EUR(ユーロ)とはEU(欧州連合)加盟国の15ヵ国以上で使われる単一通貨

EU(欧州連合)のデータ

正式名称 欧州連合
人口 5億人 (EU加盟国総人口)
面積 432万km2 (日本の約25倍)
首都 ベルギー ベルギーのブリュッセル
ユーロ導入国 ベルギー、ドイツ、ギリシャ、スペイン、フランス、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランド、スロベニア、マルタ、キプロス、スロバキア
主要産業 工業、小麦、とうもろこし、大豆、金融保険不動産業、サービス業
名目GDP 14兆9530億ドル
一人当たりのGDP 29,476ドル(2007年)
実質GDP成長率 1.58%(2005年)
インフレ率 2.3%(2006年)
失業率 8.20%

EUR (ユーロ) の特徴

EURとは欧州連合加盟国で使われる通貨である

EUR(ユーロ)とはEU(欧州連合)で使われる単一通貨です。EU(欧州連合)とは1951年にドイツ、ベルギー、フランス、イタリア、ルクセンブルグ、オランダの6カ国の欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)がその発端です。その後、欧州経済共同体(EEC)、欧州共同体(EC)を経て欧州連合(EU)となり、その域内で使用される単一通貨がEUR(ユーロ)となります。キプロス、マルタ、スロバキアなどがユーロを導入したように東欧のEU加盟国はこれからどんどんユーロを導入していくことでしょう。ただしイギリスのGBP(イギリスポンド)ように自国の通貨をそのまま使い続けている国もあります。ユーロは € と表示されます。

欧州連合の旗ユーロ導入国です

21世紀の基軸通貨

EUR(ユーロ)は1999年1月よりEU圏の流通通貨として発行されました。それ以降、アメリカ経済の失速などで基軸通貨であるUSD(アメリカドル)の価値が低下し信用がゆらいでいることから欧州ではUSD(アメリカドル)よりも基軸通貨としての価値をもつようになりました。ロシアや中東各国がドル建ての資産をユーロ建てにするなど世界の次期基軸通貨としての地位を固めつつあります。

EURUSD相場は世界最大の取引

EUR(ユーロ)は前述のようにドルの転落もあって国際的な地位を相当な水準まで高めています。そのためドルからユーロへ資産を流す動きがあったり、また逆にユーロをドルにしたりする流れが非常に強くなっています。このためユーロとドルの通貨ペアであるEURUSDは外為市場一の取引高を誇ります。インターバンク市場のEURUSDの取引は常時数億ユーロ規模の売り買いがぶつかっていると言われています。これほどの量を誇るために、EURUSD相場に流動性の問題は全くありません。

導入していない国もペッグ制をとっている

ヨーロッパの基軸通貨であるEUR(ユーロ)には固定相場制を採用し、通貨レートを一定にしている国・地域がかなりあります。国力が十分でない、金融システムが整っていないなど、いろいろ理由はありますがレートを一定に固定しているのをペッグ制といいます。EUR(ユーロ)との固定相場制をとっているのは、DKK(デンマーククローネ)、EEK(エストニアクローン)、LTL(リトアニアレタス)、LVL(ラトビアラッツ)、BGN(ブルガリアレフ)などがあります。これらの通貨とEUR(ユーロ)は事実上の固定相場をとっており、これらの通貨とのペアであるEURDKKやEURLVLなどは、為替変動リスクがないために一部のスワップ投資家に人気のペアとなっています。

EUR(ユーロ)のリスク要因

フランス・ドイツの経済指標

EUR(ユーロ)の変動要因として代表的なのがユーロ圏の中心である ドイツ ドイツ、フランス フランス両国の経済指標です。両国の失業率、GDP、鉱工業生産、生産者物価指数、消費者物価指数が注目されますが、特にドイツのZEW景況感指数IFO景況指数などが大きな注目をあびています。これら代表的な経済指標があらかじめ予想されていた数値から大きく乖離した場合、ユーロ相場が大きく動く可能性があります。予想より悪い数値ならユーロ安、予想よりも良い数値ならユーロ高になるといったようにです。

