山一證券破綻など金融危機があった1998年が格差社会のターニングポイント

格差社会のターニングポイントは1998年

日本は高度経済成長期において国民全体が豊かになっていたために、所得格差などを大きく感じない1億総中流の昭和時代がありました。しかし現在は 「勝ち組」 「負け組」 といった表現がされ、世代を超えて格差が固定されるなど、格差が広がっていることを大きく感じる時代になっています。もちろん格差はもともとあったのですが、では一体いつごろから、これほど深刻な格差社会の拡大が始まったのでしょうか?

ある専門家は日本のバブルが崩壊した1990年と言う人もいますし、1993年の食糧危機からだという人もいます。もちろん日本が格差社会になった原因のひとつにこれらは含まれるでしょう。しかしそれらの要因が浸透して日本が格差社会になり始め、格差拡大が如実に現れた時期があります。それのターニングポイントが1998年です。それを証明するデータをいくつかご紹介しましょう。

1998年に大規模な金融危機が起こった

もう10年以上前になる1998年、この頃をあまり覚えていない人も多いでしょう。この1998年に起こった出来事にはサッカーW杯フランス大会、FF8発売、横浜ベイスターズの優勝、金融ビックバンによるFXの出現、などがあります。しかしこの年に最も起こった大きな出来事といえば、世界的な金融危機に端を発した大手金融機関の破綻が挙げられます。

1998年では、1年前の1997年にタイから発したアジア通貨危機により世界的な金融危機が起こり続けていました。1997年の間にインドネシアや韓国では国家破綻の一歩手前まで追い詰められ、日本にも大口取引先である地域の通貨危機の打撃を正面から受けて戦後初めてのマイナス成長になりました。この金融危機により遂に起こってしまったのが、山一證券、北海道拓殖銀行、三洋証券、などの大手金融機関の破綻です。

それまでの日本では高度経済成長による過信もありバブル崩壊後も、大企業は倒産しないという一種の ”お上信仰” といったものが存在していました。しかし実際に大手金融機関が倒産すると、日本のサラリーマンの多くは自分たちが今まで信じてきたものが否定されたことで、失望と絶望が覆います。この事件によって多くの企業は山一證券の二の舞は御免だとばかりに、なりふり構わず労働者を搾取して生き残る経営方法に転換します。新卒採用を絞りこみ、大規模なリストラを行ない、経営の建て直しを図ったのです。そのため就職氷河期が起こり、正社員も削減されて雇用情勢が悪化し、景気は後退、格差が拡大を始めるのです。

空しく散った山一證券。この山一證券の破綻が日本の格差社会拡大のきっかけになったともいえる

データ : 1998年に急激に増える自殺者

格差社会が拡大していき、自殺者も増加している

上の図は、日本の自殺者数の統計を年度で表示したものです。ご覧のように20世紀の間は自殺者数が2万人で抑えられているのですが、格差が拡大し、 ”格差社会” が叫ばれる21世紀になると急激に自殺者数は増加し、その数は1年で3万人を超えるものになります。そのターニングポイントとなっているのが 山一證券、北海道拓殖銀行、三洋証券、など大手の金融機関の破綻し、日本はどうなるんだという悲観論で一杯だった1998年です。

1998年では戦後初のマイナス成長を記録し、多くの企業が山一證券の二の舞を踏まないために、新卒採用を絞りこみ、大規模なリストラを行ない、社員の給料やボーナスも削減します。そのため新卒なのに就職できなかったり、いきなりリストラを言い渡されて失業した人が山ほど出現しました。戦後初のことなので、その数も衝撃も今以上のものがサラリーマンを襲ったのです。そうして経済的問題や失業などで失意のドン底状態だったために非常に自殺する人も増えてしまったのです。

データ : 1998年を境に貯蓄も減っていく

支出は増加し、賃金は上がらない・・・これでは貯蓄を崩すしかなく、貯蓄する余裕すらない

上の図は家庭の貯蓄に回せるお金の分(貯蓄率)と、賃金、支出をグラフ化したものです。ご覧のように家庭の貯蓄率はずっと右肩下がりを続けているのですが、とくに下がり方が急速になっているターニングポイントも 山一證券、北海道拓殖銀行、三洋証券、など大手の金融機関の破綻し、日本はどうなるんだという悲観論で一杯だった1998年です。

