全体の失業率は4%なのに、10代労働者の失業率は10%以上にも及ぶ

失業率とは雇用の状況を表す指標である

あなたは ”失業率” というものを知っているでしょうか?

失業率について、まだ学校に通っていたりする学生の方や、あまり経済に詳しくない方はわからないかもしれません。失業率とは働くことができる、あるいは働きたいと思っている労働力人口の中に、働く意欲があるにも関わらず就職できない人が何%いるかということをあらわした数値のことです。つまり失業率というのは、働きたくても働く場所がない、働けないといった雇用の問題がどれだけひどくなっているのかをあらわした数値なのです。

この失業率の数値の見方はとてもカンタンで、~%で表される数字が大きければ大きいほど、失業している人が多いという雇用悪化状況を示すことになります。そして数値が小さくなればなるほど、失業している人がいなくなり、0%になれば誰も失業していない = 労働者がすべて職に就いている状況を表すことになるのです。まぁ、普通に考えて0%になることなどありませんが。この失業率は総務省統計局が 「労働力調査」 という調査の中で定期的に発表しており、かなり悪い数値が出たときぐらいしかニュースでは取り上げられません。ですが、雇用の状況を表すとても重要な数値であり、いまの日本の現状をよく知ることができます。

日本の失業率は他の国より低い水準にあるが・・・

日本の失業率はおおむね5%以下で推移しています

この失業率の数値は、日本 日本ではおおよそ3~4%になっているといわれています。なんだかんだ言っても、私達の国:日本は社会が安定した先進国であり、世界的にみてもそれほど失業率が高くないのです。例えば、 アメリカでの失業率は景気によって大きく変わりますが、5~10%になっています。そしてヨーロッパの ドイツ ドイツや フランス フランスなどでは、失業率が8~15%にもなるのです。ちなみに、格差社会とは無縁といわれている北欧のデンマーク王国は失業率がわずか1%です。

これだけ聞いていれば、 『なんだかんだ言っても日本の雇用は世界的に見ていいほうなんだな・・・』 と思うでしょう。ただし失業率の計測の仕方は国によってさまざまであり、日本では失業者を認める条件が厳しくなっています。このため失業しているのに失業者と認められない人が多くおり、実態よりかなり低い数字になることが広く認められています。そのためこの失業率は低すぎるといわれており、この倍ぐらいの水準が正しい水準なのです。それを考えれば、日本の失業率が3~4%でも、実際は6~8%なので他の国と変わりありません。実際は10%を超えるとも言われており、その質問に対して総務省の労働力調査に関するQ&Aではハッキリとした否定をしていないのです。つまり(10%以上であることを)ほとんど認めている状況です。しかもこれをあなたたち10代の未成年者や、20代の若者に限ってみるとさらに数字がひどくなっているのです。

参考サイト : 完全失業率のミステリー(その1)
参考サイト : 完全失業率のミステリー(その2)

若年層、特に10代の人の失業率はバカ高い

上の図は統計局の発表した 「就業構造基本調査」 のデータにおける若者の労働環境において、全体の失業率と若者の失業率がどれだけ違っているのかをあらわした図です。年代は10代以下でおそらく中卒・高卒の労働者である15~19歳、短大卒・大卒の労働者である20~24歳、そして25~29歳の分布になっています。この失業率をみると、全体の失業率とあまりにも乖離があって、全体の失業率など若者にとってなんの参考にもならない数値と感じてしまうかもしれません。

なんと中卒・高卒の労働者である15~19歳の失業率は、全体の失業率の倍以上を示しているのです。若年層の失業率がこれほど高いのに全体の失業率がこんなにも低いのは、若年層以外の中高年の人の雇用ばかりが守られているからです。そのため、この図はいかに若い労働者の環境ばかりが冷遇されているかの証明にもなっているのです。一応、平成10年頃から下落傾向にはありますが、2008・2009年には金融危機によって雇用環境が急激に悪化しているので、また10%を超えるようになるのは明白です。しかも上記の ”日本の失業率は低すぎる” を考慮すれば、この失業率が本当はどれだけの数値なのか計り知れません。もしかしたら、20%にもなっているかもしれません。日本の若者の労働環境は非常に冷遇されているのです。

子ども・若者白書

そして民主党政権になってからは悪化の一途を辿り、結局失業率10%まで戻りきってしまいました。だましだましの数値でこれです。ヘタをしたら10代の方の失業率は、ヨーロッパの劣等国並の20%を越えているといっても過言ではありません。この失業率の推移は内閣府が毎年発表している 「こども・若者白書」 で見ることができます。いや・・・悪いことしか乗ってないので10代の人は見ないほうがいいかもしれません。フリーターの増加、若年無業者の増加、若者の犯罪の増加、悪いことばっかりですね。非常にこころ苦しいですが、若い人になればなるほど将来が暗いとしか言いようがないのです。

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