就職後3年以内に辞める若者は3割、退職を強要されるブラック企業も多い

大卒者の3割に当たる約20万人は3年以内に離職

よく聞かれるのが 「若者の3割はせっかく就職できた企業を3年以内にやめてしまう」 という話です。この就職難の時代に、せっかく苦しい思いをして内定をもらって就職した企業をどうして辞めるのか?という疑問もあるでしょう。しかしデータを見てみると本当に若者3割以上が3年以内に離職してしまっているのです。

現在若者の数は減っていますが、反して大卒者は80万人ほどおり、最終的に7割ほどの60万人ほどが就職できています。しかし3年以内にその3割約20万人ほどが離職してしまっているのです。しかも中卒者、高卒者を見てみるとそれがさらにひどくなっています。現在中卒者は1万人もいませんがその7割が、20万人ほどいる高卒者も半分ほどが3年以内に離職しているのです。これは当て字で753問題といわれています。ではこれほど多くの若者達はなぜ辞めてしまうのでしょうか?

辞めざるをえない状況へ追い込むブラック企業の増加

一般的に若者の離職問題を聞いて、当事者の状況をわからない人は 「我慢が足りない」、「スキルが足りない」 といった精神面やスキル面の実力が一定のラインに達していない理由を挙げるでしょう。無論この理由で辞めてしまう若者もかなりいます。しかし何十万人という離職者の動機をすべてこれで説明することは困難です。そもそも今の若者たちは 「失われた20年」 を生きており、好景気を知らない世代です。そのため簡単に離職することがいかに後の人生を不利にするかは知っています。離職の原因は他にもあったのです。

【離職率の高い業界への偏重】
現在は先の見えない不況でどの業界も人件費をなかなか増やせません。そして新卒をたくさん雇って全員教育したりする余裕もあまりありません。そのため一度雇ってスキルが定着した人が多い業界の流動性は極端に悪く、スキルを必要としない単純サービス業界への流動性が極端に高くなります。そのためもともと離職率の高い業界への就職率が上がっているという理由があります。しかもそういったサービス業界は単純作業であるがゆえ 「誰でもいい」、「代わりはいくらでもいる」 といった状況になり、雇用者の扱いや解雇にもあまり躊躇がありません。そのやり方がいつしかブラック企業と呼ばれるようになっていきます。

【ブラック企業の増加】
上述のサービス業界を始め、小売、IT、介護業界など多いブラック企業の増加という原因もあります。ブラック企業とは労働条件や環境がブラック:悪条件である企業のことです。長時間労働や達成困難なノルマを強いて、入社間もない社員を離職に追い込んだりすることは日常茶飯事です。中には犯罪まがいのことや犯罪を社員にやらせて雲隠れするところまであります。しかも経営者が夢を語って若者を釣り、入社後は過酷な労働条件で切り捨てる企業も増えている状況です。

【ブラック企業は奴隷を選別し、対象外を離職に追い込む】
これらのブラック企業は社員を人ではなくモノ扱いにするため、まず取れるだけ社員をたくさん採用し、過酷な研修や仕事の押し付けをやらせることで自らに都合のいい従順で真面目で責任感があって反抗しない奴隷を選別しています。こういった企業は法律違反が日常茶飯事のため、通報とか反攻をしない自らの都合のいい人間だけを残していくのです。『ブラック経営者は真面目で素直な奴を狙う』 にブラック経営者のやり方が語られています。結果、その過酷な研修で多くの新入社員は辞めさせられる、辞めざるをえない状況へ追い込まれてしまうのです。

ブラック企業のやり方:
西日本在住の大卒男性Aさんは今春、勤めた会社をわずか2カ月で「自己都合」により退職した。会社は西日本を拠点に展開するIT企業で、ハローワークの求人票を見て応募した。Aさんによると、「面接では、入社後に上司になった幹部から、事業を通した地域貢献も聞かされた」という。
しかし入社初日にこの幹部が、他の男性社員を怒鳴りつけた。同じ社員への叱責は1週間続いた。Aさんらが営業に出るようになると、幹部は契約や代金回収での強引なやり口を強要した。わずか1カ月の間に、耐え切れずに同僚4人が退職した。Aさん自身も「辞めたい」と思ったころには幹部から「家族に何かあってもいいのか」などと脅された。ついには殴られ、退職を決意した。「辞めるためには『一身上の都合』と自己都合退職にするしかなかった。幹部は社員を育てる考えはなく、意のままに働かなければ暴言を吐くばかりだった」と振り返る。
若者の労働相談に応じているNPO法人POSSE(本部・東京都世田谷区)には、この男性のように離職に追い込まれたケースの相談が相次いでいる。「大量に採用しておきながら、入社後に厳しく選別するのがブラック企業の特徴の一つ」と今野晴貴代表は話す。気に入らない社員は、入社後まもなくからあの手この手で離職に追い込む。簡単に解雇はできないため、証拠が残りにくいいじめや嫌がらせで巧妙に退職を強要する。POSSEへの相談者の中には、自己都合退職を申し出るまで、小学生用国語ドリル数十冊の課題を強いられた男性もいたという。

さらに別の例では、10年春、大手メーカーに勤務する男性がPOSSEに相談に訪れた。男性は大卒で09年に入社。前年秋にリーマン・ショックが起きた。辛くも「内定切り」には遭わなかったが、入社半年で子会社へ出向。仕事は書類整理などの雑務だけだった。男性は「おまえは不要」という会社のメッセージと受け止め、耐え切れずに自己都合で退職したという。

ちなみに 「そんな企業ならさっさと辞めてしまえ」 と思う人もいるでしょうが、若者の多くは後述するフリーターからの正社員の就職がいかに厳しくなるかを知っているため、辞めたくてもやめられないのです。または ”辞めるという考えが起こらないほどの重圧や仕事をブラック企業に押し付けられている” という状況もかなりあります。そんな離職への恐怖をブラック企業は狙い、足元を見て使っているのです。

一度フリーになってしまうと正社員になりにくい日本経済

上記はフリーター期間別にみた、男性・女性の正規雇用確率です。グラフのように半年以内では6~7割で就職できるのですが、それが3年以上になってしまうと5割を切ってしまいます。さらに伸びるとさらに低くなることは容易に想像できるでしょう。日本の雇用の流動化は非常に停滞しており、余程のスキルをもってヘッドハンティングでもされるような腕利きでもなければ、次の就職先に不自由しないということはありえません。そのため 「誰でもいい」、「代わりはいくらでもいる」 というブラック業界に行きたくなくても行かざるをえない状況の若者がたくさんいるのです。そしてそういったところで過酷な環境にさらされても 「また離職したらもっと就職しにくくなる」 という離職後の恐怖から理不尽な要求にも我慢してしたがってしまい、結果としてボロボロに使い捨てにされたり、精神を病んでしまったりする人が続出しています。なんとも皮肉なことに 「真面目で責任感が強くて頑張りや」 そんな良い若者が一番ひどいめに合わされてしまっています。このような若者が多いのに 「我慢が足りない」、「スキルが足りない」 というのはあまりにも現状を知らなすぎると言えるでしょう。

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