ECB総裁の発言

世界的に注目されているEUR(ユーロ)の金利動向も大きな注目を浴びています。金利の発表はECB(欧州中央銀行)が原則毎月第一木曜日に発表することになっています。金利の変動はUSDよりもゆるやかですが、予想よりも利下げや利上げの幅が異なるとユーロ相場に大きな影響を与えます。しかしそれよりも大きな注目をあびるのが金利発表の後に行われるECB総裁の記者会見です。この総裁の発言内容に次の利下げ・利上げを示唆するものが含まれていた場合、金利の期待感・失望感からユーロ相場は大きく動くことがあります。その影響力はアメリカの雇用統計にも匹敵するほどです。

各国の意見のくいちがい

EUR(ユーロ)の代表はECBにありますが、いくらECBが方針を決めるといっても15ヵ国以上で使われる通貨ですので、各国によってその捉え方はさまざまです。特に2008年の金融危機において財政が健全な国と、そうでない国との意見のくいちがいが出てきたことがあります。このように各国に認識のズレなどが確認されるとEUR(ユーロ)の一体感に疑問が広がり、売られるといったことがあるのです。統一通貨としての魅力が高いEUR(ユーロ)ですが、一旦その統一性がみだれると大きなリスク要因になってしまいます。

問題のある国が脱退する可能性

現在単一通貨EUR(ユーロ)の価値は上昇しており、東欧諸国などが導入を進めています。しかし導入には財政赤字の解消や失業率などかなり高いハードルが存在します。そのためこの水準を満たせなくなった国がEUR(ユーロ)を脱退する可能性もあるのです。2008年の金融危機では、財政が危機的状況に陥った アイルランド:ヨーロッパの格差社会 アイルランドがEUR(ユーロ)脱退を口にするなどして、大きなリスク要因となりました。このときアイルランドは脱退しませんでしたが、後にデフォルトに陥りECBが介入する事態に陥りました。統一通貨としての魅力はこういったリスクを伴ってもいるのです。

弱小国が足を引っ張る

ユーロはフランス・ドイツが中心になっていますが、その他にも様々な国が参加しています。その中には当然経済規模が小さかったり、主だった産業を持たない ”劣等国” が存在します。その国々が足を引っ張ってしまうこともあります。2010年にはギリシャをはじめとしたPIIGS( ポルトガル ・ イタリア・アイルランド:ヨーロッパの格差社会 アイルランド・ ギリシャ・ スペイン)と呼ばれる南欧諸国が財政危機を引き起こして大きくユーロが売り込まれてしまいました。こうした劣等国を助けるためには優等生であるフランスやドイツが救済に乗り出す必要がありますが、フランス・ドイツの国民は 「自分たちの税金でなぜ他国を助けなければならないんだ」 と反発をしたり、ユーロ安で輸出企業が潤うので意図的にユーロ安を容認したりと、各国の足並みの乱れが起こってしまいました。経済規模や経済状況が違う国々が同じ通貨を利用するということは、いつまた ”劣等国” が問題を引き起こすかわからない爆弾をかかえていることになるのです。ドイツなどは新ドイツマルクを発行するなんて行ってるほどですから。

EUR(ユーロ)の政策金利

ユーロの金利動向

EUR(ユーロ)の政策金利はおおむね2~4%の間で推移しています。これはヨーロッパの各国がインフレ率が高く、そのインフレを抑えるために金利は少し高めの状況が続いています。しかし米国のような激しい金利変動はあまりありません。EUは他の国と違って多くの国の集合体であるために、なかなか機敏な動きができないのです。その動きの遅さが2010年のユーロ暴落を引き起こしました。また中央銀行であるECBはインフレ抑制を第一にするという方針をとっているために、インフレが目に見えて低下するリスクが明らかにならない限り利下げには動きにくい特徴があります。2008年の金融危機においても日本、アメリカがあいついでゼロ金利政策を行いましたが、ECBはゼロ金利にはしませんでした。EUR(ユーロ)の金利はUSD(アメリカドル)のような頻繁な金利変動はないのです。

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