正規雇用を増やす流れは中々出ません、その正社員と非正規社員という雇用形態の違いによって、「一生に貰えるお金」の差はとてもすさまじい格差となっています。

厚生労働省「賃金事情等総合調査」をもとに世代ごとの月収と賞与を合算し、正社員と非正規の年収(男性)を算出したのが下図です。プレジデント誌の図から引用しました。現在の正社員平均年収は510万円、そして非正規の平均年収はその6割ほどの290万円にしかなりません。また非正規の方は賞与や退職金などの月給の他の給与はありません。そのため生涯賃金の格差は6割というものでは収まらず、倍以上となっています。正社員の生涯賃金は2億5000万円ほど、非正規の生涯賃金は1億円をちょっと超えるほどなのです、倍以上の格差が生じてしまっています。

正規雇用と非正規雇用の福利厚生費格差

また正社員に対して企業は福利厚生費を月平均10万円以上も払っています(図4/日本経団連調査)。8万円近くにもなる健康保険や厚 生年金保険など社会保険の会社負担分の「法定福利費」に加え、社宅・寮の費用や賃貸住宅の家賃補助などの住宅関連の費用や、医療・健康関連(健康診断な ど)財産形成(財形貯蓄制度や社内預金制度)、保険・生活用品の割引販売といった各社ごとの「法定外福利費」が計2万5000円を超えるのです。非正規の方にも企業によっては支給しているところもあったりしますが、正規雇用の方とは大きな差があります。その差が積み重なって、約40年の勤続年で総計約4700万円にもなる計算になります。

正規雇用と非正規雇用の退職金や年金格差

上記でも言及していますが退職金は非正規雇用の人には基本的にありません。もらえるのは正規雇用の方だけであり、企業によっては勤続年数がある程度必要なところもあります。この退職金の格差は正規と非正規で相当なものとなっています。なにせ非正規雇用の方はもらえないのですから、正規雇用の方の1人勝ちです。格差以前の比較です。

またその退職金格差が老後にも正社員と非正規の差は如実に現れています。非正規は年収が低い分、年金も低くなります。国民年金部分などは同じですが、正規雇用の方は厚生年金の他に企業が運用している企業年金や場合によっては厚生年金基金などの複数の年金がもらえます。標準的な月給を基に20年間分の年金を受給したとして試算したところ、厚生年金に未加入(国民年金のみ)の非正規は正社員の4割程度の年金額になることがわかった。約20年間の年金受給では正規雇用の方は4000万円ほどもらえますが、非正規で厚生年金やその他の年金未加入であると1500万円にしかなりません。倍以上の格差が開いてしまうのです。無論、この格差は年数に比例していきますから、長生きすればするほど格差は広がる一方です。