ビットコインが係る「シルクロード」「マウント・ゴックス」「キプロス危機」について

ビットコインの危険性を示した2つの事件

ビットコインを使った社会の動きについて考える場合には、2013年10月の闇サイト「シルクロード」の摘発事件と、2014年2月のビットコイン取引所「マウントゴックス」破たん事件、2013年3月のキプロス金融危機の3つの事件は非常に重要です。

まず、「シルクロード」事件は、麻薬、違法免許証、コンピューターウイルス、請負殺人取引などを取り扱う闇ネットワークの巨大犯罪取引サイト「シルクロード」が、FBI(アメリカ連邦捜査局)に摘発された事件です。このシルクロードサイトは、ロス・ウィリアム・ウルブリヒト(英語:Ross William Ulbricht)によって所有され、ウェブサイトはマリファナ、LSD、ヘロイン、コカインなども含めた禁止薬物を販売していたので、「ドラッグのeBay」と呼ばれていました。薬物、マルウェア、海賊版コンテンツ、盗まれたアカウントやクレジットカード情報、ハッキング技術などなど、いわゆる闇の情報や商品が取扱われており、その決済に匿名性の高いビットコインが使われていたのです。このウェブサイトが取り扱っていたのが闇のものであったため、ビットコインのイメージが著しく悪化しました。ちなみにオリジナルのシルクロードサイトは閉鎖されましたが、類似の闇サイトは次々と出てきてビットコインでの決済がされています。これらはいたちごっこになっているため、なかなか消えることはありません。

また、2014年2月には、当時日本の東京に本拠を置くビットコイン取引所「マウントゴックス」がハッカーの攻撃により75万BTC(約479億円相当)を勝手に引き出された 「マウントゴックス事件」 が有名です。この事件のニュースで初めてビットコインの名前を知った方も多いはずです。このマウントゴックスは新鋭のビットコイン取引所として当時は破竹の勢いで規模を拡大しており、実に世界の取引のおよそ70%を占めるシェアをもっていたことも事件の規模の拡大をまねきました。運営者であるフランス生まれのマークカルプレスはTVにも出て、ハッカー攻撃を受けたといい自分は被害者であるという旨の説明をしていました。しかし彼には顧客のビットコインを不正に自分のものにしようとした疑惑もあり、結局2015年8月1日、自身の口座のデータを改竄し残高を水増しした疑いで警視庁に私電磁的記録不正作出・同供用容疑により逮捕され、同月21日顧客からの預金を着服したとして業務上横領の容疑で再逮捕されています。

運営者が逮捕こそされましたが、ビットコイン自体はどこに消えたのかわからずに取り戻すことはできませんでした。またビットコインは政府や中央銀行が保証する通貨ではありませんので、その保証をしてくれる人も組織もありません。結果的にこの事件の被害に遭い、数多くのビットコイン利用者がビットコインを失いましたが、それに対する保証は一切なく、被害者は泣き寝入りする他ありませんでした。

この2つの事件は、ビットコインの危険性を世の中に強くアピールし、各国政府によるビットコインに対する規制が強化される1つの原因となりました。

ビットコインの有効性が現れた事件

2013年10月の闇サイト「シルクロード」の摘発事件と、2014年2月のビットコイン取引所「マウントゴックス」破たん事件は、ビットコインの発展にとってマイナスとなる事件ですが、2013年に起こったキプロス金融危機は、ビットコインにとっての有効性が示された事件です。このキプロス金融危機はビットコインに直接関与した事件ではありませんが、結果的にビットコインのイメージが向上しました。

キプロス金融危機とは、財政難に陥ったキプロス政府が、EU(欧州連合)との合意によって、キプロス国民全員の預金に最大9.9%の資産税を課税することを、2013年3月に発表したことに端を発するキプロスの金融危機のことをいいます。いわゆる預金税と言われるものであり、少額の預金者には10%、大口の預金者には15%の預金税を強制的にかけられて、銀行は取り付け騒ぎに合って大混乱しました。またキプロスにおいては時代を反映して、ネット上での資金移動に関しても制限する措置がとられて、銀行のお金が完全に動かせない事態となっていました。キプロスでは、預金に課税するために預金封鎖(預金取引の全面停止)を行いましたが、 この際、キプロス国民の多くが中央政府の規制の及ばないビットコインに資産を移しました。キプロス国民にとっては自国の通貨も自国の銀行も信用できないため、中央銀行や政府によっていつまたぶん取られるかわからない預金よりも、そういった政府や銀行の支配が及ばないビットコインを選んだのです。この事実が世界中に報道されたため、通貨危機対策としてビットコインが注目を集めるようになりました。

ちなみに日本でも過去に預金封鎖をした ”前科” があります。決して対岸の火事ではありません。過去に日本では昭和21年2月17日に突如として預金封鎖と新円切替が行われました。この日に突然、政府がすべての銀行を封鎖し、個人法人問わず預金引き出し制限を掛けました。さらに今までの旧紙幣を使用を禁止され、旧紙幣に印紙を貼った新円だけが使用を許されることになります。旧紙幣の預金は完全に封鎖され、新円のみを世帯主が300円、家族が100円しか出金することができませんでした。これにより、いくら旧紙幣で預金してようがその資産はほぼゼロになり、政府がコントロールした額のお金しか手にすることができなくなったのです。この預金封鎖の実施により当時の政府は戦時国債による国民からの借金を踏み倒し、かつ復興予算を捻出することができ、その後の日本復興にも確かに役立つ結果とはなりました。しかし当時の戦争でボロボロになった庶民にとってはなけなしの金をさらに絞り取られて、底の底まで落とされたことも確かです。もし経済成長が成功していなかったら・・・相当の犠牲が出てしまったでしょう。

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