日本が世界最低の格差社会であることを知っているか

日本の格差は世界最低レベルであることを知っているか

あなたは格差社会という言葉を聞いたことがありますか?これを聞くと、たとえ学生さんであっても勝ち組とか、負け組とか、格差を意識することでしょう。今の日本は聖域といわれた教育の分野まで、親の年収格差、雇用格差、経済格差、教育格差、などがどんどん広がっています。あなたのまわりにも、家が金持ちで高い授業料のかかる私立高へ通ったり、月に何万円もかかる塾に通っている友達がいて自分と他人との格差を痛感することがあるはずです。特に自分でお金を稼ぐことができない立場である学生の人などは、こういった自分の境遇の格差を大人よりも痛感しやすいです。TVや雑誌でも、貧乏人で苦しむ子どものドキュメンタリー番組をみたことがあるはずです。今の日本が格差社会になっていることは、誰も否定できない社会現象ですよね。しかしこの格差のレベルが世界でも最低の水準にあるということをあなたはご存知でしょうか?

(日本が)世界最低のレベル ・・・?
それはちょっと言いすぎじゃない?

と普通は思うはずです。TVなどで格差社会などを議論するときには、「日本の格差は他の諸外国に比べればカワイイもんだ」 と述べて問題にしようとしない専門家もいるので、そこまで深刻に考えたことが無い人もいるでしょう。確かに日本社会は、ちょっと前の昭和の時代までは年功序列・終身雇用などの日本独自の雇用環境によって一億総中流社会とも呼ばれており、そんな社会がたった10年で世界最低になるなんて思わないかもしれません。ですが、日本の格差を世界と比較した図などを見たことはありますか?実際に日本の格差社会がどれだけのものか知っている人は少ないはずです。では日本の格差社会が世界でどれだけのレベルにあるのかというデータをお見せしましょう。驚愕することになります。

日本の貧困率は先進国でも第2位なんだぞ

OECDが発表した24ヵ国の貧困率レポート

上の図はOECDが発表した世界の貧困率を表した 「OECDワーキングレポート22」 です。OECDとはOrganisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構の略で、北米とヨーロッパを中心に、世界的に裕福である経済先進国を中心とした30ヶ国による経済機構です。貧困率とは簡単に言ってしまえば貧乏人が、社会のどのくらいを占めるかという割合を示したものです。貧困率が大きければ大きいほど、社会の中で貧乏人が多いということです。さあ日本がどれくらいなのか見てみましょう。

そのOECDが発表したデータによりますと、私たちの国:日本は世界の先進国のなかでも貧困率No.5にランクインされているのです。つまり世界でワースト5位なのです。日本の貧困率は15.3%にものぼり、24ヵ国の平均である10.4%を大きく上回っています。そしてドイツやフランスなどヨーロッパの有名な国の多くは、軒並み10%以下を示しており、多くの国が日本よりも貧困率が小さい国であることがわかります。しかも日本より上位の国を見てみると、先進国はアメリカしかいないのです。ということは、日本は世界でもアメリカに次ぐ世界第2位の格差社会の先進国ということがハッキリと示されているのです。 「一億総中流」 とか言われて、貧富の差の少ない国であると言われていた時代はこのデータにより完全に終焉してしまったことがわかったはずです。また、「日本の格差はひどくない」、「日本の貧困層はまだ幸せだ」 といった言論も全くの的外れであることもお分かりいただけたでしょう。

ジニ係数によって日本が格差社会であることは確実

OECDによるOECDワーキングレポート22のデータジニ係数

続けて世界の格差を占めるデータをみていきましょう。上の図はさっきと同じOECDが発表した 「OECDワーキングレポート22」 によるOECD加盟国の “ジニ係数” を表示したものです。ジニ係数とは、格差社会をあらわすひとつの目安となっている指数のことで、格差社会のバロメータと言われています。この数値が大きければ大きいほど所得格差が大きい格差社会であり、1.0になると1人がすべての金を独り占めにするという完全不平等社会を示すことになります。そして逆に、小さければ小さいほど所得格差が小さく、0.0になればすべての人の所得が同じという完全平等社会となります。

さて、このジニ係数においても日本はOECD参加国の中でも上位にランクインしています。これを見て、確かに上位にはいるが貧困率に比べればマシじゃないかという意見もあるでしょう。おっしゃるとおり日本の数値は0.314であり、OECD25カ国の平均である0.308とほとんど同じ水準なので、よいとはいえないけど悪いともいえない水準にあります。しかしこのジニ係数で日本がなによりも問題なのは、急速にこの数値が上昇していることなのです。考えても見てください、一昔前まで日本は 「一億総中流」 とか言われて、貧富の差が一番少ない国であると言われていたんですよ。それが、わずか10年程度でここまで格差が拡大してきたのです。この格差拡大はジニ係数の年度別変化を見るとハッキリします。

日本の格差が急速に拡大していることがわかるデータ

格差社会をあらわすジニ係数ここ最近急速に上昇している日本

上の図は、ここ20年間のジニ係数の推移を表した図です。この日本のところを良く見てください、確かにジニ係数自体は5番目あたりになっていますが、そのジニ係数がこの20年間で急速に上昇していることがわかるでしょう。完全に右肩あがりになっています。ジニ係数は大きければ大きいほど所得格差が大きい格差社会であることを示しているので、日本の格差がどんどん拡大していることの証明になるデータなのです。逆に今は暫定的に日本よりもジニ係数が高い水準にある アメリカ イタリア イギリスなどはジニ係数が1990年代からあまり拡大せず、むしろアメリカなどではジニ係数が抑えられてきているのです。

このジニ係数の状況が
何を意味しているのかわかりますか?

それは日本の格差拡大は急速に進んでおり、世界一の格差社会になるのも時間の問題だということです。この格差拡大が、何らかの政策で止まったりすればいいのですが、残念なことに日本は格差拡大に対して何一つ有効な手立てを打っていません。あなたは政府が格差拡大をとめるためにやっていることを説明できますか?できませんよね。なにも対策をうっていないのが日本の現状なのですから。格差拡大を食い止めるための手段が何もない今の現状が続けば、後10年ぐらいで日本は世界一の格差社会になることは避けられそうもありません。当サイトのTOPページで説明している ”日本がダメになるまでにはわずかに時間が残されている” というのはこの10年たらずのことを言っているのです。この10年たらずが勝負の時期なのです。

ジニ係数上昇は内閣府も認知している

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