世界の軍需産業(武器商人)

世界の軍需産業(武器商人)

武器、それは争うことをやめられない人類にとって必要不可欠なものとして、必要悪としていつの時代も用いられてきました。古くは石器など狩猟目的が起源として開発されながらも、人類同士の闘いに使われていろいろなものが開発されてきました。槍、鈍器、剣、刀、斧、弓、銃、砲弾、爆薬、光線、縄、機械、火炎、機械銃、バズーカ、ライフル、グレネード、ミサイル、ロケット、原爆、水爆、数えればキリがありません。人類の歴史が武器の歴史といってもいいほどに多彩なものが開発されてきました。

さて近代に開発された武器が横文字の物が多いことでもわかるように、近代武器は欧米の軍事企業によって開発されたものが多く出回っています。かつて武器を扱う人間が死の商人と言われたようにいつの時代も武器商人が存在することは事実ですが、近代ではその武器を商品として売り出して儲けて大きくなった軍事企業が存在します。戦争の世紀と言われた20世紀になって軍事費用が莫大なものとなり、実際に世界大戦という巨大な需要が生まれた時代に巨額の利益を上げ巨大になっていったのです。おわかりの人もいるでしょうが、その巨大軍事企業の多くは世界の超大国であり軍事大国でもあるアメリカに多く存在します。もちろん他の国にもたくさん存在します。軍事企業は国の防衛の根幹を握るものですので国家秘密として情報が口外されないところも多くあり、中国や北朝鮮などはよくわかっていませんが公表されている限りのデータを参照したスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は毎年、世界の軍需企業ランキングTOP100(SIPRI Top 100 and recent trends in the arms industry )を発表しています。世界の戦争の裏で彼らの暗躍ありと言われる現代の死の商人とはどんな企業でしょうか。

世界の軍需産業の中でも不動のトップ3

1位:ロッキード・マーティン

ロッキード・マーティンはストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の2010、2011、2012、2013、2014年ランキングでも不動のトップを突き進む名実ともに世界最大の軍需企業。兵器の売上高は総売上高 の82%にも及び、その額およそ374億ドル。1995年にロッキード社とマーティン・マリエッタが合併して生まれた同社は極秘設計チーム「スカンクワー クス」を擁していたことはあまりにも有名。現在開発中の最新鋭のステルス戦闘機F-35ライトニングII(※日英も出資)やF-22ラプター(※ボーイン グとの共同開発)を生み出したトップ企業。ボーイングやBAEシステム、レイセオンなど上位企業が売り上げを減らす中、ここは兵器売り上げが2013年と くらべて20億ドル近く増えているのが印象的だ。

2位:ボーイング

世界的に知られた航空機メーカー。エアバス・グループとともに民間旅客機市場を二分する巨大航空機メーカーである。軍用部門は全売上の31%とそこまで 大きくはないが、何しろ全体の売り上げが907億ドルを超えているだけに、31%でもロッキード・マーティンに次ぐ283億ドルの売り上げを誇る。 2013年と比べると20億ドル売り上げを減らしている。航空機だけでなく、ミサイルや攻撃ヘリなども開発している。

3位:BAEシステムズ

欧州最大にして、世界トップ3に常にランクインするイギリスの巨大軍需産業。米国内にも子会社BAEシステムズ・インクを持ち、世界的なシェアを誇る。 起源はイギリスの国有航空宇宙企業「ブリティッシュ・エアロスペース」だが1999年に民営化して設立された。2008年には324億ドルの売り上げを叩 き出し、ロッキード・マーティンやボーイングを抜いてランキング1位になったこともある。2014年の兵器売り上げは257億ドルで総売上の94%を占め る。

ミサイルで有名なあの企業ももちろん名を連ねる

4位:レイセオン

1991年の湾岸戦争で名を馳せたパトリオットミサイル(MIM-104)で知られる。こちらも総売り上げの94%(213億ドル)が兵器の売り上げか らなる純度の高い軍需企業。ミサイルに関しては随一で、ミサイル自体の開発からミサイル防衛やレーダー関連などでも評価が高い。