【1998年から急激な下落】
1998年では戦後初のマイナス成長を記録し、多くの企業が山一證券の二の舞を踏まないために、新卒採用を絞りこみ、大規模なリストラを行ない、社員の給料やボーナスも削減します。この傾向は21世紀になっても続いています。なぜなら政府の後押しをしてくれたからです。そのため新卒なのに就職できなかったり、いきなりリストラを言い渡されて失業した人が山ほど出現しました。そのためほとんどの世帯では賃金は上昇どころか、減少しました。

【支出が増加したら貯蓄を崩すしかなくなる】
しかし世界的なインフレの影響を受けて、家庭の支出はどんどん増加していきます。賃金が減少し、支出が増加すれば当然家計が赤字になるでしょう。そうしたらもう、貯蓄を切り崩すしかありません。こうして生活が苦しくなっていくので貯蓄を切り崩すしか無くなり、貯蓄ゼロの世帯がどんどん増加しているのです。

データ : 1998年から非正規雇用も増加

正社員は減り続け、非正規社員は増加傾向にある

上記の図は総務省の統計局が行った 「労働力調査」 による正規・非正規労働者の推移を表した図です。他の図のような1998年からの急激な変化こそは見られませんが、やはり1998年を境に急激に非正規労働者の数が増加しています。1990年代にはまだ20%代だった非正規労働者の割合は、1998年の格差社会のターニングポイントを境に増加し、30%以上になりました。つまり、労働者の3人に1人は非正規の労働者ということになるのです。

データ : 1998年から生活保護受給者も増加

生活保護受給者の推移

しつこいようですが、上の図も1998年から格差拡大を表した生活保護受給者の推移を表したものです。20世紀の間はあまり変動がなかった世帯数は1990年代の後半、特に1998年ごろの格差社会が叫ばれるようになる時期になると急激に増加します。生活保護率も高度経済成長期はどんどん下がっていったのですが、1998年ごろになるとこちらも急に上昇するようになっています。これは1998年を格差社会のターニングポイントとし、その時期から日本が確実に格差社会化になり、下流や貧困層の人たちが生活に困窮し、生活保護を受けざるを得ない状況まで追い込まれたことを表しています。

生活保護は日本の財政が圧迫され続けているために、1990年代からは生活保護の受給水準はかなり厳しく制限され始めています。そのため1990年からは一時的に下がったのですが、21世紀になると急激に増加しました。受給水準が厳しくなっているのに、それでもなお生活保護世帯が増加しているのは、下流や貧困層の人たちの生活がいかに困窮しているかということの表れでもあります。

データ : 1998年から所得格差が生じる

低年収層は1998年の格差社会ターニングポイントをきっかけに増加し始める

全くしつこいようですが、上の図は年収が100~300万円の低年収層の推移を表したものです。ご覧のように1998年ごろの格差社会が叫ばれるようになる時期になると急激に増加します。これは1998年を格差社会のターニングポイントとし、その時期から日本が確実に格差社会化になり、新卒で就職できなかったり、リストラされたりして年収が下がった人が大幅に増えたことをあらわしています。

逆に高年収層は1998年の格差社会ターニングポイントをきっかけに減少し始める

逆に今度の図は年収が700~900万円の比較的中流年収層の推移を表したものです。ご覧のように1998年ごろの格差社会が叫ばれるようになる時期になると急激に減少します。これは1998年を格差社会のターニングポイントとし、その時期から日本が確実に格差社会化になり、リストラを免れても給与やボーナスが削減されて、所得が減少し、中流が下流へと没落し始めたことを表しています。

データ : 1998年頃に破綻した機関
山一證券
北海道拓殖銀行
不二証券 京都共栄銀行
松彦証券 越後証券
みどり銀行 三洋証券
福徳銀行 德陽シティ銀行
なにわ銀行 丸荘証券
中村証券 小川証券
日新証券 日産生命保険
日本長期信用銀行 日本債権信用銀行

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