路線が確立してサービス特化になっていく2012年
規制も終わり、犯罪業者や弱小業者も淘汰された2012年のFX業界では大きな変化も終了したと言っていいでしょう。いくつかの弱小業者の廃業や事業譲渡が小粒に起こりましたが、FX業界を騒がせるような悪質業者などはめっきり聞かれなくなり、業界の正常化という喜ばしいことが先人投資家の犠牲によって完成しました。税率も20%に統一されたことで差別もなくなり、より公平になりました。しかし同時に規制が増えた2012年はよりサービス重視が鮮明となり、各FX業者とも自社と他社の差別化を図る行動を取って行きます。つまりサービス重視からサービス特化へとなっていくのです。「このサービスは我社でしかできません」 といった独自サービスを前面に押し出してきます。マネースクウェアジャパンが特許を取ったトラップリピートイフダンなどはその一例になるでしょう。特許を取り、他社が真似できないサービスとしてオンリーワンの会社を目指していくのです。他にはスプレッドをサービスとして重視するGMOクリック証券とDMM.com証券によって激しいスプレッド競争も加速し、クロス円であれば0コンマのコストで取引できるようになっていきました。しかしスプレッド競争はパイの奪い合いに終始し、各社とも利益を削るだけになりました。
そしてなんといってもGMOクリック証券を筆頭に新しいサービス 「バイナリーオプション」 が台頭していきます。上がるか・下がるか、シンプル二択のそのトレードは単純明快であるがゆえにFXよりも早いスピードで急速に広まっていきました。しかし早過ぎるが故に業者間の度が過ぎる競争と不正ツール利用者、悪質な情報商材などが新たな問題となりました。
他には ”ハイレバレッジという独自性” を前面に押し出した海外FX業者や海外のバイナリーオプション業者も台頭してきます。このように2012年において一通りの規制が終了した日本の店頭FX業界は一種の成熟を迎えます。そのためFX関連では大きな動きが出にくくなり、新しいサービスであるバイナリーオプションや海外のFX業者などの動きが活発になっていきます。一連のスプレッド競争によって各社ともFX取引での利益を出しにくくなってしまい、新しいサービスや新しい商品を業界も投資家も求めていくのです。
2012年はサービス重視から特化型になり、
バイナリーオプション台頭の年
【2012年の金融事件】
1月25日 米連邦準備理事会(FRB)が2%のインフレターゲット導入と2014年末までゼロ金利政策の維持を発表。
2月14日 日本銀行が「中長期的な物価安定の目途」を設立(バレンタイン緩和)。