5位:ノースロップ・グラマン

 兵器売り上げ高は196億ドルで総売上の82%を占め、航空機・人工衛星・ミサイルなどを作る巨大軍需企業。かつては世界最大ともいわれるニミッツ級航 空母艦を建造できる唯一の造船所であるニューポート・ニューズ造船所なども擁する造船会社だったが、2011年に造船部門はハンティントン・インガルス・ インダストリーズ(HII)として分離独立させ、艦船の建造からは手を引いている。ただ、現在もHIIの株主である。

6位:ゼネラル・ダイナミクス

 兵器売り上げ高186億ドルで6位に付けるのは1899年から米海軍向けに潜水艦や対潜ミサイルなどを製造していたエレクトリック・ボートを前身とする 重機械コングロマリット。宇宙防衛から造船と多岐にわたり、アメリカの国防の主力戦力を担う。バージニア級原子力潜水艦などを建造するほか、陸では米陸軍 の主力戦車であるM1エイブラムス戦車などを開発している。

日本には馴染みのない企業も多い

7位:エアバス・グループ

 兵器売り上げ高144億ドルで7位に付けるのはボーイングと世界の航空機市場を二分する存在であるエアバス・グループ。2014年の4月までその名前は EADSだった。グループ全体として見ると兵器売り上げの占める割合は18%と小さいが、それでもなお軍需産業としては欧州でBAEシステムズに次ぐ存 在。

8位:ユナイテッド・テクノロジーズ

 航空機エンジンから燃料電池など軍需・民生、大きなものから小さなものまでさまざまな事業を行うコングロマリット。航空用ジェットエンジンの製造を行う 部門であるプラット・アンド・ホイットニーは同分野の世界三大メーカーの一角だが、2012年に対中武器輸出規制法に違反し、7500万ドル(約60億 円)超の罰金を課せられたこともある。2014年の兵器売り上げ高は130億ドルで、総売上高の20%を占める。

9位:フィンメッカニカ

 日本人にはあまり馴染みがないかもしれないイタリアの兵器メーカー。航空分野や宇宙分野、防衛システムやミサイルシステムでは世界でもトップクラス。 2014年6月には、民生用に限るとしながらも子会社であるアグストウエストランド製のヘリコプター50機を中国に輸出し、販売やメンテナンス、訓練で協 力することを発表している。兵器売り上げ高100億ドルで総売上高の54%を占める。

10位:L-3コミュニケーションズ

 兵器売り上げ98億ドル、総売上に占める割合81%という純度の高い軍需産業。ロッキードがマーティン・マリエッタと合併した際に、幾つかの部門が分離 される中で設立された。レーダーやソナーなどの開発をしていたローラルや各種企業を買収し、さまざまな方面から軍事をバックアップする企業。軍事教練請負 や戦地での後方支援を行う民間軍事会社的な部門もあり、アブグレイブで捕虜虐待をしたと訴えられたタイタン・コーポレーションやクロアチア軍をトレーニン グしたと言われるMPRIも傘下に収めている。

ちなみに同ランキングで日本企業は21位に三菱重工(前年28位)、50位に川崎重工(前年49位)、70位にIHI(前年62位)、75位に三菱電機(前年69位)、77位にNEC(前年94位)と5社がランクインしています。特に三菱重工業は戦前は世界でも指折りの軍需企業であり、GHQが真っ先にその力をそぎ落としにきたほどの存在です。最近では新しく武器市場に再参入しており 「三菱が戻ってきた」 と海外では警戒されています。また日本には各地に在日米軍基地が存在しており、そことの取引で莫大な人員、物資、資金のやり取りが行われています。その取引が雇用を生み出し、需要を作っているという観点もありますが平和な日本でも軍需企業と無縁というわけにはいかないのです。

また軍需産業自体が戦争で儲かっているわけではありません。実際に戦争が起きた場合、使われるのは兵器だけではなくその兵器を動かすための燃料や備蓄、戦争に関わる大勢の人間を賄うための経費、さらに前線をサポートするための後方戦線での需要。そしてそれらを決済する資金を供給する金融機関。兵器開発会社はその一端にすぎず、燃料を扱う石油メジャー、人間を養うための穀物メジャー、資金を牛耳る金融メジャーなど、社会を牛耳っているたくさんの企業に大きな需要が生み出されるのです。戦争は最強の公共事業とまで言われるほど戦争は商売にとって美味しいものであることも事実であり、その利益をもってしても埋められない憎しみ・悲しみ・後悔をも生み出す存在です。

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